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カテゴリ:茶の湯の心
本日はお日柄もよろしく、誠におめでとうございます。
って自分で言ってどうする。 結納でも結婚でもない。 茶名をいただいたのだ。じゃーん。 (パチパチパチ) 本当は今年の始めに許状はいただいていたのだが、 一緒にお稽古をしている他のお弟子さんを待って、 一緒に引次ぎをすることになっていた。 それが今日行われたのだ。 着物を着て、先生のお宅へ伺うと もうすっかり用意がされていた。 一番上のお点前、大円真(だいえんのしん、と読みます)がおこなわれる。 慣れたはずのお茶室で妙に緊張してしまう。 先生のお点前はさすがに美しい。 茶道というのは生活文化だと言われるが、 上手なお点前は一挙一動そのものがまさしく芸術なのだなあと思う。 大円真のやや仰々しい道具と、床にかけられた千利休の掛け軸が 緊張感をあおり、お茶一ついただくにも失敗続き。 こりゃ、茶名は辞退した方がいいかも、なんて考えがよぎった。 夏の茶室はいい。 外でかすかに鳴り響く風鈴の音。 掛け軸の下に飾られた、一輪のむくげと水引き草。 そのなかで頂く一服の熱いお茶は ほてった体に涼を運んできてくれる。 お点前が終わると、いよいよ許状授与だ。 桐箱に入れられた、茶名と許状が渡される。 筆で書かれた自分の茶名を見て、さすがに心が躍る。 「宗W」 利休以来の歴代お家元の「宗」の一字を頂き、 通常は自分の名前の一字と組み合わせるのだ。 茶名をいただいたからといって、何かが変わるわけではない。 先生からは「これからが修道のはじまりだと思ってください」と言われた。 ちなみに、茶名の資格は専任講師。 英語では2nd-degree Instructorだそうだ。 初級、中級、上級、その後は講師、専任講師(茶名)、その上は助教授である。 茶名をいただくことに意味がないわけではないが、 さあ、今日からあなたは専任講師、といっても店を開くではなし、 今まで通り、稽古に通うだけである。 ただ一つの区切りとして励みにはなる。 茶道の専門学校に入れば、3年で取れると聞く。でも毎日の事だ。 私たちのように週1で稽古に通うものは7~10年はかかる。 私の場合ははじめてもうすぐ9年、 ひとつの習い事がこんなに長く続いた、ということに 私は意味があると思っている。 茶道のおかげで、自分が日本人である、 素晴らしい文化を持っているということに ますます誇りを持てるようになったし、 それが異国で生きていく上で、 自分の中では大きな意味を持っている。 先生のようにお弟子さんをとって、人に教えるというのは 私には技量的にも精神的にも物理的にも不可能だが、 個人レベルでいろんな人に、紹介していけたらいいなと思っている。 それにはまず、息子の足癖の悪さから直さないとね。 あ、その前に自分の足癖も直さなきゃ。 本日の献立; 魚フライの残りで魚カツ丼、ジャーマンポテトサラダ、冷やしトマト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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