気ままなデジカメ片手の散歩路

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  三社祭の裏側に

  今週の金曜日から　浅草の華「三社祭」が始まります。昨日の朝　境内をチャリで走ったら　鳶の人たちがせっせと準備の真っ最中でした。　　　　　　　　　　　　　◎ところで　過日「神谷バー」で　ひとり一杯やっていたら向かいの席の　白人三人組のひとりが「浅草も観光的なものばかりになった」みたいなことを言っている。　　　うっ？　　えっ？気になって　少し質問したら彼は　オーストラリアから日本に来て7年　英会話学校の教師をしていて今日は　初来日の友人二人を案内しているのだと　だから日本語ペラペラ。　彼が嘆くのも　ごもっとも。「だけどなこんなところを知ってるか？」と少し講釈を放れてみた。　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●観音様本堂の隣の　浅草神社の真後ろに　ちっちゃなお稲荷さんがある。（新門辰五郎が建立した「被官稲荷」という説明は長くなるので省きましたが）（でも今は英文の案内板があるので読んでいる外人さんはもっと詳しいかもしれない）19世紀末（安政2年）に建てられて　翌年の江戸直下大地震に耐え20世紀初頭の大地震（関東大震災）に耐え1945年の大空襲で浅草寺がほとんど燃えたのに　奇跡的に残り今も　地元の人々に厚く信仰されているのだ。廻りの灯籠や石柱に彫られた人名を見ると　江戸から明治大正昭和の息吹が聴こえる。それとそれと　境内の旧五重塔跡のすぐ側の　大銀杏ね。樹齢500年以上だよ。一度良く見てよ。　あの木も　もちろん3月10日の空襲に遭遇した。近づいて見てご覧　中は炭化して　真黒だよ。真っ赤に焼けたんだよ。熱かったろーな。だけど　今年も新芽を咲かしている。生きているんだよ。是非見てもらいたいね。　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●なんて　ちょいと熱く語ったものでした。きっと　彼は案内してくれたと思っています。実は「被官稲荷」も　3・11で微細な被害は受けています。石の鳥居で　倒れたもの傾いたもの　いくつかお使いの狐様　耳が欠けたもの　いくつかでも　大事に修復されながら　形を少し変えながら150年の歴史を　今も刻んでいます。三社祭の見物に　そんなところにも目をつけていただければ裏の歴史が　味わい深くしてくれるかもしれません。

  2015年05月12日

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  我孫子・手賀沼に集った文人たち

  上野からJR常磐線で　水戸方面に向かって利根川の手前のわずか40分ほどで「我孫子駅」に着きます。メトロ千代田線が乗り入れていますので赤坂・大手町からでも直通で1時間ほどで行けます。でも　きっとイメージ的に我孫子は遠い。　と思っているでしょ？この我孫子駅の南に広がる「手賀沼」のほとりに明治末年から大正にかけて　多くの文人や芸術家や大学教授たちが自宅や別荘を構えて　製作にいそしみ　交流していたなんてご存知でしたか？えらそうに書き始めましたが　わたしも初めてGWはじめの半日　手賀沼の畔を歩いてきました。　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●たとえば志賀直哉　武者小路実篤　嘉納治五郎柳宗悦（やなぎむねよし）　バーナード・リーチなどが住んだ。杉村楚人冠（そじんかん）は朝日新聞に在籍したジャーナリストで夏目漱石　柳田國男　石川啄木と同僚だったそうです。三樹荘は　民芸運動を指導した柳宗悦の居宅。敷地内に　バーナード・リーチの陶芸窯もあった。妻は声楽家の兼子。後に国立音大の教授を長く務めた。（白樺文学館の地下音楽室で彼女のCDを素晴らしいソファーでひとり聴いた）三樹荘は現在は私有地のため見学できません。白樺文学館の斜め前に　志賀直哉の邸宅跡があります。志賀直哉は　ここで「暗夜行路」をほぼ書き上げたそうだ。「和解」を読んだら　長女の出産と死　次女の誕生　父との葛藤・・・ここ我孫子での生活がリアルに分かった。赤坂の実家から　上野発9時過ぎの最終便で我孫子へ帰る大正時代なのに　1時間15分で着いたそうだ。自宅まで駅から歩いて　20分ほどか当時駅周辺は　電気が点いていたが　手賀沼周辺にはまだ来ていない。ロウソク　行灯の生活だったそうで今の「別荘」からイメージする当時は　まったく違っていたに違いない。旧村川別荘は　移築補修がほどこされ　ほぼ当時が再現されている。村川堅固（けんご）　村川堅太郎（けんたろう）西洋古代史を研究した　東京帝国大学教授親子の　昭和まで愛用された別荘。　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●手賀沼周辺は　思いのほか急峻な崖に囲まれていて大正昭和の当時を想像しながら　上り下りを歩くと自然林に囲まれた　今思うような便利なところではなかったことが分かる。そこで　自由主義的な文学活動「白樺派」を起こしたり従来の価値観と違う　庶民の美意識と技術を評価する「民芸運動」アカデミックな研究を学生たちと勉強する場を作るそんな　日本の歴史に置いて　忘れてならない地「我孫子・手賀沼」をいちど　お訪ねされては　いかがでしょうか？

