カテゴリ:ひとり言
物思いにふけるかのように紫煙をくゆらしながら、おもむろにグラスを傾ける。 かって酒とタバコは男の象徴そのものであったと言えたのも、最早遠い昔のこととなろうとしています。 先ずはタバコ。喫煙が健康に及ぼす危害が科学的に解明され、「喫煙は百害あって一利なし」とまで言わしむるになって久しいですね。 それを横目で見ていた愛飲家にとって、「酒は百薬の長」ということばこそ、人気時代劇「水戸黄門」の印籠ともいえるものでした。「このことばが耳に入らぬかっ!」というわけですね。 ところが近年研究が進み、習慣的飲酒が健康に及ぼす弊害は、喫煙と同等かそれ以上という研究結果が相次いで発表されるにいたり、愛煙家に続いて愛飲家の呟きも聞こえるようになりました。 「嗚呼、酒よ、お前もか!?」 どうも習慣的な過度のアルコール摂取は、その量の多少によらず、癌による死亡率を高めるということらしい。 ただ飲酒はタバコと違って受動喫煙というようなことがありませんので、酒飲みは酒飲みの責任においてリスクを被るだけですから、幾分気が楽といえるかも知れません。すなわち、 「俺が酒を飲んだからといって、お前が癌になるわけじゃない」 しかし、「俺が癌なる」確率は依然として消えぬままです。 私の好きな歴史小説作家の一人、現役の医者でもある篠田達明は、その著書「病気が変えた日本の歴史」の中で、がんについて専門家の医者ならではの風変わりな見解を述べています。 戦国武将前田利家の死因を消化器系のがんであろうと推測して、そのがんについて、次のように書いています。 「がんはそれとわかってから半年ぐらいは命があるのが普通だし、臨終近くまで意識がはっきりしているので、遺言はじめ死後の処理を考える時間が十分ある。利家も余裕をもってさまざまな指図をすることができた」 「覚悟さえできれば、がんで死ぬのも悪くないな、とわたしは思う。だいいいち、がんは長い間ニコチンやアルコールを与えてわが身に育てた可愛い分身ではないか」 さて、酒をこよなく愛する輩(ともがら)よ、「嗚呼、酒よ、お前もか!?」と嘆くより、篠田達明のようにありたいものだと思いませんか? にほんブログ村 FC2ブログランキング 人気ブログランキング PINGOO! ノンジャンル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年05月28日 11時50分06秒
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