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のんびり幸兵衛夢日記

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2011.10.31
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カテゴリ:読書
「転倒」(ディック・フランシス)を読みました。
競馬シリーズ14作目。
今回も主人公はわっかりやすいヒーロー。

サラブレッド仲介業の世界で、馬の生産者から高いリベートを取り、業者仲間で徒党を組んで値段を吊り上げ、高い値をつけさせることによって、さらに手数料を稼ぐというあくどい商法が横行していた。
元騎手ジョウナは、そんな悪徳業者にも、あいつは真っ正直だと言わせる性格の持ち主。
そのように不当に暴利をむさぼるやり方は、違法ではなくてもまっとうなやり方ではないと考えるが、そんなジョウナの存在を疎ましく思う人物から、さまざまな圧力や暴力を受けるようになり…。というような話。

ほとんどの人が、よくないことが行われているとは思いながらも、長いものには巻かれなければ生きていけないと首を引っ込めておとなしくしている中で、ジョウナはどんなに脅しにあっても屈服しないので、圧力もどんどんエスカレートしていきます。
いつもながら、精神力の強い主人公。
その判断は絶対的に正しくて、だから次々に困難が立ちふさがりハラハラさせられても、安心して主人公に肩入れしてドキドキワクワクしながら夢中で読み進められます。

しかし一方で、読み手であるこちらは、こんなヒーロー的なことはできない「ほとんどの人」の側なので、ジョウナの言葉がピシっと鞭のように堪えます。
馬の生産者から不当にお金を巻き上げ、しかも不当に高い値段で売りつけるのは、よくないことだけど、自分たちは積極的にどうこう出来ないよね、仕方ないよねとみんなが言い合うのを、「諦め症候群である。歴史中のすべての暴君の存在を支えてきた態度に他ならない」とバッサリ切り捨てます。
ここのところは、う~ん…と唸ってしまいました。堪えます。。

今回の話では、ジョウナとその兄との関係も、ひとつのテーマになっています。
アル中の兄との二人暮らしのため、毎日がちょっとした地獄。
酔いつぶれては悪魔のようになる兄を見捨てず面倒を見てやる弟。
兄弟や家族というものは、損得勘定抜きで丸ごと認め合う唯一の関係なのだなあと改めて思いました。
それに比べて、競馬界を支えているのは、富の象徴を誇示するという虚栄心なのだなあと、今回の話を読んで思いました。





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最終更新日  2011.10.31 23:59:45
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