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西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2009/04/01
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カテゴリ:質的研究
これも過日(3月8日)、長崎大学で開催された質的研究集中ワークショップが無事終了した。

今回も、どの班も質的研究に適したおもしろいリサーチクエスチョンを立てることができ、少数事例に基づきながらも、有用な構造(理論)を提示することができたと思う。

今回は7名×5班=35名で行った。これまで適切な人数を探ってきたけども、どうやらこの7名というのがちょうどよさそうだ。

これまで5回やってきたわけだけど、その間少しずつワークショップ自体を洗練させてきた。といっても直線的に良くなってきたというわけではない。手探りで、試しながらやってきたので、あるところがよくなったと思うと、もういっぽうがうまくいかなくなってしまったり、ということも含みながら少しずつ質を向上させてきた、という感じだ。

そうこうしているうちに、今回、ようやく一通りの資料も揃い(←遅い)、「これでかなりいけそうだな」というやり方も自分の中で方法論として確立できたという感触があった。





このワークショップはもの凄い体力を消耗する。

自分の生命力を燃焼しながらワークショップを進めている、といった方がいいだろう(だから、ワークショップ期間中は、他の仕事はほとんどできないし、またそれが終わったあとは一週間ぐらいはバーンアウトすることも多い)。

正しい研究法やその手順をトップダウンに教える、というのであれば、生命を燃焼させる必要はない。

しかし、このワークショップは4日間で、数十名が5つの班に分かれて、一つの研究を立ち上げ、データをとり、分析し、理論を構築していくというものだ。 これは、一人ひとりの高いエネルギーと多様な関心を活かしながら、5つの研究として結実させていき、かつワークショップ全体を一つの方向に導き、まとめあげていく、ということだ。

だから、全身全霊とまではいかなくとも、自分の生命エネルギーを燃焼させなければ、それはできないのだと思う(少なくとも今の僕には)。





ところで、僕は研究法を教える際には、それぞれの関心を尊重しながら、「考え方」や「頭の使い方」を教えて、研究って愉しいものなんだと思って(思い出して)もらえたらいいなと思っている。

こちらからデータを与えて、それを分析するというやり方もとれるのだろうけど(それなら遥かに楽なのだけど)、それでは研究の愉しさを味じわうことはできない。

人は興味をもっていることならば、大変であっても積極的に取り組む。

だからときに12時間にも及ぶワークショップでも、休みらしい休みもあまりとらずに、終わったあとにも自主的に残ったり、朝早くきて作業に取り組めるのだと思う。

逆にもし、やらされている感があったならば、どんなにがんばりなさいといっても人間はさぼる方法を考えるだろう(具合悪くなったといって休むことだって遅れてくることだってできる)。



また、機械的にデータを切片化していくことで理論を作るというやり方もあるのだが、このワークショップではそういうやり方は採用していない。

僕は、研究においては、人間の持つ「考える力」「洞察する力」「類推する力」といったものを活かすことが重要だと考えているため、そのための方法やコツを伝えていくようにしている。

また、できるだけいろいろな意見を尊重しつつ、それはおもしろいから、そしたらこれをこうしてみたらいいのではないかとか、たとえばこういう風に分析したらいいんじゃないかとか、この概念はこういう名前のほうがよりよいかもね、というように、その場で考えたり、試行錯誤したりする姿をそのままみせることも大事なんじゃないかと思っている。

受講生は講師の言っていることと同時に、そのあり方や姿勢から学ぶことの方が多いと思うからだ。





ワークショップはなかなか大変だけども、それでもまたがんばろうかなと思うのは、受講生の愉しそうにグループワークしている姿をみたり、とても愉しかったと言ってもらえたり、班で仲良くなって忘年会をやったという話や、温泉研究合宿をすることになったという話を聞いたりしていくなかで、エネルギーをもらえるからだ。

僕はそれほどエネルギーの高い方ではないと思うので、自分の限られたエネルギーを、こういうやりがいのある仕事にむけていけたらと思っている。







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Last updated  2009/05/31 06:54:05 PM


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