  2015年05月04日

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  江戸博リニューアルしたぞ！

  三月末に　江戸東京博物館の常設コーナーがリニューアルオープンしました。友人から送っていただいたチケットを手に　ウキウキと両国へ。まずは1階の特別展「大関ヶ原展」から見物と休日であったこともあり　入場まで30分待ちの人気。テーマからして男の歴史好きくらい　それほど混むことはないととんでもない！　老若男女　子供まで並んでいる。重要文化財をふくむ　関ヶ原の戦いを描く　大屏風の数々。大名たちの甲冑がすごい！　丁寧に補修され新品のような鎧兜たち。あまりの混み具合で　今回はさら〜と回りましたが展示内容は　家康時代に入るきっかけとなる「関ヶ原戦い」の実態と（背景の裏切り内通密書などなど歴史的定説が分かりやすく解説）関ヶ原後やっと15年後に大阪城を陥落し　徳川幕府が江戸で確立していくそのあたりの歴史展示が　常設コーナーへの導入となっているようだ。ちなみに「大関ヶ原展」は5月17日までの開催です。わたしは　改めて平日に再度出陣のつもり・・・　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●リニューアルされた常設展示コーナー一見それほどの変化を感じませんが　「江戸城のミニチュア」が新設され今まで博物館的に　小物や作品が多く展示されていたのをテーマごとに整理して　パネルや模型などを大きくし　分かりやすくなった。断片的に受験勉強で　何年に○○が起きたなど覚えても人間の息吹や歴史は見えてこない。自分が今住んでいる土地　通っている道がほんの数百年前は荒れ地で　苦労して水田や畑に開墾され新たに掘られた運河で　新都市へ運ばれるようになった。そんな命の歴史を　あらためて知ることは　実に楽しいです！機会がありましたら　新しくなった「江戸東京博物館」へ。　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●なお　常設展内の企画展は「広重　江戸名所百景」でした。これがまた　うれしいプレゼントみたい！約120点もの広重の代表作で　江戸幕末の名所各地を描いたもの。広重が亡くなる3年ほどの間の作品なんですが（2代目が数点）その刊行が始まった安政3年は　前年に起こった安政の大地震の直後江戸が復興されている最中なんですね。その当時の江戸・町・自然を描いているんです。それと当時はペリー来航の後　お台場を建造中など江戸は大混乱の最中でも。そんな視点で「広重　江戸名所百景」を見ていただければまた別な面白さもあるかと。誇張と省略とリアルさ。ただし「広重　江戸名所百景」展は　5月10日まで。ご注意ください。　　ご興味があり方は　GWに　ゆっくり時間を取ってすべてを観覧することを　おすすめします。

  2015年04月23日

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  ノンフィクション本がつづいた

  過日ご紹介した「真実　新聞が警察に跪いた日」につづけて3冊ほどノンフィクションものを読むことになった。　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●先輩の読後感想を聞いていて読みたくなり図書館に予約し　早速入手した孫崎 享「小説　外務省」元外務省官僚の著者が　小説の形をとって主人公に語らせる内容は実在の人物と歴史的事実がならぶ　ノンフィクションそのもの。副題の「尖閣問題の正体」とあるように忌憚の無い痛烈な批判と問題提起から4社から出版を断られたそうである。親米路線推進派によって独占される　外務省トップたち日本の軍事強大化路線を強硬にすすめる　政府自民党のトップたち過去の日中首脳による「尖閣問題棚上げ」での国交回復優先策を認めず意図的に作られる　日中緊張状態。今だからこそ　書かなければならないとの思いが伝わる意欲作である。　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●友人が読み終わったからと貸してくれたのが門田隆将「死の淵を見た男　ー吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日ー」2011・3・11　突然の激震津波が襲い　やがてすべての電源が失われていく・・・その時の　中央制御室はどんな状態だったのか？原発内の最高指揮管理である免震重要棟では？第一原発の所長であった吉田昌郎氏をはじめその時　内部にいた東電社員たち　協力会社の社員たちそして派遣された自衛隊員たち　多くの人々の証言がつづく。刻々と近づくメルトダウンへの恐怖また地震か！と思った凄まじい水素爆発放射線量が増え続ける中での冷却作業文字通り「死を覚悟した」と多くの人々が語る。忘れてはならない　一冊となった。　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●そんな折　久しぶりに会った先輩が「何度も読んだから　あげる」と一冊の文庫本を。　石田伸也「ちあきなおみに会いたい」　　　　街角から再び「ちあきなおみの歌声」が聴こえてくる。　　　　夫の死を機に忽然と姿を消して間もなく20年、　　　　その「残像」は薄まることなく、むしろ鮮烈に　　　　浮かび上がるばかりだ。こんな書き出しで始まる「ちあきなおみ讃歌」実に多くの関係者へ丹念に取材した　すぐれたノンフィクションである。ひとり一杯やりながら「黄昏のビギン」「冬隣」など　聴きながら・・・あったかい　やさしい本も　いいもんだ。そして　本つながりの友人　先輩を持つことはもっといいもんだ！

