シングル母のアメリカ暮らし

アメリカに来てからというもの、
日本の四季折々の美しさや、
日本の文化の素晴らしさというものに
よりいっそう目がいくようになった。


もともと日本的なものは好きだったし、
日本でデザイン事務所に勤務していた頃は
パーケージのデザインを多くやっていた時期もあって
いつか和菓子のパッケージデザインを専門にしたいと思ってけど、
なぜかこーんなテイストのかけ離れた土地に来てしまったのだ。
日本的な色の美しさもさることながら、
色名の豊富さ、ほんのわずかな色の差に
水浅葱、花浅葱などという詩的な名前がついていて
その繊細な感性に胸を打たれたものだった。

アメリカ人に色の名前を聞いたら
たぶん１０コくらいで終わっちゃうんだろうな、きっと。


アメリカに来てすぐ茶道を習い始め、
お茶名も頂いて、そろそろ2年近く。
お披露目の茶会も去年済んで、
今はなるべく週に１回の稽古にだけは通うようにしている。
ちょうど息子のクラスのボランティアに当たる日は
仕事を入れずにお茶の稽古を済ませた後、
学校に行って日本語と折り紙、習字などを教えている。


去年の暮れから始めた剣道は
息子達だけを通わせるつもりだったのに
アクシデント（笑）で、私まで通うはめになり、
やってみたらとても面白くてはまってしまったのだ。
頑張って通っていたら、お古の道着などもいただいたり、
上級者の方から譲っていただいたりで、
今年からは母子三人、道着と袴で通っている。
長男は身長も私と同じでなかなかサマにもなっているのだが、
次男にいただいたサイズは結構大きめでブカブカだ。
ちょっと丈も長いので、胸の下で結んではかせたら
なんだかお稚児さんみたいですっごく可愛かったのに
先生に「こりゃおかしいよ」って直されてしまった。
以来、ひきずってカミシモのようにはいている。
ま、そのうち背も伸びるだろう。


息子達が大きくなったらちょっとお茶の稽古に連れて行くかな、
と思っていたけど、多分あの子達には退屈だろうし、
バックグラウンドを理解するのもわかりづらいような気がする。
礼儀作法や日本の文化的なものを勉強するのなら、
剣道の方が息子達にはずっと効果的な気がする。
おまけに体も鍛えられるのだ。
それに何故か、剣道の先生にはかなり厳しくされても
（竹刀で足をこずかれたり、たまーに怒鳴られたりもする）
全然嫌がらないどころか「本当はあの先生はおもしろい」
などと言って喜んでいたりもするので不思議だ。


日本語はとってもお粗末な２人だけど、
日本語学校に行って仮名や漢字を習い、
正月には杵と臼でついた餅をもらい、
羽子板やこまであそぶ。
お習字や折り紙も教えてもらっている。
現地の学校では節分、ひな祭り、５月の節句などをクラスで祝い、
七夕には毎年友人から笹を分けてもらって
軒下に吊るすようにしている。


長男はピアノとカブスカウトにも行っているので
お稽古事で一杯いっぱいな気もするけれど
やっぱりアメリカにいても自分には日本人の血が流れていることを
ちゃんと意識してもらいたいと思う。
手前味噌ではない、本当に繊細で美しい文化を
稽古ごとや行事を通して楽しみ、
いずれ誇りに思うようになってくれたらいいなあ。



本日の献立：うな丼、コロッケ、味噌汁、きゅうりの浅漬け、ブロッコリーとカリフラワーのサラダ