カテゴリ:質的研究
第一回質的研究集中ワークショップ感想集のつづきです。
―――― 私は臨床心理の分野で働いています。自分がきちんと仕事をしているか検討するために、自分の能力を高めるために、料金を支払ってスーパービジョン(SV)を受けます。同様に、研究においてもSVが受けられるシステムがあればいいなあと思っていました。それで、質的研究法のワークショップがあると聞いて、すぐ参加を決めました。 多くのことを学んだと思いますが、印象的に残っているのは、リサーチクエスチョンを立てるときの「言葉」の選び方の難しさと面白さ、初めて出会う仲間とチームを組むワクワク、多様なメンバーから受ける刺激、グループわけの妙(質的研究を経験したことのあるメンバーがいて、その人からも学びました)。さらに、研究者の本音と「ホント」、なかなか他では聞けないこぼれ話。 土日連続、2週間のワークショップは「体育会系」のノリでハードでしたが、質的研究に初めて触れる私にとっては大きな体験でした。確かに、質的研究の面白さに目覚めましたから。質的研究法ワークショップのファーストステップが、面白さを伝えるということであれば、大成功だと思います。 ーー 大変勉強になりました。特に、以下のような経験を踏まえて、わからなかったことがよくわかりました。 ・ これまで何冊も本を読んできたこと ・ 2時間から5時間程度のワークショップに2回ほど参加の経験があること ・ MaxQDAなどの解説を聞いたことがあること ・今回の課題図書2冊も、どうしても先を急ぐがあまり、本末転倒で読みこなしてはいなかったこと(ワークショップ参加という目標があるからこそ、すべてを読もうと努力したこと) 大きな違いは「関心相関性」を学んだことです。多くのワークショップは表面的なテクニカルなところばかりで、結局ストンと腑に落ちるとこがなかった。でも、今回のワークショップは、すぐに自分の持っているリサーチクエスチョンに向かいたくなるようなものでした。もっとも、上記の4項目のような無用の用である経験が、現在の自分を構成し、その上での参加であったからこそ、今のような感想になるのかとおもいますが。 ―――― ・2週続けて土日を費やすのは大変なところも多かったですが、密に話し合いなどできたことは勉強になりました。 ・宿題があまり出なかったことが負担を少なくしてくれ、助かりました。日々の仕事などの合間ですと、宿題があるとかなり厳しかったと思います。 ・本を読んだだけでなく、研究の一連の過程を体験できたのがよかったです。また、様々な立場の方がいらっしゃって、その方々と意見交換できたのは、貴重な体験でした。 ―――― 理論や手法の一方的な講義ではなく、SCQRMの考え方や、西條先生の率直な意見等をお聞きしながら楽しいワークショップでした。 グループ演習を中心としながらも、先生から時折りアドバイスを頂き進めることができたことも大変ありがたいことでした。 約30人という規模もちょうど良かったように思います。運営が手探り状態で進められていたことも、みんなの一体感を作り出していたように思います。大変、楽しい4日間でした。 ―――― 質的研究の基本を理解することが出来た。 本を読むだけでの理解ではなく、最初から最後まで質的研究のプロセスをおうことが出来たのは、非常に面白い体験であった。 講師の進め方、知識量がすごかった。もっと勉強したいと改めて思った。 ―――― SCQRM自体を知らなかったので、質的方法のメタ理論を概要をつかむことが出来ました。演習をしながらとうのが、ポイントでしたね。講義で理論を聞くだけでは、SCQRMの理解は難しいかと思います。 事前にテキストを読んでくることが前提となっていたので、4日間のワークショップを達成感をもって終わることができたかと思います。 しかし、若干、「分析ワークシート」の作成も時間が足りず、グループで討議しながら進めることはできず、個人作業する部分も多くなりました。ワークショップは、参加者の相互作用によって成り立つので、お互い協調性をもつことが大切かと思いました。 ―― 字面だけでは理解しにくい、質的研究の大まかな流れを体験できた。 4日間で1つの形として発表できるかどうか不安だったが、グループワークという体系で行うと、新たな視点からの意見も聞くことが出来、参考になった。 あくまでグループワークなので、個人のスキルが上がっているかどうかは微妙なところ。