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居酒屋こはる

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2009年06月28日
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カテゴリ:徒然

今夜は 久しぶりに 詩を紹介します

 

茨木のり子:「おんなのことば」

 

 

いとしい人には

沢山の仇名をつけてあげよう

小動物やギリシャの神々

猛獣なんぞになぞらえて

愛し合う夜には

優しい言葉を

そっと呼びにゆこう

闇にまぎれて

 

子供たちには

ありったけの物語を話してきかせよう

やがてどんな運命でも

ドッジボールのように受けとめられるように

 

満員電車のなかで

したたか足を踏まれたら

大いに叫ぼう あんぽんたん!

いったいぜんたい人の足を何だと思ってるの

 

生きてゆくぎりぎりの線を侵されたら

言葉を発射させるのだ

ラッセル姐御の二挺拳銃のように

百発百中の小気味よさで

 

ことば

ことば

おんなのことば

しなやかで 匂いに満ち

あやしく動くいきものなのだ

ああ

 

しかしわたくしたちのふるさとでは

女の言葉は規格品

精彩のない冷凍もの

わびしい人工の湖だ

 

道でばったり奥さまに出会い

買物籠をうしろ手に 夫の噂 子供の安否

お天気のこと 税金のこと

新聞記事のきれっぱし

蜜をからめた他人の悪口

喋っても

喋っても

さびしくなるばかり

二人の言葉のダムはなんという貧しさだろう

やがて二人はいつのまにか

二匹の鯉になってしまう

口ばかりぱくぱくあけて

意味ない言葉を喋り散らす

大きな緋鯉に!

そのうち二匹は眠くなる

喋りながら  喋りながら

だんだん気が遠くなってゆくなんて

 

これは

まひるの惨劇でなくてなんだろう

私の鰭は痺れながら

ゆっくり動いて

呼子を鳴らす

しぐさになる

 

 

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最終更新日  2009年06月28日 21時48分40秒
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