  2015年04月12日

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  優々とふりそそぐ

  雨上がりの今朝いつものチャリ通勤の道で目にした道ばたの草花が気になった・・・　昼時　事務所のPCで　藤原新也さんのサイトを見ていたらぞっくとするほど素晴らしい　文章に出会った。　　　　　◎　　　　　◎　　　　　◎　　　　　優々とふりそそぐ　　　　　　　　　　　　　　甘露とは　　　　　　　　天の陰と陽の気がまぐわう折に　　　　　　　　優々とふりそそぐ　　　　　　　　香しい恵みの雨。　　　　　　　　花もまた甘露。　　　　　　　　天蓋を成す満開の花より　　　　　　　　優々とふりそそぐ香り。　　　　　　　　その薫りは　　　　　　　　　雌しべ（陰）雄しべ（陽）が　　　　　　　　まぐわう折に発する　　　　　　　　命の香り。　　　　　◎　　　　　◎　　　　　◎そういえば　足元の　野草も咲き始めほのかな香りがしていたっけ・・・藤原新也さんの文につたない写真を添えるのは　どうかと思ったがこれもまた甘露と　恵みの春として・・・　命の香りを　楽しみましょう　よ！

  2015年04月02日

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  浅草　伝法院の庭園　公開中

  昨日の午前中　浅草寺の伝法院の庭園を散策してきました。仲見世のすぐ横にある　伝法院には　普段は入場できないのですが5月7日まで　庭園に限り　公開されています。庭園の見事さは　テレビや写真では知っていましたが今回　初めて見ることができました。『大絵馬寺宝展と庭園拝観』とあるように五重塔の横の入り口を入ると　まず浅草寺所蔵の「絵馬」の展示が。これも初めてお目にかかりました。いや〜　さすが！　歴史的にも貴重な「大絵馬」「扁額」の数々。まったく想像していなかっただけに　お得な体験でした。ここから　伝法院のお庭に　入って行きます。　　　　　・　　　　　・　　　　　・小堀遠州が設計したという　江戸初期の回遊式庭園外から覗いていましたが　これほどの規模とは・・・観光客で溢れる　賑わいの道に接しているのに苔むした道　古木と清水の静謐な空間・・・この日は　大きな枝垂れ桜が　ほぼ満開ご興味がありましたら　ここ数日が見頃かと急いでの　報告となりました。　　　　　・　　　　　・　　　　　・ところで　浅草は元気が出てきましたね。観音裏の空き地には　「平成中村座」のテント小屋が建設中勘三郎の思いを乗せて　まもなく歌舞伎が始まる。墨田河畔の公園のソメイヨシノも　まもなく咲くそして　ツツジ　あじさい　植木市の「お富士さん」とつづき　そして　花火も咲く。毎日　走っているのに　浅草には初めての発見があります　な。

  2015年03月25日

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  新聞が警察に跪（ひざまず）いた日

  昨年発行された文庫本（角川書店　2014年）「真実　新聞が警察に跪いた日」高田昌幸読後　あまりの衝撃にしばらく口をきくことができなかった。　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●冒頭こんな書き出しで始まる。　　　　これは、北海道新聞社で二五年間記者を努めた筆者の記録である。　　　　二○○三年の十一月末ごろから、北の大地で新聞と警察のあいだに　　　　いったい何が起きていたのか。それを筆者の目に映った限りで記した。　　　　もとより、社会的なできごとは多様である。私の目線と他人の目線は違う。　　　　映る風景も違う。　　　　それが前提になっている。2003年から2年近くに渡る　北海道警察の裏金問題を追及する調査報道で、新聞協会賞、日本ジャーナリスト会議大賞　そして菊池寛賞まで受賞した北海道新聞社。だがその水面下では、道新の経営幹部たちが秘密交渉の末に道警との関係修復を画策していた。道警のナンバーツーまで上り詰めた幹部は退職しOBとなった後、突然個人名で道新に対し抗議・質問状をやつぎばやに送る。時を同じくして道新の警察取材は難しくなって行く。その道警OBは道新の経営幹部との度重なる交渉を密かに録音していたのである。その後、道警OBは名誉毀損として筆者をはじめ道新と出版社を告訴する。その訴状の資料として、録音していた会話のテープ起こしした膨大な資料を添えて。追いつめられて行く「道新裏金取材班チーム」のその後は？　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●　　　　　　　　　　●当時の痛快なニュースと記憶していた「北海道警察の裏金問題を追及した新聞」。その後の展開が、こんな風になっていたなんて！　知りませんでした！現在、高知新聞社の記者となっている　高田昌幸氏はジャーナリストの本質的な課題を追求する　困難な長い坂を登り続けている。

