麻生外相、イラクを電撃訪問

2006.08.03

テーマ：政治について(20043)

　麻生太郎外相は日本時間の8月3日午後、イラクの首都バグダッドを訪問し、マリキ首相、ゼバリ外相と相次いで会談した。日本大使館などで活動を続ける外務省職員らを激励した後、数時間の滞在を終えクウェートヘ向け出国した。

　2003年のイラク戦争後、日本の閣僚のイラク訪問は、2004年12月の大野防衛長官（当時）、2005年12月の額賀防衛長官による陸自の活動の視察のためサマワ訪問に次いで3人目だが、バグダッド入りは麻生外相が初めて。安全確保の観点から極秘扱いとされ、「電撃訪問」となった。政府関係者によると、麻生外相は2日夜、航空自衛隊のＣ130輸送機で日本を出発した。5日に帰国する。

　麻生外相は一連の会談で「陸上自衛隊のイラク南部サマワからの撤収後もイラクを支援する日本政府の立場は揺るぎない」と表明。航空自衛隊による輸送支援活動の継続に加え、最大35億ドルの円借款による経済環境の基盤整備を中心とした支援などを挙げ、「イラク新政府の復興努力を積極的に支援していく」と強調した。

　「日・イラク関係は新たな段階に入った」とも指摘。政治や経済、文化など幅広い分野で対話を加速させたい、と伝え、マリキ首相らの訪日を招請した。マリキ首相は「日本はイラクの第一の友人だ。日本との関係を幅広い分野で発展させたい」と述べ、日本企業によるイラクへの投資を要請した。ゼバリ外相は「イラク国民は決して日本の支援を忘れない」と謝意を表明した。

　麻生外相のバグダッド訪問は、航空自衛隊のＣ130輸送機の活動範囲がバグダッド空港まで拡大したことで実現した。米英両国、オーストラリアなどの要人がバグダッド入りする中、日本は自前の輸送手段をもたなかったため訪問できずにきた。

　なぜ今、イラク訪問なのか。麻生外相の今回の電撃訪問の背景には、積極的な外交姿勢をアピールすることで、来月の自民党総裁選に向けて自身の存在感を示す狙いがあるに違いない。「8月19日か21日に正式に出馬を表明する」と述べている麻生外相だから、今が最後のチャンスだと確信したのだろう。果たして今回の電撃訪問が総裁選にどう作用するのか。注目したいものだ。

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最終更新日 2006.08.04 17:17:17
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