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2007.01.03
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カテゴリ:政局
 安倍晋三首相と麻生太郎外相は1月、相次いで欧州を訪問する。安倍首相が英仏独など欧州連合(EU)主要国を、外相はルーマニア、ブルガリアなど東欧の旧社会主義諸国を分担して歴訪。従来の日本外交が基本としてきた「日米基軸」「アジア重視」のほかに「新機軸」(麻生外相)を加えようという狙いがあり、首相が訪米より訪欧を優先することにした判断も注目されている。

 安倍首相は1月9日に日本を出発し、同日中に最初の訪問国イギリスでブレア首相と会談。この後ドイツ(10日)、ベルギー(11日)、フランス(12日)の順に回り、各国首脳と個別に会談するほか、EUの「内閣」である欧州委員会のバローゾ委員長とも会談する。

 北大西洋条約機構(NATO)北大西洋理事会での演説も予定。域外活動を拡大するNATOとの協力を積極的に進める考えを表明する。

 安倍首相が意識しているのは国連だ。今回の英仏訪問で、首相は五つある安全保障理事会常任理事国の全首脳と会談を終える。日本の常任理事国入りに向け、現理事国の理解を得るとともに、日本が昨年末で国連安保理非常任理事国の任期が切れたことを受け、北朝鮮問題などで日本の声が安保理に反映されるよう協力を求めたい考えだ。

 首相が伝統的な欧州諸国を回るのに対し、麻生外相は1日にEUに加盟したルーマニア、ブルガリアなどを回る予定。冷戦崩壊で民主化した旧共産主義国で、民主化定着を支援する姿勢をアピールする。外相は昨年11月、ユーラシア大陸の外周で成長しつつある新興民主主義国を支援する「自由と繁栄の弧」構想を発表した。その具体化への第一歩と位置づける。

 「安倍首相が『古い欧州』、麻生外相が『新しい欧州』」(外務省幹部)という役回りだが、いずれも自由と民主主義、市場経済や法の支配といった「普遍的価値」を共有する国々との連携を打ち出すことで、北朝鮮やイランの核問題をめぐる国際外交の舞台で、中国やロシアを牽制する意図もあるようだ。

 一方、首相の訪欧が訪米より先になったことには、政府・与党の間に驚きの声もある。最初の訪問先に中国・韓国を選んだのとは意味合いが異なるからだ。外務省筋は「ブッシュ米大統領とは昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で会談している」と説明するが、首相が小泉政権時代の「対米一辺倒」と距離を置き「『米国からの自立』まで意識しているのでは」との見方も出ている。

 ところで明治時代の啓蒙思想家・福沢諭吉は1885年、「清国・朝鮮の開明を待って連帯を強める時間的余裕はなく、むしろアジアを脱して欧米列強側に立つべし」という脱亜論を説いた。「脱亜入欧」である。

 小泉政権は「脱亜入米」と揶揄されたほど極端に米国に傾斜した外交を展開したが、その小泉改革を継承する安倍政権は一転して、米国やアジア諸国よりも欧州諸国を重視しているかのような今回の外遊日程だ。「脱米入欧」とでも言えようか。徐々に安倍カラーが出てきた、という印象だ。





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最終更新日  2007.01.04 08:00:00
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