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西條剛央のブログ:構造構成主義

西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2008/10/11
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カテゴリ:質的研究
第一回質的研究集中ワークショップの感想がアップされました。

関心のある方はご一読いただければと思います☆




以下,構造構成主義アカデメイアHPより引用。
http://structuralconstructivismakademeia.blogspot.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

第一回質的研究集中ワークショップ終了後,受講生の皆様のアンケートに書いていただいた「感想」を掲載いたします(*お送りいただいた中で掲載可のものを全文掲載しております)。

アンケートのご協力いただいた皆様,誠にありがとうございました。

――――

 質的研究について。私は、「ライブ講義 質的研究とは何か」を読んだときに、これまで研究しながらもやもやしていた一つ一つのことが、本当にストンと腑に落ちたので、それを体験的に確認したくてこのWSに参加しました。この当初の目的は十分すぎるほど達成することができたと思います。

 SCQRMの原理については、西條先生がごく日常的な話題に引き寄せて説明してくれるのでとても面白いし(語録集としてまとめてはいかがですか)、具体的なやり方はテキストにそって実際にやりながら、更に先生に随時確認してもらえるので、メンバーと共に「わかる!」を実感しながら進めることができました。

 今は、このWSの楽しさと質的研究の楽しさとがごちゃまぜな感じで、どちらがどうだといえませんが、おそらく両方の楽しさが相まっての4日間だったと思います。


 グループワークについて。初めて出会う年齢も専門分野も違う方々と一緒に、4日間で1つの研究をして発表までするなんてハードルが高い・・・と初めは思いました。

 実際の作業過程では、メンバー同士の活発なディスカッション故に意見がまとまらなかったり、各自の進度が微妙にズレてきたり、次第に進むべき方向を見失ったりして行き詰ることもありましたが、そういうときにも「私たちの関心は何か?」「何のためにやっているのか?」「正しさではなくて、有用性を考えるとどうするのがいいか?」などと考えながらやっている自分に気づきました。そうするとメンバーシップやリーダーシップの取り方も今までの自分とはちょっと違ってきて、より良い方向に進んでいくような気がして、SCQRMがグループワークそのものにも役立つ原理であると実感しました。

 そして、研究の問いを立てるところから始まり発表するという研究の一連の流れを通して、どのグループも最終的にはちゃんと着地できたことから、参加者としてはささやかな達成感となんとも言えない幸せな気分を感じることができました。

 大げさに聞こえるかもしれませんが、1週間たった今もそのとき感じた「いい気持ち」が残っています。これもSCQRMの有用性でしょうか??


 SCQRM的なあり方(?)について。このWSで素敵な方々に出会えたのも大きな収穫です。どの方も質的研究やSCQRMに関心があって、協力的で、相手を批判するよりも「私はこういうことができるよ」という態度で臨んでいて(私はなかなかできませんでしたが)、それが前に進む原動力になっていたと思います。

 分析途中で先生がみんなの意見の中で「一番ベターなもの(ベストではなく)を選んで」とおっしゃっていましたが、こういったものがSCQRM的なあり方というか態度といえるものかなと考えました。

 また、「お友達になりたい」などと久々に思春期の頃に戻った気持ちになり(笑)、最近「自分は人嫌いではなかろうか」と恐れていたのですが、どうやらそうでもなかったようなので、なるほど対人関係も関心相関的だなと実感し安心しました。

 こんな風にSCQRMの原理をほんの少し取り入れるだけで視点が変わり、自分を取巻く様々な現象の見え方、捉え方が変化し(上手く言えませんが、私自身は周りの色が変わったような体験でした)、なるほど先生のおっしゃるとおり、日常生活や社会生活を送る上でとても有用だと思いました。


 最後に、西條先生について。直接的に指導するというよりも、ふわりふわりと部屋のなかを漂いながら、全く押し付けがましくなく、アドバイスを受けていると感じさせないやり方で、でも適切なアドバイスをしてくださり、本当に教える才能があると思いました。

 相手に自分のパワーを感じさせることなく(相手の力を削ぐことなく)教育したり援助したりするのは、かなり意識しないと意外と難しいと思うので、その辺も勉強になりました(この点もSCQRMの原理で説明できそうですね)。

 実は、西條先生のことは、「ライブ講義 質的研究とは何か」に書かれている以上のことはほとんど知らないままに参加してしまいましたが、直接お会いして、お話を聞き、教えていただくことができて良かったです。

 著者の関心、大事にしていること、思想や哲学といったものに、日常の現象レベルで触れることができると、本を読み返す際に、最初とは違う理解の仕方というか浸透の仕方が変わってくるものだなと思いました。理論書は苦手ですが、今ならばかなり関心相関的に「構造構成主義とは何か」を読める気がするので、早速購入して読んでみたいと思います。

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・ 事前の本の購読課題があって理解しやすかった。

・ 段階を踏んで、時間的にもゆとりがあり、方法や理論を時々本と確認しながらできてよかった。

・ グループワークは、人数、役割分担、ディスカッションへの協力など全てよかったと思います。

・ ウィークディは仕事が山済みなので、宿題がなくて助かりました。

・西條先生の語りのテンポがゆっくりで癒されました。(普段、職場ではあの5倍くらいのテンポで時間が流れているので)

――――


楽しい雰囲気で学ぶことができたのがよかったと思います。

 グループには初学者だけではなく、大学教員の方などもおり、一緒に作業を進める中で、グループ内でもいろいろと細かなところを率直に教えていただけたので、学習の効率は非常に高かったと思います。

 また、本を読んだだけでは分からなかったことも、実際に作業を進めていく中で、新たな疑問点が出てきたり、いろいろな発見があったので、やはり実際にやってみることが大切だと思いました。

 また質的研究を進めていく中でワクワクするような感覚を経験することができたので、また質的研究法を使ってみたいなと思えるような研修でした。


――――


初日の午前中の緩慢な時間配分にやや心配を抱きましたが,全体として集中力があまり途切れることのない時間配分だったと思います.また,班の人数もちょうどよかったです.有意義な4日間でした.


――――


 質的研究とはなにかを理解し、自分の研究に相応しい手法を選択、その手法を使いこなすということは、院生にとって容易ではありません。解説書を読むだけではどうしてもダメで、院生は体験的に理解していくしかないと感じてきました。ですから研究指導は、研究の全プロセスに付き合う形で行っています。

 西條先生の「ライブ講義――質的研究とは何か」のベーシック編、アドバンス編2冊を読んで参加という前提条件はありますが、参加者は4日間のワークショップで、リサーチクエッションの設定→半構造化インタビュー→M-GTAによるデータ分析→理論化というプロセスをたどることができるのだと、実感できました。そしてこのプロセスをたどることによる体験的理解は、半構造化インタビュー、M-GTAでない手法を使う場合にも、土台になりうると思いました。

 今回のワークショップのやり方を参考に、院生が自身の研究に着手するのに先立って、質的研究法を体験的に理解するための授業を始めたいと考えています。

 なお、ワークショップでは折に触れ、SCQRAMの考え方が説明されましたが、とても納得がいきました。いままでもやもやとしていたことが、「そういうことなんだ」と整理がつきました。


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Last updated  2008/10/11 02:51:49 PM


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