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西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2007/05/08
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カテゴリ:雑感

おかげさまで、なんとか次の単著の原稿を書き上げることができました。

この本は、いつものことながら思った以上にたいへんだったなあ。こいつは僕のGWだけじゃ物足りなかったらしく、僕の体力も健康も奪い去っていった。

しかし、それだけのものを食らっただけあって、斬新かつ有効な試みになっているはず。

凄さを伝わるために、コンピューターにたとえると、Windows、Mac、プレステ3、Wii、といった異なる会社が出しているあらうるパソコン上で起動させることができる「メタソフト群」を備えているばかりでなく、それらすべてのパソコンの性能をさらにアップさせる「ICチップ」が組み込まれている「メタ・コンピュータ」を開発した、ということなのだ。

そんなもの作れるわけがない、と思われることもあるやもしれないが、作ってしまったものは仕方がない。


「質的研究」と総称される研究法が、人文・社会科学領域を中心に領域横断的に広まりつつあり、良書もたくさん出ているが、最近流行始めてからは、百花繚乱、みながみな自分が思ったことを語っていて、一体何が大事なのかということから益々わからなくなっている現状でもある。

そうした状況をなんとかしようってことで、「質的研究」と総称されるあらゆるアプローチにおいて活用することができる「メタ方法論群」を備えており、個別研究法をより柔軟で高性能なものにする「メタ研究法」を体系化した。

関連する専門書、入門書を手に入る限り読んだ限り、これは世界初の試みだと思う。

しかも、初学者が具体的な研究を一つ発案し、データを収集し、分析し、モデル構築し、発表、質疑応答、論文形式にまとめるに至るまでの過程を、学生達との対話を通してわかりやすく語っている。

せっかくだから、 この分野ではエポックメイキングなものになる「決定版」ってやつにしたいなあ。


参考までに、最後に授業の感想を聞いたときに、大学院生の一人がこんなことを言っていたので、載せておきます(本にも載っているけど)。
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Mさん 私もかなり皆さんと似てるんですけど、自分たちが考えて、自分たちでデータを取って、自分たちで進めていくっていう一連のプロセスを経て勉強できたことはすごく身になったと思うし、もしそうじゃなかったとしたらぼんやりしたものに終わってたかなあと思って、こういうやり方ができてラッキーだったなと思いました。

 それから学んですごく身になったと思うことがあって、それは先生がおっしゃってた「すべてのことに共通している原理的な考え方」っていうのが、やはりそれを押さえることによって、いろいろな人のいろいろな研究に対して妥当な判断ができるし、妥当な判断じゃなく批判されることに対して、「おかしいぞ」っていうところをちゃんとみれるようになったことです。

 それは質的、量的かかわらずすべての研究とか考え方に通底しているものだと思っていて、この授業に出て、先生の本とか読んだりして、すごく自分の気持ちが楽になったというか、自分が今後何か進めていくときに、ここの根本に戻れば、いろんなことが解決できるんだっていう拠り所ができたので、私はたぶん質的研究法で研究を進めると思うんですけど、そのときに心強い支えができたなと思います。
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ということで、一通りできあがったのだけど、ここから出版社とやりとりをしつつ、自分でも洗練を重ねて、校正をするという作業が待っている。




この本、実は一度他の3冊の本やシンポジウムにかかりっきりになって中断していて、再起動するまでにシステム終了していた。

やる気になるきっかけは、僕の書いた本を読んだ何人かの人が温かいメッセージや、応援の言葉をくださったことにある。

たとえば、それはこんなメッセージです(許可を得て一部匿名掲載させてもらいます)。

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「現代のエスプリ」で西條先生が書かれた文章を読んで、そしてシンポジウムでお話を聞いて、この理論と出会えてよかったと心から思いました。救われた、と言うほうが正確かもしれません。
Perfect solutionよりbetter alternativeへ
今よりマシに
今よりちょっとでも楽に
今まで、同じようなことを考えながら生きてきましたが、なんだか自分のその考えが、ものすごくずるい考えのような気がしていて、やや悲観的な考えのような気もしていて、人前で言葉にすることができませんでした。これはただ単に、「確固とした何か」からの逃げなのかもしれないと、自分を責めることもありました。
ですが、西條先生のことばを知り、感激して涙が出そうになりましたし、気持ちがものすごく楽になりました。漠然と頭や心の中にはあったけれど、自分自身肯定しきれていなかった考えを、そこに見えるものとしてあらわしてくださった西條先生に感謝です。
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先に挙げた大学院生の台詞にも「すごく自分の気持ちが楽になったというか」とあったし、門松さんの『科学の剣 哲学の魔法』の書評にも、なんか僕の台詞を引用しながら、そんなようなことが書いてあった気がする。

僕は、誰かの気持ちが楽になるようにということを思って本を書いたことはないけども、そういう風にいわれてみて、確かにそういう部分があるかもなと思った。読者に自分の潜在的なモチーフを教えられることがあるというのは、文字通り望外の喜びという他ない。

最近何かの漫画で、「○○○を助けてあげてくれ」といわれて挫折した女優が復活するという話しがあったけども、そこで「人は自分のためにはそれほどがんばれなくて、他人のためにの方ががんばれるということもあるんだ」という話があって、そういうこともあるかもしれないと思った。

僕はもちろん自分が書きたくて本を書いているけども、自分の本を愉しみにしてくれている人や、それで少しでも楽になってくれる人が、怠け者の僕を頑張らせてくれるのだと思います。

こんな僕に力を与えてくれる皆様に心より感謝いたします。






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Last updated  2007/05/29 06:38:59 AM
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