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テーマ:ミステリはお好き?(1494)
カテゴリ:ミステリ
奇しくも二日連続して「鴉」の文字の入ったミステリの感想となりましたが、こちらは結構前(1997年?)に出版された…メルカトルシリーズ(でいいのか?)の一冊。
話の筋は――― ピカ! ゴロゴロゴロゴロ… ヒュー 美袋「ヒィィ すごい所の出身だったんだなぁ 君は…」 ピカ! バシィイイ!! 村人「おおー天がお怒りになった」 村人「よそ者が来たからじゃ。 よそ者がこの聖なる地に足を踏み入れたからじゃ」 美袋「うわー!!」 ―――え?全然違う?そもそもこの本には美袋は出てこない? …はい。そうです、大嘘です。でも、まずこの本を読んで最初に頭に浮かんできたのは上記のシーンだったり(ちなみに元ネタは「こいつら100%伝説」)。多分、美袋が出てこなかったのが悲しかったんだろうなぁとか思う私は、探偵の助手役LOVEの人。 まぁ、阿呆な前振りはともかく。 この本の本当の主人公は、「アベル」という名の弟の失踪と死の謎を追う「カイン」という名の兄で。その名前から容易に推測できる通りの葛藤を抱えた彼の懊悩は、身勝手でありながらもどこか物悲しく。(主人公兄弟の名前は本当は漢字表記なんだけど変換できない…) 私達の常識から見れば異常極まりない信仰に支配され、およそ現代の日本とは思えない生活を送る隔絶された村、そこでおきた殺人。 異邦人である主人公を受け入れた人々、受け入れない人々。そして、そんな主人公が対面する更なる「異人」。 いい人が殆ど…な、終盤の展開はちょっとしんどかったですけど、メルカトルによってそれまで組み上げていた「世界」があっさりと崩れ落ちていく様子は正に「銘探偵が世界を変える」と言った所でしょうか。(ちなみに私は、本来このキャッチコピーが使われてた方の小説もかなり好き) 読者に向けて仕掛けられたトリック(ってこの書き方で分かっちゃうかな…)は、意識して再読してみれば、確かに違和感を感じるだろう部分が多く仕掛けられているとはいえ、多分、初読時は殆どの人が気付かなかったんだろうな…ええ、私はまったく気付かなかったですよ。 でも、「外」に行くことを夢見てた「あの子」が死ななかったことは素直にホッとしてたり。事件の本当の真相はこの子にとってはなかなか惨い物だったのかもしれないけど、でもこの子は真相を知らないし、多分ずっと知らないままなんだろうなぁ…あう、主人公目線ではほとんど接触がないから仕方ないんだけど、私としては「彼女」よりもこの子のことの方が気になって気になって…いつか、夢を叶えていたらいいんだけど。 そして気になるのが、メルカトルの心境。 それこそ「考える時間」は腐るほどあったであろうメルカトルが一体何を考えていたのか、そもそも彼は何故この村に来たのか―――絶対に明かされることはないだろうとは思うけど、それだけに気になって仕方がなかったり。 以下、ネタバレ反転。 それにしても、メルカトル=龍樹頼家&香月実朝双子の、父方の故郷がこんな村だったとは…なんか、納得。 しかしメルカトルは母方の実家では思いっきりぶっ殺されてるし、父方の実家はこんなんだし…うん、絶対里帰りはしないほうがいいんだね、こいつは。 さて、お次は「蛍」にいくかな…と思いつつ、どーにも美袋くん分(勿論美袋くんに含まれている成分です)が欠乏してるんで、明日辺り「メルカトルと美袋のための殺人」の文庫版でも購入する予定です。可愛いよねえ、美袋くん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.11 18:25:06
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