カテゴリ:ひとり言
私らがまだ学生時代には、焼き肉店の人気メニューといえば、新鮮な牛もしくは豚の生レバーでしたが、今日では飲食店での生レバーの提供は法律で禁じられて久しいですね。 確か事の発端は焼き肉店で提供されたユッケが原因で死亡者を多数た食中毒事件がだったと記憶しています。厚生労働省が詳しく調査したところ、生肉のユッケもさることながら、牛のレバーを生で喫食して食中毒を起こす例が圧倒的に多かったので、生での提供が禁止になった経緯があったようです。 レバ刺しの味が忘れられないという健啖家は、牛がダメなら豚だと豚レバーに食指が向いたのは当然と言えば当然のこと。ところが豚のレバー等の生肉には食中毒菌以外にも人間に感染する肝炎ウイルスが潜んでいることが分かり、これも規制されることになった。 個人的には、レバ刺しはこの歳になるまで数度しか食べたことがありません。ヌルッとした食感があまり好きになれず、たとえ7月以降販売禁止になっても別段困ることはないと思います。 規制に異を唱える人たちの中には、生卵の喫食による食中毒事故の方がレバ刺しより多いのに、あえてレバーの生食だけを禁止するのはおかしいと言う意見もあったようです。カキの生食についても同様のことが言われていますね。 卵かけごはん大好き、新鮮な生ガキ大好き人間としては、レバ刺し騒動に巻き込まれて生卵と生カキも禁止にされては、困るなと・・・。(笑! 生カキを初めとする2枚貝による食中毒が、球形小型ウイルスによるものであることが分かったのは、つい最近のこと。生カキ=ノロウイルスのように言われて、貝類の生食を控えるようにと騒がれたことは、記憶に新しいですね。以来さすがに生ガキを口にすることは少なくなりましたが、卵かけごはんは依然と1週間に1度は食べています。生まれてこの方何個生卵を食べたことか、しかし未だかって卵を食べて腹を下したということはありませんよ。 ところが、何万個にいくつかの確立でサルモネラ菌に汚染された卵が発見されるのは紛れもない事実だそうですから、卵にしても加熱して喫食した方がいいというのは正論かもしれませんね。 フグは食いたし命は惜しし、さてはて、飽きることのない食い辛抱の人間たちの身勝手には、牛も豚も鶏も魚や貝も呆れ果てているに違いありません。 「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。 まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。 はじめに 小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。 「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」 そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。 ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。 ・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。 日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。 そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。 「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。 まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか? 第一部「酒」編 「過ぎたるは及ばざるがごとし」 古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。 「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。 このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。 大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。 3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか? しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。 すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。 確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。 あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。 飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。 酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。 世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。 ぜひご一読いただければ幸いに存じます。 にほんブログ村 FC2ブログランキング 人気ブログランキング PINGOO! ノンジャンル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年06月29日 11時50分07秒
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