カテゴリ:本紹介
「へいわ」と「せんそう」。確かに違う、このふたつ。平和の方がいいに決まってる。…だけど。「へいわのボク」と「せんそうのボク」ではなにが変わるんだろう。詩人・谷川俊太郎と、一度見たら忘れられないモノクロームのドローイングが話題のイラストレーターNoritakeが取り組んだ、平和と戦争について考えるこの絵本。左右のページにはさまざまな人や物や場所の「へいわ」の状況と「せんそう」の状況が並び、ひとめでその違いが見えてくる。例えば…「へいわのボク」はいつも通り。いつもと同じに立っている。「せんそうのボク」は座り込んでしまっている。「へいわのワタシ」は勉強をしている。これもいつも通り。「せんそうのワタシ」は何もしてない。「へいわのチチ」はボクと遊んでくれて、「せんそうのチチ」は完全武装をして一人で闘っている。「へいわのハハ」は絵本を読んでくれるけど、「せんそうのハハ」は…。食卓を囲む「へいわのかぞく」、食卓には誰もいない「せんそうのかぞく」。手に持っているモノだって、木や海や街だって、明らかに全然違う。それは、行き来が可能な世界ではない。「せんそう」が終われば戻る世界でもない。何かがなくなった、だけでは終わらない。どこまでも深い「黒」と、少し光を放つような「白」の2色で構成されている場面に、シンプルだけど、これ以上ないくらいわかりやすい「ことば」。この絵本のどのページを見ても、まるでマークや記号のように、直接、目と頭に働きかけてくるのです。そして頭に残るのです。でも、谷川さんは最後に大切な希望を見せてくれます。それは…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.05.22 17:26:43
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