  2015年03月15日

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  春の日差しとひな祭り

  2月最後の28日　昨日の外房「勝浦」の早春のスケッチです。花野辺の梅林は　淡い紅白にもやっていた　　　　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・勝浦市の「ひな祭り」は人気が高くこの日の土曜日はお天気にも恵まれ町中に展示される古い歴史あるひな人形や創作新作のひな人形を見物する多くの観光客で賑わっていました。元気な町に触れるのは　うれしくなりますね！お寺の石段にいっぱいの雛人形民家の塀にも手作りのかぐや姫　　　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・沖合にせり出した海中展望塔から太平洋の黒潮を眺める暗い話題ばっかの昨今意識して　明るく元気に　心をリフレッシュして明日に望まねばと　つくづく思います。10数年ぶりに外房の日差しと匂いを感じに行ってよかった！

  2015年03月01日

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  二月の花　「天切り松　闇がたり」

  この二月　東京下町の街角で見かけた　花々と浅田次郎「天切り松　闇がたり」の一節をいくつか。元気になり　気分転換になればと。寒さに凍えた身を　少しでもほぐしましょう。　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・クロッカスの花咲く　　　　　「おとっちゃん、士官学校かい、あれァ」　　　　　「幼年学校だな。おめえといくつも違いやしねえ。青山の練兵場へ行っての帰りだろう」　　　　　　隊列を見送ってから父は言った。　　　　　「おめえ、まちがったって軍人になろうなんて思うんじゃねえぞ。いくらまともに三度の　　　　　　おまんまが食えたって、政オジみてえに満州くんだりでロスケの弾に当たって　　　　　　死んじまうんじゃ、身も蓋もねえからな。命せえあれァ、面白えこたァ、　　　　　　いくらだってあるもんだ」　　　　　・・・・・・・（盗人の親分に子供を預ける道すがら）　　第一巻第一夜「闇の花道」紅白　梅咲く　　　　　黄不動の栄治の口ぶりを真似て見得を切ると、　　　　　天切り松はうって変わった名調子で話を続けた。　　　　「赤ランプをつけた終電車が、石畳に青い火花を爆（は）ざして行っちまったあと、　　　　　栄治兄ィはやおら気合いをこめて立ち上がった。やい松公、いったん頼んますと　　　　　おつむを下げたからにァ、てめえに心意気があろうがなかろうがもう四の五の言わせねえ。　　　　　盗ッ人の相棒（レツ）は屋根に登れァ一蓮托生、いやさそこは極楽浄土の池じゃあねえ、　　　　　血の池地獄のただ中に咲いた、真黒な蓮華の上だと思いねえ。　　　　　・・・・・・・（こんな名調子が2ページにわたって）　第二巻第六夜「黄不動見参」寒桜　咲く　　　　　安吉、とあたりを憚らずに名を呼んで、先生は命令を伝えた。　　　　「借りた品物はきちんと返すよう部下に伝えよ。復唱せい」　　　　「へい。お借りした品物はきちんとお返しいたしやす」　　　　　深々と頭を垂れる安吉親分に向かって、鴎外先生は踵を揃え、サーベルの柄を握って　　　　　敬礼を返した。　　　　　・・・・・・・（森鴎外が助けた大舞台とは）　第三巻第四夜「大楠公の太刀」空が広い　この季節　　　　「話はこれでしめえだ」　　　　　天きり松は坊主頭を撫でて照れながら、慣れぬロマンスをしめくくった。　　　　　胸の奥深くに、温かな灯がともったような気がした。　　　　「どうして私なんかに、こんなすてきな話を聞かせてくれたの」　　　　「そいつァおめえ、他人の辛抱を見て見ぬふりをするのァ、恥だからさ」　　　　　・・・・・・・（アラフォーの婦警に語る昔話）　第四巻第五夜「尾張町暮色」　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・銭金ばっかの昨今でいじにしたいのは　心意気年寄りも　若けェもんに　語っておきゃないけねえ話が　ありますよね。

