「白い羽」つづき。




ニワトリがやって来て数日後。


もう、この町のトレードマークとして飼ってやろーや。

あいつら、元気かな？


おっ。鳴いてる鳴いてる。まだ生きてたんやなぁー。

だんだん愛着が沸いてくるもんだ。


エサをあげる人も出てきた。

川で釣りをする人たちも、必ずニワトリを見ていった。

どこかのおばあちゃんと孫が

エサをあげに来たりもしていた。




親父は、「誰かに危害加えたワケでもないし、

誰かが通報するまでそのままにしておこうー。」そう勝手に決めた。笑



けど、野生になるってゆっても

こんなに立派になるまで人の手で育てられてきたんやから

めっちゃ大変なことやと思うねん。

落ちてる木の実だけじゃ、満たされへんやろ。

日差し、暑いやろ？


雨だって降った。「雨」って量じゃない。

毎日つづいた。そりゃ梅雨やもん。



どうしてるんやろ。

ちゃんと雨宿りできてるんかな。

寒いんちゃうかな？大丈夫かな？



たまに遠くで鳴き声は聞こえる。

川沿いの木の下で寄り添ってるんやろう。

そうであってくれ。





きっとみんなが心配したと思う。



梅雨の途中に晴れる日。「五月晴れ」っていうねんて。





やっと雨が止んだ。そんな「五月晴れ」の日。

とても静かで。

あいつらの声さえ聞こえない。



死んでしまったのかな？

もうあいつらが来て二週間が経つ。

力尽きてしまったんかな。。





いつものように学校に行って、帰って来て

ちょっと買出し行って帰って来て。

その夜。また雨が降ってきた。






「ニワトリおったで！！！」

「え！どこどこ！？」

「洗濯機の横！」

「え？･･･」



我が家では、洗濯機が屋外にあるの。

屋根もあるし、囲いもあって、自分がスッポリ。

つまりジャストな場所なんやろうね。居心地いいのかね。


はぁー。生きててくれてよかった。




居たらいるで、困るけれど、

居なくなれば、それでめちゃんこ心配になってしまう。




とりあえず、今夜はここで寝かしてやろう。

明日、追い出さないとあかんけどなぁ。。

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＊＊＊つづく。