テーマ:ねこといっしょ(8876)
カテゴリ:猫
奇跡といったら大仰過ぎてしまうけれど、でも、偶然とは思いたくない。ささやかながら目には見えない何か不思議な力を感じるときがあります。 きのうはこんな経験をしました。 ことの発端は、午前11時過ぎのことでした。 猫のカノンが、動物病院からもどり家に入れる直前で脱走してしまいました。 新しく購入したキャリーの留め具がもともと甘かったことは甘かったのですが、まさか、突き破って飛び出すとは…! 一瞬の出来事で、あたりをいくら探してもカノンの姿は、もうどこにもありませんでした。 私たちは、そのうちお腹が空けばもどってくるだろうと半分はたかをくくりながら、一方で交通事故など最悪の事態にならなければいいがと半分は気をもみながら、家の戸口を開けたまま、家出ムスコの帰りを待ちつづけました。 しかし、彼は陽が沈むころになっても、帰ってきません。何度か、近所のあちこちを名前を呼びながら探し回っては見たのですが、気配すらないのです。 どこへいってしまったのだろう? 病院の行き帰りのストレス爆発で突っ走って、かなり遠くへいってしまったのかもしれない? あたりがすっかり暗くなっても、戸口は開けたままにしておきました。 もう今日は帰ってこないかもしれない、三日間、いやそれ以上たってようやく帰ってくる猫もいるということだから...。 そう思いながらも心配がつのるばかりであきらめ切れない私。じっとしていられなくて、気がつけば、ふだんはあまり通らない暗い道にいて、カノンカノンと呼んでいるのでした。 やがて、はたと思い出したのが、「ニコの鈴」でした。 「ニコの鈴」というのは、ニコのなきがらから外して、大切にとっておいた首輪についた小さな鈴のことです。 ニコは我が家のボス猫でした。特に、カノンはミレンと共に二コの従順な子分でした。三匹は二階の同じ部屋でずっと暮らした仲でもありました。 果たして、聞き覚えのある懐かしい「二コの鈴」につられて、カノンはもどってくるかしら…? 鈴の音は小さくて頼りなく、どこにいるともわからないカノンの耳にとどくとも思われません。でも、鈴を鳴らしながら歩いていると、二コと一緒にカノンを探しているような、どこか切なくどこかうれしい気分になるのでした。 さて、あたりを一巡してもどって来て見ると―。 夫が心配して、庭に出て待っていてくれました。 やっぱり駄目だったと報告しようと思ったちょうどそのときでした、 私たちの間の塀の上に、なんとカノンが姿をあらわしたのです! そして、私たちのほうは見向きもせず、まっしぐらに戸口から二階へと上がっていったのです。 これを偶然なんて思いたくありません。 ああ、ボス猫二コは、こうしてやっぱり生きているのだ、と思わずにはいられない私です。 ありがとう、ありがとうといいながら、ニコの碑を撫でていると、 不慮の事故で1歳そこそこで逝かせてしまったサクラも、このぶんだと、二コにしっかり守られてはぐれずにいる、という思いがしてくるのでした。
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