  2015年02月17日

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  まってやした！　「天切り松　闇がたり」

  浅田次郎が　作家として世に出た初期　38歳の時1990年に書いていた作品に「天切り松　闇がたり」がある。ただし　第一夜「闇の花道」　第二夜「槍の小輔」は掲載されたがなぜか　第三夜は「月刊小説」には掲載されなかった。その後　40歳を過ぎて　浅田次郎は「プリズンホテル」「地下鉄（メトロ）に乗って」「蒼穹の昴」などで一気に人気作家となる。1996年　新たに書き加えられた四夜・五夜をまとめて「天切り松　闇がたり」第一巻が単行本として上梓された。遅れてデビューしたシリーズのようだが　著者が言うように「自分の生んだ作品のなかで嫡男にあたります」と。現在　数年ごとに刊行される「天切り松　闇がたり」は第四巻まで　その見事な江戸弁の口調と精神は受け継がれて。　　　　　・　　　　　・　　　　　・　　「善悪は数の多寡で決まるんじゃありませんぜ。　　　大勢の人間がそうと望むなら、戦争だって善行ですかい。　　　世の中の空気なんてものは、政治家が企んでテレビや新聞が異議なしと言やァ、　　　茶を沸かすより簡単にこしらえられるものさ。　　　悪い世間をはっきり悪いと言ってこその善人だ。」　　　　　　　　　　　　　　第四巻第一夜「昭和侠盗伝」より日清日露の勝利から　時代はモボモガが謳歌する大正にそして関東大震災を経て　帝都東京は昭和へと劇的に変化していく。そんな濃密な空気の中で　義賊・安吉一家が大活躍する「天切り松　闇がたり」。ぞくぞくするほど面白い！　　　　　・　　　　　・　　　　　・このシリーズを更に楽しむためのガイドブック「天切り松・読本」を併せて読まれることをお勧めします。東京の物語の舞台浅草・上野・本郷・銀座・丸の内の貴重な大正・昭和初めの写真と著者が歩く現在の街。「東京小説散歩」の傑作かもしれない。

  2015年02月15日

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  ハヤカワ・ミステリー「ネルーダ事件」

  私が社会に出た1970年頃の世相は日本では安保反対運動の余波が残り浅間山荘事件や三島由紀夫の檄文朗読がテレビで生中継されるような時代でした。そして地球の裏側の南米チリでは1970年にアジェンデによる社会主義政権が成立したがわずか3年後に軍事クーデターによって転覆されました。アメリカ、ソ連を中心とする東西冷戦が世界中を広く細かく裏側で執拗に繰り広げられていたそんな時代でした。　　　　　・　　　　　・　　　　　・友人に勧められた本ロベルト・アンブエロ「ネルーダ事件」が面白かった。社会主義の指導者で　アジェンデ大統領の友人で外交官であり　1971年にノーベル文学賞を受賞したチリの国民的詩人パブロ・ネルーダの依頼で　探偵カジェタノは世界各地への調査行へ。そんなイントロで始まる「ネルーダ事件」さてネルーダが依頼した捜査の内容とは？実在したパブロ・ネルーダの実話（邸宅の内装や収集品など興味深い）に作者の創作が加わり　探偵カジェタノはメキシコ　キューバ　さらに東ドイツついにはボリビアまで。同じチリ人の作家ロベルト・アンブエロにとって英雄パブロ・ネルーダは書かなければならないテーマだったのでしょう。そしてあの時代の　空気も。昨年発刊のハヤカワ・ミステリーです。　　　　　・　　　　　・　　　　　・歴史って　しばらく経たないと見えないもの年表ではこぼれ落ちる　生活や弱者のいとなみそんなことに目を向けた　小説って面白いですね。今　一気にダッシュで読んでるシリーズがありまして近いうちにご報告をしたいと。勝手に思っております。

