|
テーマ:ミステリはお好き?(1479)
カテゴリ:ミステリ
共に児童書の体裁で発売される「ミステリーランド」の一冊として発刊された書下ろし作品なのですが―――この2冊はガキが読んだらトラウマになると思う、それもかなり。
・「神様ゲーム」 麻耶雄嵩 まぁ、麻耶雄嵩ファンとしては許容範囲内だけど、間違っても子どもには読ませたくないお話だったり。…読んだ人はならこういいたくなる気持ち、分かるよね? なんていうか…エグい。それも目に見える形、肉体的な残虐さだけじゃなくて、精神的にとんでもなく惨く、非情なエンディング。普通立ち直れないよ、こんな経験したら。 しかもビジュアル的にというか、直接的にもかなり悲惨なシーンまであるし…こういう話こそ、15禁くらいの制限かけて置かないと、なんの罪もない読書好きのお子様がこれを手にとって読んでしまう光景を思い浮かべて…ちょっと、見てみたい気がしないでも。 いや、前言とは思いっきり矛盾してますけど、なんていうか色んな意味でまだ擦れてなかった子供のころにこの本を読んで衝撃を受けてみたかったし、そういう経験が出来るかもしれない今の子どもがちょっと妬ましい気持ちもあるんだけど…でも、やっぱりあんまり読んで欲しくないなぁ、とも思うのは、一応名目上は大人に片足を突っ込んじゃってる人間のエゴなのかも。 でも、ラストの集合写真(?)の一枚絵は思いっきり反則だと思う。 ―――畜生、ちょっと涙ぐんだじゃないか。 ・「子どもの王様」 殊能将之 あー、「神様ゲーム」に比べればエグさも少ないし、読後感も悪くないけど…でも、比較対象がアレすぎるだけで、これもこれで十分にエグいお話だと思う。 「神様ゲーム」がどす黒い「何か」を薄皮で包み込んだ大福みたいな構造だとしたら、こっちはどす黒い物を材料の段階で混ぜ込んでそのまま綺麗に焼き上げたケーキって感じかも。 現在の子供・地域社会が内包している「悪い物」を、もう既に確かに存在している物として、極々普通に、何の解決も示さずにさり気無く混ざるあたりの悪意の深さは、こっちの方が上かもしれないなぁ…でも、それは嫌になるほど現実的な感覚でもある。 ただそういった暗さを中和している、主人公である少年の家庭―――母子家庭の明るい描写は普通のホームコメディーっぽくていい感じ。サオリはかなりいいお母さんじゃないかと素直に思うよ。もっとも、そういう明るさを感じる描写も、暗い面を際立たせてしまっているんだけど。 それにしてもこの話の中で起きた事件のその性質を考えると「子どもの王様」って言葉は、色んな読み取り方が出来て、なんとも不気味。「子どもの王様」が辿った末路は、或いはそれしか解決法がなかったのかもしれないけど、でもいくらなんでもなぁ… 見方によっては、「主人公の男の子は、知恵を絞って悪い奴をやっつけました」みたいな表現が出来なくもないと思うけど、でもああいうやり方には、本能的に不快感を持つ人も多いんじゃないかなぁ。それと、主人公を憎悪してしまうあの子の気持ちも、なんとなく理解できるだけに切ない。 でも「神様ゲーム」の主人公に比べれば、まだ明るい未来が想像しやすい分、こっちの子達のほうが少しは救いがあるのかな…あって欲しいな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.18 18:37:43
コメント(0) | コメントを書く
[ミステリ] カテゴリの最新記事
|