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2010/04/17
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カテゴリ:本・マンガ
今日は、最近読んだ本
池谷裕二著“単純な脳、複雑な「私」”について。




単純な脳、複雑な「私」



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
20年前に卒業した母校で、著者が後輩の高校生たちに語る、
脳科学の「最前線」。切れば血の吹き出る新鮮な情報を手に、
脳のダイナミズムに挑む。かつてないほどの知的興奮が沸きあがる、
4つの講義を収録。




非常に面白かった星

前作?「進化しすぎた脳」も面白かったけれど、


進化しすぎた脳

私は、今作の方がもっと興奮を覚えました。


今回の方が、
心理学の要素を多く含んでいたからかな。




      *




上記、内容情報にも書かれている通り、
この本、池谷さんの母校での講義を収録したもの。


さすが、東大生を出すような高校ですね~。
賢い子が多い。
池谷さんに出す質問内容がものすごく鋭いんですよ。

私が高校生の時なんて、
こんなデキタ質問、一切できなかったですショックウキャッ
(もちろん今も・爆)




      *




講義のとっかかりは、
高校生が入って行きやすい「恋愛」の話題から。


・好きの理由は、後からのこじつけ。

・長時間接しているほど好きになる可能性が高い。脳は単純

・自分の視線を動かすかどうかで魅力的に感じる度合いが変わる。
 “私がわざわざ視線を動かしてまで観に行った人だから、それだけ魅力的に違いない。

・報酬系・テグメンタ=恋をしている時(ヘロイン使用中なども)脳内で活動している所。
             快楽中枢。寝食忘れて快楽を求める鼠。盲目性を生む部位。





そこから、
「直感」「無意識」「自由意思」「前適応」「幽体離脱」などについての講義に入り、


・直感(なぜか答えがわかる)というのは結構正しい。直感を生む場所「基底核」

・サブリミナル効果→無意識に影響

・身体が、意識よりも先に真実を知っている。
・脳は身体を介して、自分の置かれた状況を把握・判断する。
・身体で表現(行動)→表現している姿を脳が知覚→自分の内面理解

・準備→動かそう→動いた→指令(※指令よりも、行動が先)

・僕らにある「自由」は、自由意思ではなく自由否定。
 (行動しようと自分が意識する前に脳の準備が始まっている。つまり自分の意志は後付け。
 しかし、その後の「行動」の前にその準備を取り消すかどうかを決めることは
 自分の意思による)free won't

・「前適応」=ある生物学的形質が本来の目的とは違う目的に転用されること。

・幽体離脱を生じさせる脳部位「角回」(誰もが幽体離脱経験可能)
・他人の視点から自分を眺められないと、人間的に成長しない。
 自分を客観視できないと、自分に対しての気づき・反省が生じない。
 





最終的には、脳の「ゆらぎ」や「可塑性」、「リカージョン」など、
今の脳科学の最先端の研究を、図説とともに解説してくださっていました。


・脳はゆらいでいる。「入力+ゆらぎ=出力」。ゆらいでいる時は、失敗しやすい。
 行動直前の脳の状態が、行動結果の成否を握っている。
・脳の活動状況(ゆらぎ)を見れば、ミスをする前(6秒~30秒前)には
 それがわかっている。
・自由否定も脳のゆらぎなのかも。

・脳のゆらぎ(ノイズ)は、生物の多種性を保つのに必要。
・情報の利用と収集の切り替えを担うのが「脳のゆらぎ」
 (例:あっちを試してみようか等)

・ランダムなノイズから生みだされる美しい秩序-創発
 (数少ない単純なルールに従って、同じプロセスを何度も何度も繰り返すことで、
 本来は想定していなかったような新しい性質を獲得する)

・脳には可塑性がある。多様性を失った種は滅びる。脳の可塑性のお陰で、
 人は多様性を保っていられる。

・遺伝子は生命の「設計図」ではない。システムのルール(の一部)なのではないか。
 そのルールに基づいて、生物の材料たちがせっせと単調な作業を繰り返している。

生命の柔らかさは、「構造」から「機能」が生まれるだけに留まらず、
 逆に「機能する」ことによって、「構造を書き換える」ことにもある。
 機能と構造の相互作用を通じて生物は環境に適応していく。
 ~生命は自身を書き換える→脳の可塑性の基盤~

・リカージョンのせいで、「心はよくわからない不思議なもの」という印象が
 付いて回ってしまう。でも、その本質はリカージョンの単純な繰り返しにすぎない。
 →単純な脳、複雑な「私」→リカージョンの罠。





ちょっと引用が長くなってしまいました。
でも、それ位、面白かったってこと。


最後の方の「機能」「構造」のあたりは
おバカな私には少し難しかったけど、
それでも、何とか何とか必死に食らいつき・・・


読み終えた時は、満足感きらきら




もっと、色々なことを知って
どんどん自分に「フィードバック」して行きたいなって
思いましたよ。




      *




この著書で多くページが割かれていた「サブリミナル」について少し。


以前読んだ本、鈴木光太郎著
オオカミ少女はいなかった-心理学の神話をめぐる冒険」(2009/3/7ブログ)には、
「サブリミナル」を否定することが書かれていたので、

池谷さんの著書を読みながら、
一体、どっちが正解なの?(サブリミナル=鈴木:否定/池谷:肯定)と
思っていました。


そこで、鈴木さんの著書をサクッと読み返してみました。


そこには、1950年代にジェイムズ・ヴィカリーによって発表された
実験?内容に対する否定意見が中心に書いてありました。

でも、それ以外に、やはり「サブリミナル」自身に対しても
否定的に記されているように私は感じました。


これが、心理学の先生と、脳科学(薬学?)の先生との
意見の違いなのかな。



私としては、今、ここでどちらかの意見を信じるのではなく、

日々、研究は進んでいることだし、
色々な本を読んで勉強していこうと思った次第。




      *




また、池谷さんが書かれていた「生命のやわらかさ」と「多様性」いう言葉。



これによく似たことが書かれていた本があったなぁと
思い返してみたら、

福岡伸一著「生物と無生物のあいだ」(2009/4/26ブログ)と
福岡伸一著「できそこないの男たち」(2009/11/14ブログ)が出てきました。



時間をつくって、さくさくとこれらも
読み返してみよう。




      *




「生命」は、私たちがまだまだ知り得ない、
色々な可能性が秘められているってことですね。


面白いな。





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Last updated  2010/04/18 05:48:41 PM


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