カテゴリ:トピックス
人間とて生き物ですから、エネルギー源を摂らなければならない。食べなければ生きていけないのは自然の摂理。そして同じ食べるにしても、美味しく食べたいと思うのも人の性というものですが。 20XX年、人類は食事において味覚と栄養を分離するようになった。口内での咀嚼(そしゃく)すらせず、美味は脳感覚で堪能し、栄養素は錠剤で必要な分だけ摂取する。減塩や糖質制限など気にすることなく好きなだけ味わえ、資源の枯渇を気にすることもない――。 電気刺激で味覚を作り出すことが出来るデバイスが開発されたという話題です。 ウエブトピックスより、 フォーク変えたら唐揚げの味が濃い 電気刺激で味覚操作 私の父が生前にこんなことを言っていたのを思い出しました。 カレーライスを食べるときも箸を使うのを常としていた父でしたが、なぜスプーンを使わないのかと質すと、金属製のスプーンを使うと、歯の詰め物にスプーンが触れたとき悪寒が走しり、カレーが何ともいえずまずくなるというのです。 その時は訳のわからぬことを言う父だと気にもとめずにいたのですが、2種類の金属を重ねるとその間に電圧が生じて電気が流れると、高校の化学の時間に習ったとき、ハタと膝を打ちました。 私は未だかってそのような経験はありませんが、父は歯の詰め物の金属とスプーンが触れた時に発生する微弱な電流を感じ取って、それを悪寒が走ると言っていたのだなと。 ・・・なるほど、電気信号によって人の味覚を変えられるというのなら、この原理を応用すれば、塩分や糖質を制限しなければならない人に、仮想の塩味や甘味を利かせた食事を提供することが出来ますね。 生きていく上の必要な栄養素は錠剤で必要な分だけ摂取し、美味は脳感覚で好きなだけ堪能する。そしたら、中高年のオジサン族が抱える新三高(高血圧、高血糖、高コレステロール)もオサラバだな。(笑! あぁ~、喰った喰った。今日の肉じゃがはひと際砂糖が効いていて甘かったな。味噌汁の味噌は、何味噌だ?ずいぶん塩っ辛いじゃないか。・・・なんていうことになるのでしょうか? ・・・待てよ。塩味や甘味は百歩(百万歩)譲ったとしても、アルコールも電気信号で補われてはたまりませんな。 このボタンを数秒押してください。仮装ビールを味わえます。5秒でコップ1杯分のビールをお楽しみいただけます。こちらは同様に日本酒になります。10秒で一合換算のお酒になります。ただし、連続してボタンを押し続けることは、お避け下さい。 はたして電気信号で酔っ払って、気持ちいいものだろうか?(爆笑! 「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。 まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。 はじめに 小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。 「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」 そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。 ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。 ・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。 日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。 そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。 「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。 まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか? 第一部「酒」編 「過ぎたるは及ばざるがごとし」 古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。 「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。 このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。 大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。 3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか? しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。 すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。 確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。 あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。 飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。 酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。 世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。 ぜひご一読いただければ幸いに存じます。 にほんブログ村 FC2ブログランキング 人気ブログランキング PINGOO! ノンジャンル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年08月06日 11時50分07秒
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