シングル母のアメリカ暮らし

私がこの旅行で宿泊させてもらっているのは、
タイムシェアというタイプの会員制リゾートだ。

友人一家がこのリゾートプランのメンバーで、
今回１０日間のドライブ旅行のうち、７日間を
一緒に回らせてもらっているのである。

私の名前が彼らのゲストとして登録されているので、
今回しっかりと、勧誘のターゲットとなった。

１時間半のプレゼンテーション・ミーティングに
友人と参加するだけで、私は１００ドル分のお買い物券、
友人は１０００ポイント（約１泊分）がゲットできるのだ。

今日の午前中は１０時にチェックアウトしなければならないので、
その足で海岸に行き、友人夫は子守り、
友人妻と私でそのミーティングに出る。

愛想の良い、５０代くらいのおじさんが出迎え、
飲み物ややクッキーを振る舞われ、早速勧誘にはいる。

このシステムは確かにいいと思う。
そんじょそこらのホテルよりずっときれいだし、広い。
キッチンもついていて、調理器具や調味料まで用意されている。
洗濯機まであるのだ。
問題は肝心の値段なのだ。

確かによく旅行をする人ならば、そしてホテルに泊まるタイプなら、
年間での出費はずっと少なくなるに違いない。
だけど私はしがない母子家庭。
しかも貧乏キャンプ旅行だって、しけたモーテルだって
いっこうにかまわない。
今回は、この素敵な宿泊地を堪能させてもらっているけど、
毎月数百ドルものお金を払って、
家族旅行に当てる余裕はないのだ。

とはいえ、本当にゴージャスなところなのだ。
掃除付きの別荘のようなものだ。
いつか、余裕ができたらね、考えるからね。
説明してくれたおじさん、ありがとう。
入会できなくて、本当にごめんね。



海岸でお昼を食べたあと、次の目的地に出発。
今度は海岸から、一気に内陸の山地だ。
また４時間の道のりを延々と走る。
でも次から次へと現れる景色が本当にきれい。
まるで、彩度と明度の異なる、何十種類もの緑の絵の具をならべたパレットのようだ。何時間もドライブをしていながら、森林浴気分が味わえ、実に気持がよかったのだ。



ようやく、ドライブも疲れと飽きが出てきた頃、
次の目的地、Eagle Crestに到着。
６時を回っていたので、簡単にタコスを用意して皆で食べる。
彼らは色々計画をしているようだ。
何が起るか、明日が楽しみ。　

結局、どんなところに泊まろうと、
どこに行こうと、愛する家族や気のおけない友人たちと、
楽しく笑って非日常を共有できるのならば、
何だっていいんだよね、結局。