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西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2009/06/01
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カテゴリ:構造構成主義
『なぜいま医療でメタ理論なのか――構造構成主義研究3』が公刊されました(3月に公刊されたのですがちゃんと告知するのがこんな時期になってしまいました。すいません)。




鼎談では、構造構成主義がいかに医療現場で使えるのかが様々な医療問題を取り上げながら語られており、また掲載されている論文は多岐にわたり、またかなり質の高い論文が揃っていますので、 関心のある方はぜひお手にとっていただければと思います。

そういえば、鼎談相手の岩田健太郎さんは先の豚インフル騒動で、かなりテレビに出ていたようです(僕はあまりテレビをみないので残念ながらみれなかったのですが)。



(また関連するMLやコミュニティや日記などで宣伝してくださるかたがいらっしゃいましたら、以下の情報をご自由にご活用ください)




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なぜいま医療でメタ理論なのか 目次


『構造構成主義研究』刊行にあたって

第1部 特集 なぜいま医療でメタ理論なのか
1-1 医療現場の諸問題を問い直す
    ――構造構成主義は医療教育現場でどのように使えるか
    ……………………………………………………岩田健太郎・八杉基史・西條剛央
1-2 看護学教育とSCQRM(構造構成主義) …………………………………石川かおり
1-3 構造構成主義を学びたいすべての学生へ
    ――自主ゼミを通して考えたこと………………………………………井上恵世留

第2部 論文
2-1 医療における構造構成主義研究の現状と今後の課題……………………京極 真
2-2 現象学によるデューイ経験哲学のアポリアの克服………………………苫野一徳
2-3 関心相関的妖怪論による妖怪学における信念対立の解消
    ――当該領域の総合的な研究方法論の構築に向けて……………………甲田 烈
2-4 契機相関性の定式化へ向けて
    ――構造構成主義におけるその都度性の基礎づけ………………………桐田敬介
2-5 構造構成的-教育指導案構成法の提唱
    ――実践知の伝承・継承・学び合いの方法論……………………………山口裕也
2-6 構造構成主義によるブルデュー理論の問題の克服試論
    ――社会学における信念対立の解消へ向けて………………吉崎 一・苫野一徳

第3部 書籍紹介
3-1 『共存の哲学』
3-2 『看護における理論構築の方法』
3-3 『ライブ講義 質的研究とは何か』ベーシック編/アドバンス編

投稿規定
編集後記




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編集後記

 構造構成主義が最も導入されている領域は,医療界である。実際に医学,看護学,精神医学,EBM,リハビリテーション,作業療法,理学療法,認知症アプローチ,介護,ソーシャルワーク,医療倫理,医療社会学,障害学,QOL理論などといった様々な領域・テーマに導入されている。そのため今回の特集は「なぜいま医療でメタ理論なのか」とした。

 本誌特集の第1部には気鋭の感染症学者であり医師である岩田健太郎氏,また精神医療施設の第一線で活躍されている作業療法士の八杉基史氏,西條剛央の三人による鼎談「医療現場の諸問題を問い直す――構造構成主義は医療教育現場でどのように使えるか」が掲載されている。それに加え,“構造構成主義が医療実践とその教育にどのように役立つ可能性があるか”といった観点から書かれた構造構成主義関連のワークショップや勉強会に参加された方の参加体験記を掲載している。

 これらの特集記事には,医療において構造構成主義をどのように活用すればよいのか,医療現場や実践でどのような形で役立つのかを考えるヒントがたくさん詰まっている。構造構成主義に関心はあるが,いまひとつその使い方がわからない,あるいは,どう学べば使えるようになるのかわからないという方にとっては,医療関係者のみならず多くの方に役立つものになっていると思われるので,是非ご一読いただければと思う。

 第2部には,6本の論文が掲載されている。そのうち原著論文(研究)は前回と同じ5本である。京極論文は,現在まで発表された医療における構造構成主義研究を整理したうえで,批判的検討を加え,構造構成主義が医療に与えた影響や研究遂行上の問題点と今後の方向性を示唆している総説論文である。これから構造構成主義研究を開始しようとする医療者にとっては必読の論文といえよう。

 苫野論文は,デューイ経験哲学の理論的問題は現象学によって克服可能であり,それによってデューイ教育理論をより原理的なものに編み変える可能性をもたらすものである。当該研究領域の専門家の方は,この論文の目的を踏まえたうえで,その理路が妥当なものかどうか批判的に吟味し,その有用性を検討してもらえたらと思う。

 甲田論文は,「妖怪」研究をめぐる民俗学,歴史学, 臨床心理学,精神医学の動向を概観しながら, 「妖怪」研究の現状とその問題点を把握したうえで,信念対立に陥っている当該研究領域を構造構成主義によって基礎づけ,今後の研究に有効なメタ方法論として「関心相関的妖怪論」を提示するものである。「妖怪」研究に構造構成的転回をもたらす論文になることが期待される。

