遠すぎた橋(A BRIDGE TOO FAR) リチャード・アッテンボロー
第二次世界大戦も終盤の1944年。連合軍によって「クリスマスまでに戦争を終わらせる」べく発動されたマーケット・ガーデン作戦を描いた戦争映画。 政治的な思惑や、希望的観測によって開始された粗末な作戦がいったいどんな結末をもたらすのか、しっかりと描いてみせてくれている。作戦が小さな齟齬の積み重なりで破綻するように、戦争が大きな悲劇の積み重なりで織りなされていることも感じられた。 密度の高い9日間のなかに映された人物たちがリアルな存在感をもっており、砲火の下に彼らひとつひとつの命があり、それぞれの人生があったことが伝わってきた。「90%の成功」のために失われるにはあまりにも惜しい命だ。 撮影に使用されている兵器の数々も見物で、戦いの開幕を告げた航空機から、戦車、大砲、渡河機材に至るまで好奇心を掻き立ててくれた。 多少は名前を知っているつもりでも分からない兵器ばかりだったのは、ショックでもある……やっぱり博物館などで実物に近付かないとダメなものかもしれない。 それでもすぐにわかるシャーマン戦車の車高の高さはありがたい。ドイツ軍にとっても狙いがつけやすくてありがたかったに違いない。高台の一本道を進撃させるのにあの戦車はとことん向いていない気がするよ…。 兵隊の動きをみていくと、階級の近いもの同士が「ちょっとこっち来い」と内密に話をつけている様子がなんか微笑ましかった。「指揮官は孤独」だから仲良くできる相手とはいっそう仲良くするのかなぁ。 つまらなくても、ともかく「ジョーク」を振りまいて悲劇的な戦争に立ち向かっている姿勢も印象的だ。だが、下手するといちばん笑えてしまうのはどうしようもない現実だったという二重の皮肉。 不満をあげると戦場の切り替わりが多くて、最初に位置関係を掴み損ねると戦闘の全体像がなかなか見えてこないことが気になった。歴史群像の戦況図を開きながら視聴するべきだったかもしれない。あと、せっかく視点を分散させるなら、ドイツ側の様子ももっと見せてほしいと思った。【送料無料選択可!】遠すぎた橋 [Blu-ray] / 洋画