グローバルな視座

2007.01.20

カテゴリ：非政治

　この冬は記録的な暖冬であると言われている。確かに例年に比べて暖かいという実感がある。個人的には暖かいのは歓迎しているのだが。

　全国的に見ると、各地で平均気温が平年に比べて1℃以上高くなっている。タンポポの開花も平年より1～2ヵ月早くなっている。東京では梅がすでに開花している。平年より1～2週間早い。東京では初雪がまだなのだが、初雪の前に開花という、異例の現象である。

　さらに、豪雪地帯といわれる地域に、雪がない。積もっていない。いったん積もっても、すぐに溶けてしまうのだ。とりわけ頭をかかえているのはスキー場だ。青森県で開催が予定されていた全日本学生スキー選手権が1ヵ月も延期される事態も引き起こした。気象庁は2月以降も暖冬が続くと予測している。1ヵ月後の開催すら難しいかも知れない。

　一方で、北陸・北日本のゴルフ場では雪が積もっていないため、ゴルファーで賑わっている。うれしい誤算ではある。

　さらに、沖縄県の宮古島では、早くもセミが鳴いているそうだ。平年なら4月からなのだが、今年はすでに1月から鳴いているのだ。

　海外に目を移してみよう。北半球を中心に暖冬となっており、ニューヨークでは20℃を超えた日を記録した。150年ぶりの暖冬となっているモスクワでは平均0℃前後となっており、平年に比べ10℃も高い。動物が冬眠できないなどの影響が出ている。

　オーストラリア東部では旱魃(かんばつ)による水不足が深刻となっており、平年の20～40％の降水量しかない。ＣＭでも節水を呼びかけている。水撒きをすると罰金刑になるそうだ。また、空気の乾燥による山火事が頻発している。さらに、小麦の収穫量が前年の10～20％に落ち込んでおり、農家では自殺者が続出しているという深刻な事態である。オーストラリア政府は穀物の輸入を決定した。穀物大国のオーストラリアがこのような状況なのだ。

　このような暖冬の主因はエルニーニョ現象であると考えられている。太平洋の赤道付近の海水の温度の分布が変化しているため、地球全体に影響を及ぼしているのだ。深刻な問題である。

　冒頭、私は暖冬を歓迎していると述べたが、グローバルな視座に立脚してみると、やはりそのような考えは恣意的であることを認めざるを得ない。

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最終更新日 2007.01.25 23:50:00
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