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2006.08.04
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 8月4日で,三木武夫元首相が検事総長の名をかたる京都地裁の判事補にニセ電話をかけられ,危うく難を逃れた事件から30年になる。
 
 こんな些細なことをなぜわざわざ特集するのだ,と思うかも知れないが,私が個人的に三木首相に好感を抱いているからだ。いささか勝手な理由ではあるが,お許し願いたい。

 1976(昭和51)年8月4日,東京の三木邸にいた三木首相に,ある男から電話がかかってきた。男の名は鬼頭史郎。彼は京都地裁の判事補を務めていた。鬼頭判事補はなんと,検事総長の名をかたるニセ電話をかけてきたのだ。しかも,首相に…。そして三木首相に,当時日本中を揺るがせていたロッキード事件の架空の捜査方針を押しつけ,指揮権を発動させようと執拗に迫った。さいわい三木首相は難を逃れ,鬼頭判事補の謀略は失敗に終わったのだった。

 三木首相は「電話魔」として有名だった。与党自民党はもとより,国会審議が行き詰まると,野党のそれもヒラ議員に電話攻勢をかけたのだ。

 三木邸の台所兼食堂には電話が置いてあり,睦子夫人がダイヤルを回す時は相手が出ると三木首相自身が受話器をとり,例のまとわりつくような粘着力と渋みを持った独特のしわがれ声で話した。三木首相の電話魔ぶりは政界はむろん,世間でも有名になった。「好事魔多し」と言うが,まさかこれが悪用され,ニセ電話事件に巻き込まれるとは,三木首相自身でさえ予想もできなかっただろう。





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最終更新日  2006.08.04 17:40:00
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