グループ内で一番納得のいく意見が採用されるので、自分の意見の長所・短所を知ることができないのは、今後個人的にM-GTAをやっていく身として不安な要素である。そう思うと、4日間は少々短い気もする。 種々の職種からの参加者がいて、大変有意義に勉強できたが、人選もかなり重要であると感じた。 ―― 今回のワークショップでは、リサーチ・クエスチョンの重要性を改めて感じました。中でも、どのようなテーマを選ぶかというより、どのように問いを立てるかという点で多くのヒントがあり、今後に活かせそうです。 また、インタビュー→分析シート作成→モデル修正をグルグル繰り返すという一連の流れが具体的にイメージでき、大いに収穫がありました。 ただ、インタビュー記録から概念を生成する作業では、トライ&エラーを繰り返すことと、実際のデータを見ながらアドバイスいただくことにもう少し時間を配分していただきたかったな、というのが実感です。 ―――― 感想は大きく3つです。 ●ひとつは、やはり本だけからの勉強ですと、それを用いた「実践」をするかしないか、ということは読者に委ねられていますから、私のように怠惰な人間の場合、いつそれを行うかわかりません。今回のように、半ば強制的に行動をすることで、読書だけでは得られなかったさまざまな経験をすることができ、それはとても大きな意義であったと思います。また、この際、研究テーマの「発掘」から「発表」までの一連の流れを(これもまた強制的・自動的に)辿ることにより得られたものも、決して小さなものではないと感じました。 ●2点目は、全体の進め方に関するものですが、研究がはじまると、「A.先生からの指導を聞きたい」、という欲求とは別に、「B.自分の研究について思考・実践したい(どんどん進めたい)」という要素がだんだん大きくなっていくことに気づきました。そのバランスは、はじめはAの要素が圧倒的に大きかったのが、徐々にBがそれを上回ってくるものであるように感じました。 ●最後に、月並みではありますが、このワークショップの真の成果というのは、講義の解散後に各自がそれをどのようなかたちで継承していけるか、という点にかかっているように思います。ここで得たものをそれぞれの研究なり日常なりに生かしていくことで、研究内容も参加者も質的研究の領野も、より豊かに育っていくように思います。 そして、それが実現されるためには(つまり、WSの解散後に各自の研究が継続されるためには)、やはりこのWS自体が、たのしい体験・濃密な体験でなくてはならないように思えますし、その意味において、じつにたのしかった今回のWSの参加者さんが(私も含め)、今後どのような展開を示していくのか、ということはとてもたのしみなことです。 ―――― ・ GTAの具体的イメージが実践的につかめ、収穫大でした。すぐ修論に使いますが、こういう風に進めればいいのだと、見通しが持てるようになったのが何よりうれしいです。 ・ 他の班の研究も面白かったです。ひねった問いの大切さ、センスの良さが問われること、こんな面白い研究になるのだ、ということが実感できました。 ―――― 4日間にわたる集中講義を受け楽しく受講できたこと、まず西條先生に心から感謝とお礼の気持ちを伝えたいと思います。訥々とした先生の口調は思わず次にいったいどんな言葉が出てくるのかと、期待感いっぱいに人を聞かせてしまうテクニックだと思いました。 日常生活で起きる身近なたわいないことの例から、質的研究の発想と思考方法をわかりやすく説明していただきました。私が感じたことは研究の対象が決して神聖な祭壇上にあるのではなく、身の回りの生活の中で起こりつつある物としてのとらえ方と把握すると、様々に研究方法にとらわれず応用でき、発見もあり、またそこにおもしろさがあることは身近な研究法として親近感を覚えました。 グループワークを実際に行い、みんなで考え抜く、言い合う、作り上げる、共同作業としてそんな楽しさが研究の中にあったのかと改めて感じることが出来ました。今まではひとり孤独の中でどうにかたどり着いた研究の自分だけが守らなくてはならない不安と迷いでつらい気持ちが多かったのですが、とてもエンパワーメントされました。 ―――― お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/10/11 02:54:01 PM
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