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西條剛央のブログ:構造構成主義

西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2007/07/22
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カテゴリ:雑感

▼現在、いっぱいいっぱいの状況です。

関係者諸氏にはご迷惑をおかけしております。この場を借りてお詫びいたします。


▼兄の子どもが無事産まれました。めでたい! たいへんだったみたいですが、母子ともに順調で良かった。子どもを産み、育てるっていうのは、想像を絶することだなあとひたすら尊敬します。まさに限界を超えるとはこのことなのだろうと思う。


▼ネキダリス研究会
研究会がありました。結局、ほぼ徹夜で参戦しました。発表はいっとくさんで、さすがという内容でした。論文の書き方という点でも、若手には参考になったと思います。

1章、2章ともに、当該領域においては相当意義あるものになっているのは間違いない。特に2章は、参加者の中でもその意義を判っていた人はほとんどいなかったように感じますが(そして、その意義をもっと明確にわかるように示すことは課題ではありますが)、それだけ意義がある原理を置いたということでもあるので、その部分では僕の期待値を超える凄い論文を書いてきたなあといたく感心。

もっとも構造構成主義的には、もっと完璧に教育学における超メタ理論を構築できる余地はあると思いますが、それは無いものねだりというものかもしれない。さらに今後に期待。


▼還暦プレゼント
先日池田先生の還暦誕生日があったので、池田先生にお世話になっている日頃の感謝の気持ちを込めて、ネキダリスの有志で壁掛け時計を送りました。脱構築の天才で義理人情に厚いのぶたろう君が一生懸命選んでくれた蝶が描いてあるシックな時計です。自分の部屋に壁掛け時計がないと言って喜んでくれました。

さすがに飲み会は途中で切り上げて帰ってきましたが。

▼限界を超えて
あと数日だけ頑張ろう、後ちょっとだけ頑張ろうを繰り返してきたわけですが、その分だけ課題が生まれ、そして終わらないを繰り返してきたため、体力的、気力的に限界になってきたようです。

これは最近にないほどで、大学時代でさんざん浴びた「限界を超えてー」とか、「西條○杯目、無理は承知!」とかいう一気飲みのコールを思い出しました。

徹夜で研究会に臨んだまでは良かったのですが、次の日ずっと寝ていた。目が覚めてもやる気が起きず、夜に起きて「刺客請負人」をみて、これやたらツボにはまって、唯一みたいドラマになったけど、ちょっと仕事してまた寝てしまった。

次に目が覚めたのは、夜の20時。一度も目が覚めなかったからちょっと驚いた。サッカーがやっていたので、みて、勝ってよかった。さすが高原。さすが川口。さすが中澤。特に中澤は他の選手とは違うなと思った。1点先取されたときも、下を向かずにみんなを鼓舞していたし、PK戦で川口の二連続セーブで優位に立ったときも、彼だけは厳しい顔をしていて油断はなかった。他の人は明らかに油断していた。油断している輩は追いつかれて自分が蹴る番になったら、極度の緊張から外す。中澤はずっと気を抜いていなかったから、最後に中澤が出てきて良かったと思った。そして彼は決めてくれた。この勝負はかなり紙一重だったと思う。

それ以外の決定力のなさ、強引力のなさもさすが日本という感じでした。けど、真剣勝負であればあるほど、わかっちゃいるけど、身体が動かないということはよくあることなので、しょうがないのかもなあとも思いましたが、それを超えないことには超一流にはなれないよなあ。


▼再びネキダリスについて

今回、ブルデューと構造構成主義について論文を書いている広大の博士課程の院生が初参加。広島で構造構成主義の勉強会を開いているとか。飲み会のときには、○○○職人ということが判明しておもしろかった。いろんな才能をもった人がいるものです。

改めて思うに、ネキダリスほど、天才、異才、奇才、鬼才が集まっている場はちょっとないかもしれない(集めたのだが)。構造構成主義に関しては、僕が教えるという形ではあるけども、しかし、何気ない会話や、素朴な疑問などを聞いていると、それはかなり深いレベルのそれなので、勉強になる。直接勉強になるというよりも、「これほどわかっている人でも、なんでわからないのだろう? なんでそう思うだろう? どこにひっかかっているんだろう?」とか、還元的に考えていくことができるので、ほんと有り難い。

こういうのは、他者あってのもので、自分だけで考えていたり、論文を書いている中では得られないものなのだから、たまにはこういう場に出るべきだと僕は思う。そうしたバランスに欠いたとき、結果として、進歩は遅くなるのだ。


