シングル母のアメリカ暮らし

朝、宿泊先を出て、
とにかくひたすら家路を急ぐ。

この体力の続く限り、走り続けるのだ。

といいながら、また名残惜しくなって、
州境で車を止め、今来た道を振り向いた。
オレゴン、初めて来たけど
すっごく楽しかったよ。
ありがとね。


　　　



カリフォルニアに入るとさまざまな道路標識が
いきなりバンバン現れる。
今まで気がつかなかったけど、うるさいほどだ。

Mt. Shastaで車を止めて、１０分の休憩。
ここにもゆっくり来なくちゃね。
霊験あらたかだから。（笑）

あとはただただ運転だ。
途中、トイレ休憩とガソリン補給以外は
とにかく運転した。
子供たちも途中で昼寝をし、
私は考える事がいっぱいあった。

なぜ私はこんなところにいるのか。
自分の生まれ育った街から遥か遠く、
見慣れない人達と聞き慣れない言語に囲まれて、
なぜこの国で生きているのか。

十年以上この国で過ごしてきて、
いいところも悪いところもいっぱい見た。
事情が許せば日本に帰りたいと思う事も何度もある。
でも不思議な事にこうして遠出をして、
さあ帰ろう、早く帰りたいと思うのは、
自分が今、日々を過ごしているこの街なのだ。
最初の頃はとてもよそよそしく感じたこの町並みが、
車で足を踏み入れた途端、
ぶっきらぼうに、「どこで油売ってきたんだい」と
話しかけてくれたような感じさえした。

７時間半の運転の後、無事到着。
通して1700マイルの旅だった。

２年以上も泣いて過ごして
こんなところ早く出よう、早く逃げ出そうと
思い続けたこの街が、
旅先でとても懐かしく感じられた事を思って
ちょっとだけ涙が出た。

ただいま。
今、帰りました。