|
カテゴリ:カテゴリ未分類
大の大人が、子供に向かって
「お野菜マフィンちゃんができましたよー」と言ったら 皆さんはどう思われるだろうか。 私だったら恥ずかしくていたたまれない。 と言いながら、我が家ではこういう会話が時々行われていたのである。 家族の恥部を人様に披露するのは気が引けるが、 今日はネタもないので、書く事にする。 どういうわけか、長男は小さい頃に、 名詞に「くん」「さん」「ちゃん」などをつけて話す事が多かった。 すべてではないが、つける事によって話しやすい言葉もあったのだろう。 英語の発達とともにだんだんその「名詞呼称付け」は消えていったが、 いくつかその時代の名残が、未だに使われている。 「マフィンちゃん」はその一つだ。 他には 「パンツくん」「うんちくん」「ピーチくん」 「あんよさん」「パジャマさん」「おしっこさん」「スイカさん」 「シャワシャワちゃん」「ダイパーちゃん(もう卒業)」 など。 穴があったら入りたい気持である。 私はいつもいつもやさしーく子供に話しかけるタイプではない。 シュタイナー方式に歌うように話しかける、なんていうのは、最も苦手とするところである。 時には少しイライラ気味に 「ほれほれ、早くシャワシャワちゃんにはいんなさい」 「さっさと、ピーチくん食べちゃいなよ」 と声をかけたあと、はっとそのバランスの悪さに気がつくのである。 子供には正しい日本語を教えなければいけない。 いつまでもこんなバカな言葉を使わせていてはいけないのだ。 それには私自身が気をつけなければならないのである。 昔、当時15歳だった、知り合いの高校生の女の子に、日本語を教えていた事があった。お父さんがアメリカ人、そしてお母さんが日本人であるその子は、いくらか日本語が頭のすみに残っていた。 おかっぱ頭でスラリと背が高く、ロックバンドに興味のあったその子は、 いつも黒い唇、黒いマニキュア、髪の一部を緑に染めて現れたものである。 私も高校生のとき、バンドを組んでいたので、その子はよくそういう話を聞きたがった。親子ほども年は違うのに、よくふたりでバカ笑いをして止まらなくなった事もあった。 彼女の日本語が、時々びっくりするほど幼児語だったのである。 「アタシのお耳がね」とか、「今日はあんよが痛いのね」など。 彼女の風貌からその言葉が出てくるとは思わず、笑いをこらえて直してあげたものである。親とはもう英語しか話さなかったから、そんな幼児語が彼女の中に残っているなんて、彼女の親は思いもよらなかったに違いない。 去年日本に帰って、生の日本語の洗礼を受けた息子たち(特に長男)は、 「ぼく」から「オレ」に変わり、一時は「~だぜ」という言葉も使いたがった。でも所詮日本語の基礎が身に付いていないので 「オレのめめさん(目)がいたいんだぜ」 「オレのパンに、ジャムつけてくれてくれ」 なんて言っては従兄弟に爆笑されていたものである。 言葉というのは一朝一夕では、身に付かないという事が、よくわかったようだ。特にスラングは無理に使おうとすると痛い目にあう。 従兄弟に感化され、「やべえよ」「やってらんねえよ」「っせえな」などの乱暴な言葉も、息子の目にも男らしく輝かしく映ったようである。 従兄弟に笑われるといけないので、私相手にこっそりと練習していた。 「ママー、やべえよ、のどかわいちゃったのー」 「っせえな。あの音はなんでしょう」 と基礎もなっていないのに無理に多用していた。 耳障りなので、ある日一喝したらやめてました。 しかしこのままいくと、幼児語が残ってしまい、後の世で人に笑われたりするのは必須である。私の責任が大きく問われるので、ある日を境に、幼児語撲滅運動を始める事にした。 まず名詞呼称をやめ、あんよ、お耳、おめめなどを一掃する。 今後は敬語なども徹底させる。 美しい日本語を目指してGO、だ。 それなのに、今日おやつの時間になって、うっかりと 「お野菜マフィンちゃんができたから、早く食べなさい」 などと言ってしまったのだ。恥ずかしくて頭に血が上った。 息子たちも「わあい、マフィンちゃんだ」などと言っている。 せっかくの苦労も水の泡。 ま、また頑張りますよ。 *この野菜マフィンはけっこうおいしいです。 野菜嫌いの息子らの大好物です。 コンテンツにレシピをアップします。 本日の献立: ミートローフの残り・目玉焼きのせ、ハムとブロッコリーのクリームパスタ、 にんじんのグラッセ、野菜サラダ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|