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カテゴリ:読書
「エマ(中公文庫)」(ジェーン・オースティン/訳・阿部知二)を読みました。
エマはほかに岩波文庫とちくま文庫があり、どちらも上下巻に分かれているのに、この中公文庫のは1冊にまとまっています。 古本で300円で買った後、しばらくして上下それぞれ350円で売っているのを見かけたので得した~と思ったけど、とにかく分厚いっ!重いっ! 外出時に持ち歩こうにも、帰宅後暑ぅ~と扇風機の前で寝転がって読もうにも、重たすぎる。 ほとんど、歯みがきの時にしか読まなかったので、トロトロ時間がかかってしまいました。 この人の小説を読むのは2作目ですが、これも自負と偏見と同じような世界が展開されています。 ~ですことよ。~でしてよ。という会話が延々700ページ超。 厳格な階級社会だった19世紀初期のイギリスが舞台。 ご近所づきあいというか、毎日各家庭を訪問しあったり舞踏会を開いたり、ひらひらとした暮らし。 あの男性が親切で振る舞いが立派だとか、あの女性は舞踏やピアノが上手だとか、まあ今で言うところの婚活みたいなことをしているわけです。 しばらくは読んでいて退屈でした。 しかし読み進むうち、主人公エマの、頭がいいんだけどもそんな自分を買いかぶり何でも分かった気になってしまう生意気な性格が引き起こす騒動や、ユーモアや皮肉の利いたせりふ、細かな心の動きに、引き込まれていきました。 ごく狭い世界の話なのに、今の時代とは世の中の仕組みも価値観も全く異なるのに、読んでいて、こんな人いるいる、とか、あるあるこういう勘違い、などと思えてきます。 いつの時代でも、どの世界でも変わらない、人の愚かさ、人間として根本的にもっとも大切な気質、人間関係の機微などが描かれています。 解説によるとジェーン・オースティンは9歳頃までしか学校教育を受けなかったが(その時代の女性の教育はその程度だった)、10歳になるかならないかでゲーテなど次々に読み、短い物語を書き始めたという人だとか。 そういう鋭い頭脳と感性を持った作者が、若い頃から家族や地域や社会をみつめて、さまざまなことを感じたり考えたりして、生活していた様子が、この小説を読むと感じられます。 なんとなく、このエマという主人公は、オースティンに似ているような気がしました。 また、エマが一番好きだと思う男性も、一筋縄でいかないというか、いつも明るく社交的というのでなく第一印象はとっつきにくい感じであるところが、自負と偏見のダーシーに似ているように思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.08.30 18:14:45
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