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カテゴリ:アメリカよもやま話
他の言語圏で暮らした事がないからわからないが、
少なくとも私の知る英語圏のこの国の人達は、 配偶者や子供の事を、こう呼ぶ。 ハニーだの、 スウィーティーだの、 スウィーティーパイだの。(怒) 私が怒ってどうする。 いいわねー、と微笑ましく思う事もあれば、 いちいち耳障りだわね、と思う事もある。 でもこの、ハニーに関しては、 いつもいつも甘い響きとはかぎらないのだ。 額に青筋をたてた母親が、 くいしばった歯の間から、 いたずら息子を「ハニー・・・」と ドスの利いた声で呼んだ事。 受話器を片手に高く掲げながら 「ハニー!!!あなたに電話って言ってんのが聞こえないの!」 と叫ぶ妻。 人差し指をおったてて、ぶんぶんおこりながら 「ハ・ニー!君は何言ってんのかわかってんのか」と わめく夫。 もしかしたら、ハニーというのは 喧嘩用語なのではと思ったくらいだ。 残念ながらうちでの話ではない。 結婚中の我が家では「ハニー」は暗黙の禁止事項だったからだ。 なぜならばうちは日本語オンリーだったし 元夫の使うちょっと曲がった日本語に「ハニー」を織り交ぜるのは 無理があったからだ。 一度彼なりの努力で何かサプライズをしようと思った時に 「目、しめてください。ハニー」と言った時に 私がうひゃっひゃっひゃと馬鹿受けしてしまったことがある。 本当は「目、しめて」のほうがおかしかったんだけど。 今おもえばあれが亀裂の始まりだったかしらん。(遠い目) ま、とにかく。 そんなわけで、その後うちではハニーは使われていなかった。 今でも、息子にも使わない。 何か抵抗があるのだ。 ちゅうちゅうしたり、ハグしたり、いじくりまわしたり、 こねくりまわしたりは必要以上にするが、 ハニー&スウィーティは言えないな。 でもアメリカの文化と英語で育っていく彼らが、 母親からこれらの言葉をかけてもらえないのって、 どうなのかな、さみしいかな、やっぱり。 と思ってしまう事もある。 先日一緒に旅行した友人夫妻は、自分の息子にこれらの言葉を 1日に100回は言っていた気がする。 もっとかも。 でも日本の文化って違うんだよね。 色のくすんだ背広のお父さんが 玄関で靴を脱ぎながら 「おい、今帰ったぞ、はちみつ。」 なんて奥さんに声をかけたらおかしいではないか。 なんでも欧米文化がいいってわけでもないのだ。 アメリカ人との結婚に破れた今の妄想。 日本に帰ってー、 畳の部屋でー、 扇風機がふいーんと回っててー、 風鈴の音色を聞きながらー、 愛するダーリンにー、 「おい、肩もんでくれよ。」 なんてぶっきらぼうに言われてごらんなさい。 そして、それが佐藤浩市だったりなんかしたら・・・ ひゃあああ。(喜) と、一人の部屋で身をよじってどうする。(涙) まあ、とにかく。 やっぱり人様の文化は、どうも心には響いてこないのだ。 こんな風にどんどん日本に目が向いてしまうというのは、 ただの郷愁か。 それとも歳を取ったという証拠なのか。 たぶん一生、心を込めて、自然な形で 誰かをハニーだのスウィーティだの 呼ぶ事はないんだろうな。 (そういえば余談ですが、昔仲良かったイギリス人の女性に よく、ラブって言われました。「ハーイ、ラブ」って。 最初は居心地悪かったです。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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