カテゴリ:ひとり言
詩人谷川俊太郎は、若き日(確か18歳のとき)に「二十億光年の孤独」と題する詩の冒頭で、 「人類は小さな球の上で眠り起きそして働き、ときどき火星に仲間を欲しがったりする」と書いています。曰く「万有引力とは ひき合う孤独の力である」と。 人類が地球以外の天体で生存でしていくには、大気、水、重力、温暖な気候が必要なのは、言うまでもないこと。広大な宇宙には地球に似た惑星が必ずあるに違いない。そのような惑星があるならば、人類に似た生き物も存在するのではないか。 地球に似た環境の惑星を探し続けてきた科学者は、孤独の引き合う力に憑かれて研究を続けてきたのでしょうか。 この度、ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)内にある太陽系外惑星の大気中に水蒸気が存在することを初めて確認されたとということです。 その惑星とは、「K2-18b」。質量が地球の8倍、大きさが地球の2倍で、液体の水が存在できるハビタブルゾーン内で恒星の周りを公転している。岩石でできた表面と水を含む大気の両方を持つことが確認されたということです。 人類が始めて宇宙に飛び立ったのが、今から50年以上も前(1961年)のこと。以来人類は、宇宙に友達を探し求めて来た。その可能性が最も高いと科学者のいう惑星、それが「K2-18b」であるということです。 谷川や科学者ばかりではありません。ひと際さみしがり屋の私は、色めきだってこのトピックスを読んだのでしたが、その「K2-18b」がどこにあるのかというと、約110光年離れた天の川銀河(Milky Way)内のしし座にある赤色矮星(わいせい)の周りを公転していると書いてあるではありませんか。 ところで天文学者らは、宇宙空間の距離を太陽と地球との距離1億4959万7870.7キロを1AUとする天文単位(AU)を用いて表すのだそうです。で「110光年」を表せば、1光年は63,198AUですから、 63,198 × 110 = 6,951,780 AU ということになりますね。 これを私たちに馴染みのあるキロメートルで表そうとすると、149,597,870.7 × 6,951,780 という計算になりますが、そのような計算にどんな意味があるというのでしょう。 ・・・ただただ、孤独の引き合う力が増すばかりとしか言いようがありません。 「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。 まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。 はじめに 小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。 「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」 そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。 ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。 ・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。 日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。 そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。 「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。 まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか? 第一部「酒」編 「過ぎたるは及ばざるがごとし」 古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。 「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。 このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。 大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。 3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか? しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。 すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。 確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。 あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。 飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。 酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。 世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。 ぜひご一読いただければ幸いに存じます。 にほんブログ村 FC2ブログランキング 人気ブログランキング PINGOO! ノンジャンル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年09月18日 11時50分09秒
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