居酒屋こはる

小説は、実はあんまり好きではなくて

理由は　自分でもわからないのだけど・・・

そこで読むのはもっぱら　エッセイや詩集・句集や歌集、となる

そんな私だけれど、童話や絵本は好き

絵本や童話は読み聞かせをやっていて、その世界の素晴らしさに惹かれたから

絵本も童話も　子供達だけのモノだと想ったら大間違い

豊かなその世界は　大人になった今でも　大いに楽しめる

特に好きなのは「ムーミン」シリーズの内の

ムーミン谷の11月

ムーミン谷なんて、世界中の何処を探したって見つかりっこないのに

もしかしたら・・・何処かにあるかもしれない

そんな風に想わせてくれる

谷の住人達は個性豊かで、所謂「良い人」はあんまり居なくて

それぞれが、それぞれの悩みや希望や　様々なモノを

その胸に抱きつつ　懸命に暮らしてる

好きな文章がある

冬もまぢかな、ひっそりとした秋のひとときは、寒々として

いやなときだと思ったら大まちがいです

せっせと、せいいっぱい冬じたくのたくわえをして、安心なところに

しまいこむ時なのですからね

自分の持ちものを、できるだけ身ぢかに、ぴったりとひきよせるのは

なんと楽しいことでしょう

自分のぬくもりや、自分の考えをまとめて

心の奥深く掘り下げた穴に、たくわえるのです

その安心な穴に、大切なものや、とうといものや

自分自身までを、そっとしまっておくのです

ムーミン谷の冬ごもりの前の様子を描いているのだけれど

　心が　内へ、内へ　向いている時の　

その　自身の気持ちの有りようを

これほど　ピタリと言い当てている言葉はない、とさえ　想う

多くの物語が存在し、人は詩を詠み　歌に託す

その　沢山の言葉の中から

こんな風に　心の中に　スッと入ってくるものを見つけた時の喜びは格別で

その　言葉の　拡がりや深さと共に

いつまでも　心に残って　暖かく、豊かなひとときを与えてくれる

こんな言葉に出会うと

稚拙な言葉や陳腐な言い回しで

モノを書いている自分が情けなくなる事もあるけれど

でも、、、

この美しい日本語を　母国語として持つことの幸せをかみしめながら

やっぱり　

言葉を綴って　伝えていきたいものがある

童話の世界は

そんな事にも　想いを馳せられる

穏やかな世界を　私たちに見せてくれる