▼厳しい研鑽の場
僕は、将来的に、ネキダリスのメンバーはそれぞれの領域を牽引する逸材だと確信しているからこそ、率直に思ったことは言うことにしているし、ときにかなり厳しいコメントもいっていると思う。

彼らは、そうした意見でへこたれるとは思っていないし、そういったものも吸収していけると思っているからだ。もちろん、彼らのやろうとしていることの意義も、相当汲み取っているつもりだが。

実際、みんな、会う度に、どんどん進化(深化)しているからたいしたものだと思う。彼らの力量は、そこらの教授と名のつく研究者よりよっぽどすごいので忘れがちだが、彼らは僕より半周り(大学院生)、一回り下の年代(大学生)なのだ。そう考えると、現時点でそこまで考えれるだけで、相当なものだ。


とはいえ、彼らはふつうの研究者よりも何倍も苦労するだろう(その分知的な快楽や達成した喜びも大きいと思うが)。というのも、ふつうの学界には、画期的な理路であればあるほどその意義をわかる人は、ほとんどいないからだ。それは僕がいやというほど経験してきたことだ。池田先生はもっとそうだろう。だからこそ、あれだけ達観しているのだ。


僕ができることは、ヒントを出したり、刺激を与えるということぐらいなんだろうと思う。あとは、それをどのように吸収して、どこまで伸びていくかは彼ら次第なんだと思うし、そこは僕が関与すべきことじゃないのだろう。


そういや、この前のネキダリスの飲み会では、世代論になった。

僕や京極君が、構造構成主義の第一世代だとすれば、半周り下のいっとく君などは第二世代といえるだろう。そして、一回り下のまだ大学生の世代は第三世代といえる。そして、池田清彦、竹田青嗣、養老孟司はゼロ世代といえる。

京極君や池田先生とは、たまに若手の育成の話になる。京極君は、心優しいので、「若い人には自分達が味わったような理不尽な経験はできるだけさせたくないよね」と言っていた。

僕も、できるだけそうしたいとは思うし、構造構成主義が普及すればするほどそういう経験は少なくなるだろうとも思う。けど、僕は苦労することも大事だと思っているので、そういう思いをすることも必要だと思っていて、障害をできるだけ取り除こうとは思わない。

障害を取り除くことは、彼らが自らを鍛える機会を無くすということでもあるからだ。歴史的にも、中国の歴代王朝がそうであったように、二代目まではよくとも、三代目にはたくましさが失われ、衰退するのが常だ。それは第一世代がみてきた問題がみえなくなることにより、退行してしまうのだと思う。基本的には後の世代の方が有利なのだが、この問題の部分を継承しない限り、第一世代を超えて、さらに理路を推し進めることはできないだろう。このことを分明に理解している人はほとんどいないのではないか。



僕は、彼らを鍛えることに関心があるのだと思う。それが世のためになるからという部分はないわけじゃないが、それ以上に、業火に焼かれるほどの試練を乗り越えてこそ、本物になれると思っているところがある。

僕は、自分の考えていることを判ってくれた上で、鍛え合う仲間が欲しいのだ。そのためには、英才教育&業火で鍛えるしかないのだ。そういう割り切りをしているという点で、僕は冷たいのかもしれない。母親的な思考をする人は、そうは考えないだろう。僕はおそらく父親的な思考をしているのだと思う。

もっといえば、僕は自分の理路を鍛えることに関心があるのだ。だから、情けは人のためならずではないが、彼らを鍛えるのは自分のためでもあり、だから別に感謝されなくともいいのだ。おそらく池田先生も同じように思っていると思う。

かといって、彼らが学者社会に淘汰されては元も子もないので、このままじゃやばい人には――それが異才を放っていればいるほど――学者として最低限共有すべきルールは教えるようにしている。それはときに厳しい言い方になるが、僕は敢えて言っているのであって、外界で本気でぶったたかれて、抹殺されるよりはマシだと思っている。そういう訓練をしておかないと、繊細な人は、立ち直れないほどのダメージを背負いかねないからだ。

しかしその上で、やはりある程度の苦労はした方がいい。結局、いろいろ経験しないことには、信念対立なんてどこにあるの?とか、どこにも争いなんてないのに、なんでそれを解消する理路が必要なの?といったおめでたいやつにしかならないからだ。

要するに、つぶされるほどの負荷を受けることは避けなければならないが、問題を実感するぐらいの経験はした方がいいと僕は思っているのだ(邪推するにこれはmuto先生なんかはこう思っていると思う)。


己の限界を超えるべし。無理は承知。


僕も超えます。





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Last updated  2007/08/31 11:27:13 PM
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