  2015年02月05日

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  光と色のドラマ　新印象派で元気に

  小さな「点」に秘められた、画家たちの物語。というキャッチフレーズがついた展覧会「新印象派」を開幕して間もない時期に見ることができました。　　　　　　・　　　　　　・　　　　　　・「新印象派」とは　ザックリいえば19世紀後半にモネなどの陽光のうつろいや輝きを描く明るい画面と強い筆触を生かす技法をさらに発展させ「点描」による試みと色彩を科学的に追求した画家たちスーラ、シニャック、クロスなどを指すそうです。（ほかにもフランス、ベルギーなどの画家たちもいる）現代の私たちが見ている　印刷やテレビなども小さな色（原色）の点で形や微妙な色が表現されていますがその原理と同じ実験がされていたんですね。油絵の具を混色せず　鮮やかな原色と白による濃淡で点を補色の効果で　たとえば緑の木々や草の中に赤色の衣装や屋根などを　規則性を持って対比し生き生きとした明るさや躍動感を表現した。ポストカードの　左上がモネの作品で　右下がドラン中の3枚が新印象派を代表するスーラ、シニャック、クロス。彼らの出発点となったモネから彼らが影響を与えた　20世紀初頭のマティス、ドランたちのさらに自由な色彩と画法のフォーヴィスムの作品へとわずか20数年の変転が連続して展示されています。私の印象はこの時代（日本では明治の始めから中期頃にあたる）の国家・宗教から個人を重視する時代に変わって行くヨーロッパの空気が鮮やかに感じられました。ご興味がありましたら東京都美術館で3月29日まで開催中です。明るい未来を信じる画家たちの息吹を見れるかもしれませんよ。　　　　　　・　　　　　　・　　　　　　・元気をもらって　上野のお山からの帰りは歩いて　谷中・根津・千駄木周辺を散策することに。存続が危ぶまれている「谷中のヒマラヤ杉」は　この日も元気に健在でした。

  2015年02月02日

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  歩いた　本郷周辺

  なぜだか急に坂道を歩きたくなった。チャリや電車通勤だと　歩くことは極めて少ない。歩いても　平坦な駅との往復か階段ぐらい。今朝　思い立ったが　さて何処へ・・・なんとなく　駅まで歩きながら考えて・・・そうだ！　10年近く歩いていない　文京区の本郷周辺を歩こう！あそこは　坂道だらけだぞ。　　　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・地下鉄千代田線の「千駄木駅」で昼前の11時に降り谷中方面とは逆の　団子坂を上っていくことにする。その後の夕刻までのルートを順に書くと次のようになりました。急坂を上り→団子坂上の森鴎外観潮楼の前を通り抜け（脇道にも見所があるけど）→向ヶ丘（有名な寺町）へ直進→本郷通りを左折→東京大学農学部→構内に潜入→工学部・法学部・安田講堂・三四郎池・赤門→正門前の老舗レストランでハヤシライス→文豪達が宿泊した旅館→急坂を下って春日交差点へ→文京シビックセンター25階へ登る→菊坂にもどり裏道を登る→樋口一葉を感じながら→金魚坂を発見し驚き→本郷三丁目の交差点で江戸時代の藩内を確認し→上野広小路・湯島へ下る→湯島天神の男坂を降りて→初めて入るイタリアンの店でコーヒーブレイク→旧岩崎邸の脇を抜けて→根津の裏道をぶらついて→出発点の千駄木駅に戻る。時計を見れば　日が落ちかけた4時ちょうど。ほぼ5時間の散策でした。少し疲れたけど　とっても気持ちがいい。ありがたいことです。　　　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・散策中のスナップをいくつかどこであるのか　ご想像にお任せします・・・坂道の途中で　道を尋ねられたりお店で　こだわりを熱弁されたりエレベーター内で　出身地の紹介になったり歩くと　面白いことが　一杯あることをあらためて　思い知りました。ありがたいことです。

  2015年01月24日

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  年明けの　東京下町風景

  年が明けても　昨年からの同じ仕事がつづき5日から　毎日チャリ通勤（雨や風が強い日は電車にします）。その中で　目についた東京下町のスナップ報告です。例年のように　関東地方は乾燥した空っ風が強い晴れた日が多かったように思われます。朝の隅田川河畔上野の近くを通った際　不忍池を見れば凍った水面には　ユリカモメが群れをなして浅草の隅田公園の片隅にはひっそりと　水仙が咲いていました。雪中花とも呼ばれる水仙早くも　可憐な姿を見せている。温かい伊豆や房総ならともかく花の様子を見ると　満開を過ぎているような昨年末には　咲き出していたのでしょう。気がつかないところで確かに　季節は巡っていますね。道ばたの花に意識していこうと思う年の初めです。

