カテゴリ:本・マンガ
今日は、最近読んだ本
池谷裕二著“単純な脳、複雑な「私」”について。 単純な脳、複雑な「私」 【内容情報】(「BOOK」データベースより) 20年前に卒業した母校で、著者が後輩の高校生たちに語る、 脳科学の「最前線」。切れば血の吹き出る新鮮な情報を手に、 脳のダイナミズムに挑む。かつてないほどの知的興奮が沸きあがる、 4つの講義を収録。 非常に面白かった 前作?「進化しすぎた脳」も面白かったけれど、 進化しすぎた脳 私は、今作の方がもっと興奮を覚えました。 今回の方が、 心理学の要素を多く含んでいたからかな。 * 上記、内容情報にも書かれている通り、 この本、池谷さんの母校での講義を収録したもの。 さすが、東大生を出すような高校ですね~。 賢い子が多い。 池谷さんに出す質問内容がものすごく鋭いんですよ。 私が高校生の時なんて、 こんなデキタ質問、一切できなかったですウキャッ (もちろん今も・爆) * 講義のとっかかりは、 高校生が入って行きやすい「恋愛」の話題から。 ・好きの理由は、後からのこじつけ。 ・長時間接しているほど好きになる可能性が高い。脳は単純。 ・自分の視線を動かすかどうかで魅力的に感じる度合いが変わる。 “私がわざわざ視線を動かしてまで観に行った人だから、それだけ魅力的に違いない。 ・報酬系・テグメンタ=恋をしている時(ヘロイン使用中なども)脳内で活動している所。 快楽中枢。寝食忘れて快楽を求める鼠。盲目性を生む部位。 そこから、 「直感」「無意識」「自由意思」「前適応」「幽体離脱」などについての講義に入り、 ・直感(なぜか答えがわかる)というのは結構正しい。直感を生む場所「基底核」 ・サブリミナル効果→無意識に影響 ・身体が、意識よりも先に真実を知っている。 ・脳は身体を介して、自分の置かれた状況を把握・判断する。 ・身体で表現(行動)→表現している姿を脳が知覚→自分の内面理解 ・準備→動かそう→動いた→指令(※指令よりも、行動が先) ・僕らにある「自由」は、自由意思ではなく自由否定。 (行動しようと自分が意識する前に脳の準備が始まっている。つまり自分の意志は後付け。 しかし、その後の「行動」の前にその準備を取り消すかどうかを決めることは 自分の意思による)free won't ・「前適応」=ある生物学的形質が本来の目的とは違う目的に転用されること。 ・幽体離脱を生じさせる脳部位「角回」(誰もが幽体離脱経験可能) ・他人の視点から自分を眺められないと、人間的に成長しない。 自分を客観視できないと、自分に対しての気づき・反省が生じない。 最終的には、脳の「ゆらぎ」や「可塑性」、「リカージョン」など、 今の脳科学の最先端の研究を、図説とともに解説してくださっていました。 ・脳はゆらいでいる。「入力+ゆらぎ=出力」。ゆらいでいる時は、失敗しやすい。 行動直前の脳の状態が、行動結果の成否を握っている。 ・脳の活動状況(ゆらぎ)を見れば、ミスをする前(6秒~30秒前)には それがわかっている。 ・自由否定も脳のゆらぎなのかも。 ・脳のゆらぎ(ノイズ)は、生物の多種性を保つのに必要。 ・情報の利用と収集の切り替えを担うのが「脳のゆらぎ」 (例:あっちを試してみようか等) ・ランダムなノイズから生みだされる美しい秩序-創発 (数少ない単純なルールに従って、同じプロセスを何度も何度も繰り返すことで、 本来は想定していなかったような新しい性質を獲得する) ・脳には可塑性がある。多様性を失った種は滅びる。脳の可塑性のお陰で、 人は多様性を保っていられる。 ・遺伝子は生命の「設計図」ではない。システムのルール(の一部)なのではないか。 そのルールに基づいて、生物の材料たちがせっせと単調な作業を繰り返している。 ・生命の柔らかさは、「構造」から「機能」が生まれるだけに留まらず、 逆に「機能する」ことによって、「構造を書き換える」ことにもある。 機能と構造の相互作用を通じて生物は環境に適応していく。 ~生命は自身を書き換える→脳の可塑性の基盤~ ・リカージョンのせいで、「心はよくわからない不思議なもの」という印象が 付いて回ってしまう。でも、その本質はリカージョンの単純な繰り返しにすぎない。 →単純な脳、複雑な「私」→リカージョンの罠。 ちょっと引用が長くなってしまいました。 でも、それ位、面白かったってこと。 最後の方の「機能」「構造」のあたりは おバカな私には少し難しかったけど、 それでも、何とか何とか必死に食らいつき・・・ 読み終えた時は、満足感 もっと、色々なことを知って どんどん自分に「フィードバック」して行きたいなって 思いましたよ。 * この著書で多くページが割かれていた「サブリミナル」について少し。 以前読んだ本、鈴木光太郎著 「オオカミ少女はいなかった-心理学の神話をめぐる冒険」(2009/3/7ブログ)には、 「サブリミナル」を否定することが書かれていたので、 池谷さんの著書を読みながら、 一体、どっちが正解なの?(サブリミナル=鈴木:否定/池谷:肯定)と 思っていました。 そこで、鈴木さんの著書をサクッと読み返してみました。 そこには、1950年代にジェイムズ・ヴィカリーによって発表された 実験?内容に対する否定意見が中心に書いてありました。 でも、それ以外に、やはり「サブリミナル」自身に対しても 否定的に記されているように私は感じました。 これが、心理学の先生と、脳科学(薬学?)の先生との 意見の違いなのかな。 私としては、今、ここでどちらかの意見を信じるのではなく、 日々、研究は進んでいることだし、 色々な本を読んで勉強していこうと思った次第。 * また、池谷さんが書かれていた「生命のやわらかさ」と「多様性」いう言葉。 これによく似たことが書かれていた本があったなぁと 思い返してみたら、 福岡伸一著「生物と無生物のあいだ」(2009/4/26ブログ)と 福岡伸一著「できそこないの男たち」(2009/11/14ブログ)が出てきました。 時間をつくって、さくさくとこれらも 読み返してみよう。 * 「生命」は、私たちがまだまだ知り得ない、 色々な可能性が秘められているってことですね。 面白いな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/04/18 05:48:41 PM
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