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2006年12月12日
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カテゴリ:パパの作品
このお話は、連載です
まだの方は第1章からどうぞ
第1章 地上へ 第1話


◎ 虹の橋2006
第2章 再会 第6話 ラブ


登場人物  ラブ

みなさん、初めまして、ラブです(^^)
いつもうちのお母さんと仲良くしてくださってありがとうございます

私が橋を渡ってから、こちらでの友達もずいぶん増えました
今年の夏はずいぶん暑かったね
それは、気温だけのせいじゃなくって、こちらの世界の人がお盆に里帰りをして大騒ぎしてきたみたいだからね

でも本当はこちらの世界には、時間や空間というものはないので地上のどの季節のどの時間にでも行こうと思えば行くことが出来ます
それで、私もみんなと一緒に出発したんだけど…


私の行きたい季節は、みんなのようにお盆じゃなくって、もちろん、クリスマス(^_-)

私はこちらに来たときに光さんに背中に着けていただいた大きな翼を羽ばたかせました
と、そこで私は大きな忘れ物をしたことを思い出しました
そう、シェフを連れてくるのを忘れてた~(T_T)

私はシェフが作った広い広いお花畑の上を翔んで、いい匂いのする厨房へ行きました
「シェフーっ、行くわよ早く早く!!」
「ラブ!悪いけど1人で行ってくれ。早うごちそうを作らな、クリスマスにみんなに食べさせられへん^^;」
「そんなぁ(-_-;)」
「僕は毎年バレンタインに彼女に会いに里帰りしてるから、お前1人で帰ってくれ」

シェフは汗だくになってフライパンを振ったりオーブンを開けたりしています
ダクトから吸い込まれた煙は、吐き出されるときにはきれいな花びらになって、そこら中を舞っています

「ラブ、そんなにむくれるなって(^^;) 僕が手を休めたらクリスマスを楽しみに待っている世界中の人達に申し訳が立たへん」
やれやれ、いつもシェフはこうなんやから…
いっつも、自分のことは後回し…でもそれがとてもうれしそうなのです

仕方なく、出発の準備をしていると光さんがやって来ました
「ラブ、いい方法があるの、それはね…、……するでしょ?そして…するの。そうしたら……出来るでしょ(^^)」
「ええ~っ、光さん、いいんですか?そんなことしちゃって」
「大丈夫よ、じゃあ行きなさい」
そういって光さんは私に大きな袋をひとつくれました


私は翼を大きく広げました
地上へは、羽ばたかなくても降りていけるのです

私が暮らした楽しかった思い出の詰まったマンションが見えてきました
窓からのぞき込むと、夜も遅いのにお母さんが1人で机に向かって何か書いています
そうです、冬休みになってようやく仕事が一段落したお母さんは年賀状書きに追われているのです

光さんが、クリスマス前やから暖炉の煙突から入らなあかんって言ってました
変な現れ方はしたくないけど、光さんが言うんだから仕方ありません

ドッスン!!バリバリ

私は暖炉の灰の上にヘソ天姿で落下しました
灰が部屋中に舞い上がります

「うっわっ、何なん、うっ…」
お母さんのあわてた声が聞こえます
灰で灰で何も見えません

「消防呼ばな、警察呼ばな、テロや、サリンや!!」
お母さんはパニック状態です
その時私の頭の中に「ダクトのスイッチを入れろ」というシェフの声が聞こえました

私が記憶を便りに換気扇のスイッチを入れると、灰はどんどん吸い込まれ、部屋の中はきれいになり、次の瞬間シェフの厨房のように、無数の花びらがまるで粉雪のように上から降ってきました


うわぁ、きれいやなあ…
そう思って私が見た先には、お母さんが「ラブさん、おいで」と言うように両手を大きく広げてこちらに向かって立っていました
目は昔と同じようにやさしく笑っています

「お母さん!」
「ラブさん(T_T)」
「お母さん、お母さん(T_T)」
「ラブさん…」

…視線を感じて振り向くと、ノエルとゆばが部屋の入り口からのぞき込んでいます
「あんたたち…」
「ラブお姉ちゃん、お帰りなさい」

「お母さん、ただいま。シェフを置いといて私だけ帰ってきてしもて、ゴメン」
「何言うてんの。シェフが来られへんのは、事情があるんやろ。昔から自分のことそっちのけやったからなあ(/_;)でも、それがあの人の一番良いところやわあ」
お母さんの目がハートの形になっています

「それでね、その代わりに光さんがね(^^)……」
「いやや!私はまだ死なれへん理由があるの!」
「誰も死ぬ言うてへんかんや(^^)」
「あかんの!まだ逝かへんの!」

もう、こうなりゃ仕方がありません
私は光さんから貸してもらったサンタの袋を取りだし、その中にお母さんを押し込みました
「ひっ、人殺しぃ(T_T)人さらいっ!小百合、ちる、ノエルゆば、黙って見てないで助けんかいな!」
ノエルとゆばとお姉ちゃん2人は、助けるどころか手伝ってくれました(^^)/
みんなでお母さんの入った袋をベランダまで担ぎ出すとそこにはなんとサンタクロースがソリを停めて待っていてくれました
「やあ、メリークリスマス(^^)、早くソリに載せとくれ」

私はお母さんの入った袋をサンタクロースに任せ、他のみんなをソリに乗せました
トナカイさんはソリを引っ張り始めました
ソリからはスズの音が聞こえてきます
私たちは夜景を見下ろしながら、空高く上っていきます


もう大丈夫です
私は、袋をゆるめました
「ラブさん、どうして…どうしてこんなことするん?」

…お母さん、ごめんね。実はね、私1人で帰ってきたら申し訳ないから、シェフに一緒に来てくれるように誘いに行ったんやけど、シェフはクリスマスの準備が忙しくて、楽しみにしている世界中の人のために仕事を休むことは出来ないって…
…でもね、私はいつもみんなのためにこちら側で頑張っているシェフと、地上で頑張っているお母さんに会ってもらいたい…そしたらね。光さんが、お母さんをこちらに連れてきてシェフの仕事を手伝ってもらったら、シェフも仕事を止めないで済むし、2人に会ってもらえるから一番いいよって、本物のサンタさんに力を貸してくれるように頼んでくれたの…

ソリは、広大な花畑の上を滑ります
「お母さん、このお花畑はね。シェフのものなの。でもシェフがこちらに来て一から作ったものじゃなくって、シェフが地上でお母さんやお姉ちゃん達と育んだ愛の力で、誰も知らない間に花畑が出来て、こちらに来るときはこの花畑がまぶたに浮かんで、まっすぐここを目指して橋を渡ったんだって」
「(T_T)」

「ほら、シェフの厨房が見えてきたわよ」
厨房の煙突からは煙の代わりにきれいな黄色の花びらが吹き出しています
私は厨房の手前のお花畑にソリを停めました
「ちょっとラブさん、お母さんお化粧もして来んかったし、かなんわぁ」
「ええから、ええから(^o^)」
私はお母さんの背中をそっと押しました

後編へつづく(^^)/






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最終更新日  2006年12月13日 08時18分59秒
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