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カテゴリ:読書
「蠅の王」(ウィリアム・ゴールディング)を読みました。
何か月か前に読みだしたものの、さっぱり読めない日々が続いて放置していたのを、ようやく読了。 確か、トマス・H・クックの本の中で、この本のことがちょろっと出てきて、読みたくなったんではなかったかな、何の本だったか忘れてしまったけど。本を読んでいると、こうやって読みたい本が芋づる式に増えていく。 「十五少年漂流記」みたいなものだとか、子どものころに読みましたという感想をよく目にしたので、その手のものだと思って読み始めましたが、思っていたものとは少し違いました。 だいたい私は冒険ものは好きじゃないので、そういう部分は端折って読んでいるところがあるのかもしれないけど、これは要するに、話全体がメタファーになっているのではないかと思いました。 ちゃんと小説で読んだことはないのですが、「ガリバー旅行記」みたいなものではないかと思いました。 あれも、前々から読もう読もうと思いつつ、本屋で手に取るたびに、なんか、しち難しそうで、ま、いっかとなってしまっています。 書かれた当時は戦争中で、作者も戦争に関わる体験をしていることから、戦争という現実がチラチラ出てきますが、今の時代に読むと、また違ったものが頭に浮かんできます。 政治的なこととか、もっと個人レベルの人間関係とか、読みながらいろんなことを考えさせられました。 初めのころは、ピギー以外の子どもたちはみんな、読んでいるこっちが驚いてしまうほどのんびりしていて楽天的なのに、少しずつ変化していく、その様子の描き方がすごいと思いました。 無垢な子どもたちが、麻痺して自分で考えられなくなる様子や、集団で誤った方向に行く心理など、だんだんと醜い心に支配されていく様子を読んでいると、今の世の中で起こっているいろんなことは、必然なのかなあ、でも、人間の英知でそこを乗り越えていけないものなのかなあというようなことを思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.03.27 12:28:15
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