  2015年01月17日

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  2015年　読み始め『繪本平家物語』

  新年明けましておめでとうございます。お元気に年越しをされましたか〜。みなさまにとって良いことが一杯ある2015年でありますように心から願っています～！　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎いつものように　特別な遠出を計画していない我が身正月休みの楽しみの一つとして　年末に図書館から気になっていた繪本を借りることができました。それは　画家・安野光雅の代表作のひとつ『繪本平家物語』です。淡い色の水彩画で　心優しい独創的で哲学的といってもよい多くの絵本や絵画や挿画で親しまれ幾多の国際賞や国内賞を受賞してもいつも新しい実験的な作品を見せてくれる　安野光雅さん。その『繪本平家物語』は見て読んでいませんでした。やっと入手しました。　それはすごかった。大型本の見開きを基本としたレイアウト「平家物語」のエッセンスをご本人がまとめた文章と交互に。いくつかを　ご覧ください。もっともっとご紹介したかったのですが一日のアップできる写真はここまででした。残念！本物をご一読ください（印刷物になるので原画とは違いますが）。　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎ーあとがきにかえてー　安野光雅　　　　の中で　ご本人の戦争体験で「屋島」（高松市）の空襲の火災を見た記憶とか　　　　　　　　　　　　・「日本史はこんなに面白い」半藤一利　編著　　　　の中での対談で　『繪本平家物語』のアメリカ展覧会が　　　　2003年3月アメリカがイラク戦争に突入した約1ヶ月後に開かれ　　　　その会場で　安野光雅さんは　求められた挨拶で語ったそうです。　　　　「おごれる者久しからず、唯春の夜の夢のごとし。　　　　　たけき人も遂にはほろびぬ。偏に風の前の塵に同じ」と。　　　　　　　　　　　　・一枚一枚の絵を　じっくり見ると悠久の人の営みと　それを見つめる画家の真摯な心が見えてきました。高価な繪本です。まずはご近所の図書館で探してみてはいかがでしょうか。新年の近況報告です。

  2015年01月04日

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  走り納め「水元の冬景色」

  ブログを書き続けることにモチベーションがあがらない　ここ数年でしたが今年は「読んでるよ」「見ていますよ」といってくださる多くの方々が増えました。（知人だけの数人かも？）定期的にまた思い出して訪問してくださる方々に心から感謝致します。どうということもない。あたらしい見識や発見もない個人的なブログ内容なのに。ありがとうございます。投稿する写真や記事がすこしは気分転換になるとかホッとするとかお役に立てたなら望外の幸せです。　　　　　　　　◎3枚の写真は雨上がりの穏やかに晴れた今日のいつもの水元公園の冬景色です。（見慣れて飽きましたかね？）行くたびに　2週間も違うと景色が全く変わるんですよ。来年もたぶん　同じ場所の写真が・・・隅田川沿いも　増やしたい・・・愛車チャリで　新しい場所にも・・・（今年は約4,000キロ走りました）では　皆様！良いお年をお迎えください！来年も　ヨロシク～です！

  2014年12月30日

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  「ホドラー展」の良きリズム

  世紀末ヨーロッパを魅了したスイスの巨匠40年ぶりの回顧展　と銘打たれたフェルディナント・ホドラー展が上野の国立西洋美術館で　秋から公開中です。　　　　　　　　　　　◎ホドラー（1853-1918）は19世紀末のスイスを代表する画家。貧しく不幸な幼年時代に　風景画家として出発し1880年代には「憂鬱」「内省」「死」のイメージの作品を。しかし　1895年の有名な『オイリュトミー』以降「良きリズム」「形態の反復」をテーマとする作品の数々を発表。当時前衛的な音楽や舞踏とも共鳴した「生きたリズム」で明るく躍動感に溢れる絵画へ。『悦ばしき女』1910年頃そして多くの作品が展示されているスイスの湖やアルプスの山々にも「調和したリズム」があると。最晩年1918年の『白鳥のいるレマン湖とモンブラン』　　　　　　　　　　　◎心がほっこりした　いい展覧会でした。正月気分でアルプスを眺めるのもいいかも（笑）来年1月2日から12日までの公開です。（ご注意：年内はすでに休館です）くわしくはこちらで。

  2014年12月28日

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  ボストン美術館「ミレー展」　三菱一号館美術館

  19世紀の中頃　パリの近郊フォンテーヌブローの森には多くの画家が通い競うように木々や光の微妙な移ろいを描いていた。「ミレー展」には　ジャン＝フランソワ・ミレー以外にも多くの画家の作品が展示されています。ナルシス・ヴィルジア・ディアス・ド・ラ・ペーニャ「森の中の池」1848ミレーの仲間たちはルソー　コロー　などなど。（覚えられない長～いカタカナの名前　などなど）フォンテーヌブローの森の入り口バルビゾン村に住んだ画家も多い。彼らの住んだ屋敷は　今も保存されているそうだ。モネもミレーを訪ね　交流があったようでまもなく「印象派」と呼ばれる画家達にも影響を与えたようです。ジャン＝フランソワ・ミレー「洗濯女」1855ミレーの代表作のいくつか「種をまく人」1850年「馬鈴薯植え」1861年「羊飼いの娘」1870－73年頃などは　もちろん見応えはありましたが全体を通して感じたのは農村の自然と働く農民をずっと主役にしていたこと。それも女性を描いたものの多さに驚く。子供の頃　教科書でも「農民派の画家」のキャッチフレーズでミレーを学んだ記憶がある。しかし　大きなキャンバスで実際の作品を見ているとそんな既成の知識でなく　ほんとに心から働く人々を敬愛していたことが理解できた。当時はまだまだ宗教画や肖像画しか売れないだろうに。せいぜいサロンのブルジョア階級の人が買うくらい。ミレーは自国のフランスの田舎から出ることは無かった。彼の絵を　認め愛して購入したのが当時のボストンに在住していた人々だったそうでその絵画を　後年　彼らは「ボストン美術館」に寄贈しここまで充実したミレー作品蒐集館となったそうだ。ミレーの絵は　移民国家のアメリカ人やカナダ人にとって故郷の風景や肉親のルーツを　強烈に感じる絵画ではなかったか・・・なんて　勝手に想像している。　　　　　　・　　　　　・　　　　　・ボストン美術館「ミレー展」は東京丸の内の三菱一号館美術館で来年の1月12日まで開催中です。詳しくは　こちらで。

