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カテゴリ:タイタス・クロウ・サーガ
個人的にはとても面白いと思いますし、客観的に見ても出来のよいヒロイックファンタジー小説だとは思いますが、実の所<タイタス・クロウ・サーガ>とは、とてもとてもつっこみどころの多い小説であると最近は思うのです。
例えば、「地を穿つ魔」における主人公の中盤以降の脇役化とか、ドリルでるんるんくるるんるんな邪神さんとか、そもそもクロウ自体が結構クトゥルーというジャンルに対する著者のメアリ・スーっぽいところとか、まぁそれらは枚挙に暇がないわけなのですが。 水と土木工事で退治されてしまった哀れな邪神さん、シャッド-メル。(クトーニアンとも) このメルさん(某銘探偵にあらず)にたいして、人類側であるウィルマース財団がとった戦略は割と非情というか、人でなしなものでした。 貴重な卵&幼生体を人質(邪神質?)に親を呼び寄せては、罠に嵌めて殲滅って…いや、手段を問うたりなんかしてられない連中が相手なんだから仕方がないんだろうけどさぁ、でもいくらなんでも子供を盾にって…どっちが鬼畜なのやら。 そもそも主人公であるクロウも物語冒頭で入手したシャッド-メルの卵を皮切りに、この事件へと足を踏み入れることになったのですから、ある意味「地を穿つ魔」における最重要アイテムは、このシャッド-メルの卵なのかもしれないのですが… ちょっと、そこで気になることが。 厚紙の蓋をそっとあけてみて、察しが当たっていたことを見てとった。箱に入れられていた、美しい光沢を放つ四つの<球>のひとつをつまみあげた。(「地を穿つ魔」95頁) ―――えー、この文が何かというと「地を穿つ魔」の序盤に、シャッド-メルの実在を疑うド・マリニーに対し、クロウが文通相手より受け取ったシャッド-メルの卵の実物を見せるシーンなのです。つまり、美しい光沢を放つ四つの<球>というのが、シャッド-メルの卵なわけですが… この人たち、曲がりなりにもクトゥルー邪神群の一柱であるはずのシャッド-メルの卵を、よりにもよってボール紙の箱に入れて保存したり、郵送したりしていやがります。 いや、そりゃ確かに卵自体には大した危険性はないのかもしれませんが、それにしてもよりによって厚紙だのボール紙だの、とにかくそんな風に表現される紙製の箱に入れて国際便で郵送するってそりゃいくらなんでも無茶というか、緩衝材が山ほど入っていた分オーブンレンジの方がなんぼか丁重に包装されてると思うんですが。 まぁ最初にクロウにそれを贈った文通相手―――レイモンド・ベンサム氏はごく普通の炭鉱調査員でオカルトの方面に対する知識などは殆ど持ち合わせていらっしゃらなかったでしょうから仕方がないのでしょうが、オカルティストとして必要以上にその方面の知識を蓄えていた筈のクロウ&ド・マリニーまでもが、そんな適当な箱にぶちこんで送るというのはちょっと。 しかもド・マリニーに至ってはその卵の入ったボール紙の箱を寝室に置いて、一晩過ごしたりしてるし…だから、なんであんたらはそうなのだと。 ―――とりあえず、もしも万が一私が邪神の卵を受け取ったりした日にゃ、金属製の丈夫な箱か、せめてプラスティックか何かで出来たそれなりに分厚く頑丈な箱に入れたいと考えると思うんですが、皆さんはどうでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.16 11:53:30
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