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 今日もよく晴れて、さわやかだ。気持ちのいい秋日和である。

 ‘刈株の後ろの水や秋日和’    (一茶)

 ‘朝東風やほのかに見ゆる秋日和’ (大魯)

 ‘秋日和鳥さしなんど通りけり’   (白雄)

 ‘鳥海にかたまる雲や秋日和’   (正岡子規)

 
  秋日和といえば、小津安二郎監督による1960年製作の日本映画「秋日和」の、あるシーンが懐かしく頭に浮かぶ。この映画を高校一年の時に観た。
  
 この映画は亡友三輪の七回忌に集まった友人三人(男性)が、未亡人の秋子(原節子)とその娘アヤ子(司葉子)と談笑するうち、年頃のアヤ子の結婚に話が至る。三人はなんとかアヤ子を結婚させようと動き始める。そして、てんやわんやの末、アヤ子は、結婚する。アヤ子を結婚に踏み切らせたのは、後に一人残る母親との旅だった。

 頭に浮かぶのは、その旅での数々のシーンである。なんともいえない親子の情が醸し出されていたのを思い出す。

 アヤ子を演じた司葉子さんは、近くに住んでいらっしゃる。ある時、彼女とこの「秋日和」の話で盛り上がった事がある。
 散歩の途中などで会うと、いつも恥らうような美しい笑顔で挨拶される。
 
 この映画の監督小津安二郎、そして主な配役、佐分利信、中村伸郎、佐田啓二、笠智衆、渡辺文雄、沢村貞子の皆さんは、既に他界された。

 今も、元気なのは、司葉子さん、岩下志摩さんぐらいだ。

 未亡人でアヤ子の母親を演じた美貌のトップ女優、原節子さんは、その早い引退と引退後の完全な隠遁生活なども同じことから『日本のグレタ・ガルボ』と言われている。まだご存命とのうわさもある。

 時にふれ、ことにふれ、色々と昔を偲ぶことが多くなったのは、加齢のせいか。


   ‘人生は すべて 心一つの 置きどころ’

 






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Last updated  2011.10.29 14:03:48
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