『SPY x FAMILY』ミュージカル
配信を観た時の感想を思い出しながら書いていこう。ロイド・ヨル・ユーリのダブルキャスト、アーニャのクワトロキャストということだったが、観たのはロイド=鈴木拡樹、ヨル=佐々木美鈴、ユーリ=瀧澤翼、アーニャ=増田梨沙という組み合わせであった。演劇と漫画は違うので、漫画で表現可能なことも、演劇ではできない。アニメや実写版ではできることも、舞台ではできない。演劇の強みは、様式美と、ライブ感である。今回のようにダブルキャスト・クワトロキャストの時はそれが特に顕著になるが、そうでなくても、漫画やアニメや映画と違って、役者の動きが毎回微妙に違う、一期一会の出会いであり、しかもそれが積み重ねた稽古の日々、本番の日々によって練り上げられた演出の様式美に支えられている。あいにく発信された映像は固定されたものであるが、それでも十分楽しむことができた。ストーリーは、発端、ロイドとアーニャの出会い、ヨルとの出会い、入学試験、ユーリやフィオナとの関係など、個々のエピソードは台詞も演出も原作にほぼ忠実であった。時系列的に、ボンドのエピソードなど省略された部分もあるが、主要登場人物のキャラクターを際立たせ(ハンドラーさえも)、かつ物語の舞台となる世界観を観客に訴えかける、良質のエンターテイメントになっていたと思う。おそらく観客のほとんどは原作乃至アニメのファンだったろう。しかしそのどちらも見たことがなくても、十分楽しめる内容だった。ミュージカル仕立てにしたことで、原作のコメディ感がよく出ていたのではないか。続編はあるだろうか。あるかもしれないし、ないかもしれない。しかし、ミュージカル(喜劇)やオペラ(悲劇)のほとんどは外国の作品なので、ここに日本発のミュージカルが、本邦で大成功を収めたことは、まことに慶賀なことだと思う。できれば、海外公演や外国人の俳優によるリメイクなどを通して、世界に普及してほしいと夢想する。本作品は何といっても日本の作品なので、登場人物は明らかに外国人であるにもかかわらず、日本的な所作があちこち見え隠れする。勿論漫画やアニメや日本人が演じる舞台ではそれでいいのだけれど、リメイクなどで外国人がこれを演ずる場合、どうなるだろうかという「わくわく」感もある。長時間の高度な演技の継続が求められるライブの舞台では無理だろうが、邦画として実写化する場合には、ぜひ日本語が堪能な外国人のタレントを多数起用してほしいものだと、個人的には思っている。【送料無料】[枚数限定][限定版]ミュージカル『SPY×FAMILY』<初回数量限定版>/森崎ウィン,鈴木拡樹[Blu-ray]【返品種別A】