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カテゴリ:タイタス・クロウ・サーガ
「今さらなにをいっているんだ!」わたしは口をはさまずにはいられなかった。「きみがいつかぼくを巻き込んだ、あの<海賊の石>事件以上に理解困難な話があるとは、とても思えないね。(後略)」(『地を穿つ魔』39頁)
上記の文章は、『地を穿つ魔』序盤においてブロウン館に呼び出され、訳の分からない御託を並びたてられ挙句の果てに「これからわたしが話すことを、きみは信じないだろう?」(意訳)と、クロウに言い放たれたド・マリニーの反論の科白だったりするんですが… コレのどこが萌えなのかと申しますと、やっぱりここきみがいつかぼくを巻き込んだ、あの<海賊の石>事件という表現に尽きると思うわけなのです。 そもそも<海賊の石>事件というのは、「タイタス・クロウの事件簿」に収録されている同名の短編のことだと思われるのですが、この話におけるド・マリニー(&クロウ)は、事件の解決に全く役立っていない…というか、ド・マリニーの方は端的に言って二日酔いのまま呼び出され、よく事態が飲み込めないまま引きずり回され友人の最期を看取ったという感じなわけでありまして、まぁ詳しい事はここを読んでいただくと早いと思いますが、とにかくこの<海賊の石>事件にまつわるエピソードは、なんと言うかクロウのワガママ女王様っぷりが激しく際立つ一件なのです。 直後は何も言わなかったけど、流石のド・マリニーも少しはクロウの態度に腹を立ててたのかなぁ…と、冒頭の文章は微妙に邪推出来るあたりが非常に萌えると思います。 全面的に崇拝して何でも言うことを聞く姿にも萌えるけど、それでも少しだけムッとしているド・マリニーも物凄く可愛いと思う。 年齢差とか立場の差とか、もっともっとミもフタもない領域で話すとしたら主役とその脇役の差とかそういうののせいなのか、どうしても『対等』ではないクロウとド・マリニーの関係だからこそ、こんな普通の『怒り』(とまではいかないかなぁ)の表現に目が行ってしまうのかな? ―――でも、なんと言っても生涯の親友なんだからもうちょっと普通に喧嘩とかしてくれると、ヨコシマな読者としては嬉しいんだけど、これから邦訳される続編に期待…するしかないね、やっぱり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.10.05 18:39:15
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