カテゴリ:ひとり言
天下分け目の関ケ原といえば、日本人なら知らぬ人はいませんね。 関ケ原は、今を遡ること420年余り、天下の趨勢を決した戦いの地ばかりでなく、さまざまな文化の「境界線」でもあるようです。以前、そばやうどんにつきものの出汁の取り方、ネギ、醤油の違いについて、考察したことがありましたが、いなり寿司の境界線も関ケ原で天下を分けているとは、知りませんでした。 ウエブトピックスより、 なぜ四角と三角?「いなり寿司」の形が東西で違う理由 その“境界線”は 記事によれば、形状は「西の三角、東の俵型」で、中身はというと「関東は、いわゆる『甘じょっぱい』いなり寿司が主流で、具材も酢飯だけが基本。対して関西は、だしの味とお揚げの味を生かし、酢飯には、ニンジンやシイタケなど多彩な具、いわゆる『五目』が入るのが基本」とあります。 ・・・はて?子どものころ母親が作ってくれたいなり寿司は、三角だったように記憶していますが、最近もっぱらコンビニの弁当売り場で買い求めるいなり寿司は、三角であったり、四角であったりまちまちのような気がします。コンビニの系列によって違うのかも知れません。 中身のご飯はというと、母親の作るいなり寿司は白い酢飯だったですが、最近のコンビニのいなり寿司は、五目御飯であったり、ひじきが入っていたり色とりどりですね。 するとわが家のいなり寿司は、「形状は関西、中身は関東」ということになりますが、これはやはりうどんやそばの出汁やネギのときもそうであったように、地理的に中間に位置するからでしょうか。 当地北陸富山(富山県高岡市)は日本列島のやや北に位置するものの、東西でいえばほぼ中間地点。東京へも京都・大阪へもJRでほぼ3時間あまりで行けますからね。西でもあり東でもあると言えそうです。 天下分け目の関ケ原で東西を分けれたとしても、それは太平洋側のこと。日本海側は西と東が複雑に入り組んで、天下をすっきり分けるということは難しいようです。そういえば関ヶ原の合戦の折も、当地北陸(加賀・越中・能登)に勢力を張っていた戦国の雄前田利長は、旗幟を鮮明にしようとしなかった。 もしかしたら、そんな風土が、いなり寿司の形状にも影響しているのかも知れないと思ったりしています。 「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。 まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。 はじめに 小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。 「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」 そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。 ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。 ・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。 日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。 そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。 「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。 まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか? 第一部「酒」編 「過ぎたるは及ばざるがごとし」 古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。 「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。 このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。 大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。 3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか? しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。 すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。 確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。 あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。 飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。 酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。 世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。 ぜひご一読いただければ幸いに存じます。 にほんブログ村 FC2ブログランキング 人気ブログランキング PINGOO! ノンジャンル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年07月30日 11時50分06秒
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