カテゴリ:酒
「ドイツ人とビール」について語ったのであれば、「フランス人とワイン」についても語らねばならないとしたものでしょう。 今日では日本でもワインは気軽に飲まれるようになりましたが、やはり私ら中高年の世代は、ビールこそ 「とりあえずビール!」 と気軽に注文できますが、ワインとなるとどうしたものかと尻込んでしまいます。まず赤にするべきか白にするべきかで多いに悩まなければなりません。色の選択ばかりでなく、飲む前に面倒なことが多すぎる。そんな事など気にかける必要はない、飲みたいものを注文すればいいのだと言ってもらうと気が楽になるのですがね。皆さんどうです。ワインリストを手渡されると、少し格好をつけてみたくなりませんか? 若いころこんなことがありました。仕事上大変お世話になっているお得意先の研修会という名の海外旅行に参加したことがありました。アメリカの流通小売業の視察ということで、シアトル、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴのスーパーマーケットやデパートを見て回ったのです。 確かサンフランシスコで一泊した夜のことではなかったか。参加者総勢で一流レストランで食事をしようということになった。ところが旅行会社のツアーガイド兼通訳が、直前になって急用が入って一緒に行けないと言い出した。 「レストランは予約してあります。タクシーも人数分手配しました。タクシーが来たら運転手に店の住所を書いたメモを見せてください。五分ほどで着きますよ」 とガイドが言うではありませんか。参加者の中で一番若かったのは、この私。 「お前、学校出たばかりだし、英語少しぐらいなら話せるだろう」 と、お得意先の商品部長が言う。 「そうだ、そうだ。せっかく予約したレストランをキャンセルする手はない」 みんなが無責任なことを言いだして、たちまちのうちに意見が一致。私が旅行会社のツアーガイド兼通訳代理ということになってしまった。本職のツアーガイドが言ったように、タクシーは間違いなく私らを予約したレストランの玄関先まで送ってくれたのでした。 「げっ、この店構えはどうだ。おい、〇〇(←私のことです)、俺ネクタイしていないけど入れるかなぁ~」 などと言っていたくせして、店に入ってテーブルについたら、そんなことを言っていた張本人が、 「お姉ちゃん、とりあえずビール!」 などと言い出すではありませんか。 「やめてください。恥ずかしいですよ。ここはカクテルとか注文しなきゃ。な、そうだろ、○○(←私のことです)」 「えっ、カクテル?俺カクテルなんて知らないぞ。どうしよう」 「そんならマティーニにしておこう。ステアではなくシェイクで」 自分がスパイ映画の主人公になったと勘違いする者も出る始末で、テーブルはたちまちのうちに喧騒に包まれたのでした。まあ、周りに私たち以外に日本語がわかる客がいなかったのは幸いなことでした。そんな東洋人の一団を迷惑そうに見つめるフロアー係に、私はようやくのこと、 「wine please!」 とだけかろうじて言ったのでした。するとそのフロアー係は、私が英語を喋れると思ったのでしょうね。思いっきり巻き舌の早口で、 「○△#×&、ホワイト、カルフォルニア、$%□?」 と聞いて来るではありませんか。語尾が上がり調子であったのと、「ホワイト」と「カルフォルニア」は何とか聞き取れたので、 「イエス、イエス! two bottle please!」 と私。 「おっ、〇〇すごいな。英語ペラペラじゃないか」 と商品部長は宣ったのでした。 「部長、白ワインを二本注文しましたが、値段を確認するのを忘れました。きっと高いと思いますよ」 悲しいことに初めての英会話に上がってしまい、「reasonable」と付け加えるのをわすれたのは大失策。 「部長、カードを用意しておいてくださいね。あとでサインもお願いしますから、漢字で名前を書いていただくだけでいいです」 勘定は全部得意先の会社の部長持ちにしてやった。この旅行のために初めてカードを作ったという部長は、 「おっ、わかった、わかった」 と、快諾してくれたのでしたが、果たしてわかっていたのでしょうかね。まあ、日本に帰ってから奥さんにこっぴどく叱られたのは間違いないでしょう。 この時のことがトラウマとなったのでしょうね。私はワインを飲むのはどうもはばかられてしまうのです。こんな間抜けな日本人がいるということは、フランス人には内緒にしておいてくださいね。 ・・・長くなりました。この続きは明日またお届けしたいと思っています。お楽しみに♪ にほんブログ村 FC2ブログランキング 人気ブログランキング PINGOO! ノンジャンル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年04月21日 11時50分05秒
[酒] カテゴリの最新記事
|
|