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2009/06/19
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カテゴリ:本・マンガ
村山由佳著「野生の風」


野生の風

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

色に魅せられた染織家・多岐川飛鳥、
野生動物のいのちを撮るカメラマン・藤代一馬。ふたりが出会ったのは、
ベルリンの壁崩壊の夜。運命的な恋の予感はそのまま、
アフリカでの再会へと結びつく。
サバンナの大地で燃え上がる愛、官能の炎。しかし、思いがけない事実が発覚して―。
運命の出会いから慟哭のラストまで胸を揺さぶる恋愛小説。




      *



「色」と「空気(風)」を強く感じさせる本。



「色」:

この小説を読む進めるだけで、
同時に色見本帳を眺めているかのよう。

桜鼠色、茶鼠、紫苑、鶯、薄紅、青藤、紅藤・・・

「色」に関する言葉をたくさん持ち合わせている
「日本」という国に生まれてきて、ホントよかったと思った。



「空気(風)」:

サバンナの雄大な風景、
そして、そこに悠々と流れる時間。

その風景を想像するだけで
自分の心も大きく大きく滑らかに広がる。


サバンナの草と土の匂いを包み込んだ「風」を感じながら
深呼吸したくなる。




      *




ストーリーにおける“切なさ度”に関しては、
この本は、 同じ村山さん著の「翼」や「星々の舟」には
全く及ばなかった。

また、ストーリー展開も、
あまり好きではない。


けれど、彼女の作品は私の心に合う。
何故、村山さんの小説が私にしっくりくるのか。


そのことが、この本を読んで、よくわかった。
彼女が描く主人公の女性の内面と、私自身が
似ているからなんだ。


この主人公の飛鳥は、

「嘘がつけないけど、本心を明かすのが得意じゃない。
仕方ないから当たり障りのないことしかしゃべらない」

「なりふりかまわぬみっともさを自分に許すことが
できない。だから最後にはいつも一人になるほうを
選んできた」

「いつも心の中に深い哀しみを抱えている」


この飛鳥の性格に関するセリフを読んで、
まるで私のことを書かれているのかと思った。
つまり、自分自身に対して「プライド(誇り)」が高い。


「君はもっとエゴイストになっていい」
”なりふりかまわずしがみつけばいい”


これができないから苦労している。
この小説も結局ハッピーエンドで終わらなかった。
こんなところも、私の生き方と重なっている。





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Last updated  2009/06/20 08:25:41 PM


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