 桐田論文は,構造構成主義が生成論的側面を直接基礎づける理路を備えていない点を指摘し,ロムバッハの議論を継承しつつ,原理的な生成論を定式化するものである。“その都度性”を担保する本論は,しなやかで柔軟な実践を理論的に基礎づける(正当化する)画期的な論文になっているといえよう。

 山口論文は,公教育には,教師間で実践知を伝承・継承し,学び合うという意味での継承機能の強化が求められていることを踏まえ,継承性を高めた「教育指導案のメタ作成法」を提示するものである。大掛かりなシステム論の開発など巨額の資金を必要とする方法ではなく,“いまあるもの”の価値を再度問い,その機能を高める具体的方法論を提示するという発想により提示されたこの枠組みは,教育現場にも直接資するものになっていると思う。教育に携わる人は是非,採用を検討してみてもらいたい。

 原著論文(啓蒙)としては,吉崎・苫野論文がある。これは,ブルデューのハビトゥス理論の関心の一端が信念対立克服にあったが,そのための十分な理路は備えていなかったことを指摘したうえで,その問題は,構造構成主義において十全に克服されることを論証するものである。本論は,もともとは再録論文として投稿していただいたのだが,査読者とのやりとりを通して結果的にまったく別の論文になったことから啓蒙論文として掲載させていただいた。なお,本論は社会学の論文として本誌に掲載された最初の論文であることを申し添えておく。

 今回も査読は建設的なものになるよう心がけたものの,査読のやりとりの度に膨大なコメントを付けさせていただくこともあり,厳しいものだったと思う。そのため掲載されている論文の斬新性は言うに及ばず,それらの平均的な学術的水準も十分に高いものになっていると思う。とはいえ,自戒を込めて言えば,査読を厳しくしすぎると,斬新な論文が掲載しにくくなるので,今後はその点も留意しつつ進めていきたいと思う。粘り強く修正していただいた投稿者の皆様に改めて感謝申し上げたい。反面,本号には掲載に至らなかった論文も少なくなかったが,諦めずに再投稿していただければと思う。

 第3部には,構造構成主義に関連する書籍の自著紹介や書評が掲載されている。今後も,本誌の方針に沿うものは掲載を検討させていただきたいと考えているので,自薦他薦を問わずご連絡いただければと思う。また構造構成主義の本誌の方針に適しているものであれば,他の媒体に掲載された書評も掲載させていただくことも可能なので,その場合,当該メディアに転載の許可を得てご投稿いただくようお願いしたい。

 前号と重複するが,以下に,論文を査読させていただいて気がついた点をいくつかまとめておくので,投稿を考えている方は参考としていただければと思う。まず本誌は専門分野の壁を越えた学際的な論文を歓迎しているが,それだけに専門外の人でも当該領域の動向を把握し,論文の意義を了解できるような書き方に十分配慮しておく必要がある。本誌に掲載されている論文をみていただければわかるように,質の高い論文は,先行研究群にしっかり位置づけられ,論文の意義と限界が明示的に示されている。したがって,研究論文としては関連する先行研究を渉猟し,精査してあるかどうかというのは採否の大きなポイントといえると思う。

 特に構造構成主義に関連する論文は多数公刊されているので,それらを精査し,関連する論考は書籍,論文の区別なく踏まえていただきたい。その際に,原典についてはできるだけ正確な引用(理解)を心がけることも,当然のことながら重要となる。また,形式に不備のある論文も少なくなかったので,投稿規定を参照の上,論文の形式を慎重にチェックしてもらいたい(ミスが多い人は複数の第三者に依頼してチェックしてもらうこともお勧めしたい)。

 4号の特集は「環境問題」とする予定である。温暖化防止運動を推進する人々が多数を占める中で,それに異を唱える書籍も多数出版されているものの,公の場で両者の間でまっとうな議論が行われたことはない。様々な立場の討議者を確保できれば(これが難しそうだが),そうした研究者によって忌憚のない議論が交わされる座談会を組みたいと考えている。

 4号の一般投稿の締め切りは2009年6月末とした。投稿が早いほど修正期間が長くなるため次号への掲載可能性が高まる。投稿を考えている方は早めに投稿していただければと思う(とはいえできる限り論文の質を高めることも忘れないでいただきたいが)。また他誌に掲載された論文をベースとした再録論文の投稿も受け付けているので,本誌のモチーフに適合する論文があればご一報いただきたい。また過去に掲載された論文を批判的に(建設的に)吟味するコメント論文なども歓迎している。その場合は当該論文の目的を十分踏まえたうえで,ご投稿いただければと思う。多くの投稿をお待ちしている。

『構造構成主義研究』編集委員会
西條剛央・京極 真・池田清彦



-----編集後記ここまで










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Last updated  2009/06/09 03:32:18 AM


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