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ちょっと前に今話題の,村上春樹『1Q84』を読んだ。 どういうわけか村上春樹は僕にはあまり響かないので(『ノルウェーの森』も然り),とりあえず読んでおくか,本当におもしろいのかいな,という懐疑的な気持ちで読んだわけだけど,これはおもしろかった(ネタバレにならない程度に感想を)。 二人の主人公を基軸とした,まったく別の話が並列的に進んでいく。そうするなかで並行するストーリーに一瞬の邂逅が垣間見え,デジャブ感に襲われる。小説の中で現実と小説の違いがわからなくなるように巧みに現実と同型の話題が組み込まれていることで,もしかしたらこの現実も,と一瞬思わせるように構成されている。 それらが有機的に結合して,“この小説は一体何なのか,そこで何が起こってるのか,そしてそれを読んでいる自分の身にも何が起こっているのかを確かめるために,どんどん先を読まざるを得ない”という衝動に駆られる。 そこで確かに何かが起こっているのだけど,それが何かわからない,というほどその何かを確かめたくなる構造はない。精巧に作られた構造があらゆるところに埋め込まれている(これは村上春樹らしさなのかもしれないが,その一つの極かもしれない)。 いろいろ批判することもできるだろうが,村上春樹はそれもよくわかった上で書いている,ということも巧みに小説の中に埋め込まれている。 細部まで計算して作り込まれているなと思った。 これは間違いなく凄い小説だと思うが,何気にエロスに溢れているので学校の課題図書とかにはならないだろうなと思った(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/10/03 07:20:19 AM
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