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カテゴリ:質的研究
アップし忘れていたので、9月の集中講義について書いたものを載せておきます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前半は台風が直撃してどうなるかと思ったが、無事某大学院における集中講義が終了した。 約25名が参加。半分以上が聴講生。予定より多くなったので、4班に分けた。 30時間で、各班ごとにリサーチクエスチョンの着想から、データ収集、分析、理論構築、プレゼンテーションまでを行った。 それを可能としたのが、『ライブ講義・質的研究とは何か SCQRMベーシック編』。 この本があったおかげで適宜重要なポイントだけ説明すればよかったので、効率よく進めることができた。全部口頭で説明していたら、30時間で理論作成、プレゼンテーションまでやるのはとても無理だったと思う。 SCQRMはとてもシンプルにできているので、あらゆるステージで身につけるべき概念が「関心相関性」1つでいい。それを視点にすべての営みを考えることができる。だから、最初に説明すべきはそれだけで済む。 構造構成主義をOSとしつつ、ソフトとしてM-GTAを使って研究を進めたのだが、この「構造構成的M-GTA」はテクストから直接概念をどんどん作っていき、最初に暫定的な理論を作ってしまう。言ってみれば、部分(概念)と全体(理論)をざざっと作ってしまうので、全体像を踏まえた上で、細部(分析ワークシート)を詰めていくことが容易になるのである。 おそらく、30時間で理論作成まで行うことは、従来のGTAでは細かい切片化と分類の作業が膨大になるため相当難しいと思う。M-GTAでも、切片化(GTA)や、分析ワークシートの作成と各概念の定義付けに膨大な時間がかかるため難しいだろう。 SCQRMは教条主義的に特定の方法に固執しないため、より機能的なやり方を工夫し、途中で思いついたことがあったら(目的に適したやり方ならば)、どんどん修正していく。 僕にとっても発見だったのは、班ごとに概念や理論を作る際に、ポストイットに概念を書き込んで、それをぺたぺた貼っていくというやり方が非常に有効だということだ。これはM-GTAとKJ法を融合したような方法かもしれない。 連日長時間で大変だったと思うが、みんな愉しそうに作業をしていた。 最後に、理論作成とプレゼンを終えたら、研究とは何か? 質的研究法とは何か?、科学とは何か? 質的研究において重要なことは何なのか? といったことを、みんなのやった研究になぞらえて15分ぐらいで説明していった。 研究をやる前に説明するよりも、実際に研究をやった後にそれを具体例として話をしていくと、腑に落ちて理解できるものなのだ。 その後打ち上げがあったのだが、みんな愉しかったと口々に言ってくれたので、素直に嬉しかった。 研究は大変な部分もあるが、そうだからこそ「愉しい」ということは、とても大事なことだと僕は思う。苦行になってしまうと、その後の自発的な発達は望めない。愉しければ、自分で勝手に探求していくからだ。 ある学生は、「この授業は、私が今まで聞いた授業の中で、先生の口頭の説明が一番少なく、しかも、今の私にとって影響が一番大きい授業でした。」 と言っていた(笑)。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ そういえば、先月の首都大での特別講義では、戈木クレイグヒル滋子先生に、「10年以上分勉強になりました」とおっしゃっていただけたのは、お世辞でもとても嬉しかった。 集中講義や講演等のご依頼は、左の写真下の「Mail」の「メッセージを送る」からどうぞ(ただし、すぐに気づかない場合があるのでお返事が遅くなることもありますので、その場合はご容赦ください)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/12/21 12:42:53 AM
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