  2014年12月22日

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  選挙結果を読む

  先日の衆議院選挙は「与党の大勝利」「自民の現政権は信任された」との報道が当初大きく報道されたが・・・その後　よく選挙結果を見てみるとちがう側面が見え隠れしている。　　　　　　　◎沖縄ではご存知の通り翁長雄志（おなが・たけし）知事を誕生させた保革共闘グループが支援した名護市辺野古への移設に反対する非自民の候補4人全員が自民前職を破った。共産党の大幅な議席獲得は自民公明政権の方針に対する反対票が受け皿として機能したと考えられる。私のまわりにも今回の選挙結果に「失望と敗北」を感じている人が多いがでも今の強権的な政府の進め方に異議を持っている多くの人々がいることも明らかになったといえるのでは。光明は指している。　　　　　　　◎そんなことを考えながら仲間との忘年会やコンサートや美術展の鑑賞を大切にしたい年の瀬です。

  2014年12月20日

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  菅原文太　いのちのバトン

  高倉健の後を追うように　菅原文太が逝った。昭和の「男」を演じた　代表的な二人だった。最近の菅原文太は俳優業から身を引きながら（山田洋次監督の「東京家族」主演を降板）山梨県で有機農業・無農薬栽培を実践東日本大震災の後は「いのちの党」を有志とともに結成平和を守り原発を廃止する運動に積極的にコミットしていた。死去直前の11月1日には沖縄知事選候補の翁長雄志の応援演説に出席していた。スクリーン上の「男」は実像でも　信念に従って行動した「本物の男」でありました。ご冥福を祈ります。菅原文太さんと交流を重ねていた鎌田實さんも12月2日のブログで語っています。「菅原文太さんからのバトン」　　　　　　　　　◎いのちのバトンを繋ぐつもりで14日の選挙では「原発の再稼働」「貧富の格差拡大」を重要課題に挙げている候補を選びたいと思っています。

  2014年12月11日

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  『高倉健の肖像』福山小夜

  昔　友人がプレゼントしてくれた　大切な画集があります。ここ数日　久しぶりに　何回もページをあけて見ています。　　　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・冬の旅人　『高倉健の肖像』福山小夜・画沢木耕太郎・文イラストレーターの福山小夜が3年以上にわたってひたすら高倉健を描きつづけた肖像をまとめたものである。軽いタッチの素描風もあれば　重厚な厚塗りの油絵も　また墨絵風もある。すべて一人の人間の深淵を描きたいという熱を感じる。沢木耕太郎は　巻頭の小文で　彼女の心のうちに迫っている。「恋と呼ばずに、しかしその思いを何と呼ぼう・・・」　　　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・「祈り」油彩何を祈っているのか・・・窺い知れませんが・・・高倉健のエッセイ「旅の途中で」の中で千日回峰行を成し遂げた大阿闍梨　酒井雄哉さんが語っています。　　　　　自分に課せられた人生。　　　　　仏様からいただいた人生を、　　　　　「これだけ燃えつきました」　　　　　高倉健はそう言って逝ける、　　　　　数少ないお人やと思います。　　　　　　　　　　　　　2000年12月　比叡山にて「零時」油彩無精髭と眼鏡で読書中　山小屋風の小部屋で。同じくエッセイ「旅の途中で」を読んでいたら　この場所が判明。お母さんのために　九州のあるところに小さな家を建てたとき自分用のヨットのキャビンを模した　小部屋を造りときどき籠っていたそうだ。画集の序文で　福山小夜に礼を述べている。　　　　「数々のお描きになった絵達を、自分の鞭として　　　　　残る人生をまっしぐらに駆け抜ける所存です。　　　　　本当に有難うございました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　早々」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高倉健　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　　◎かつて高倉健さんを題材にしたことがあったなーと思って自分のブログ内を検索してみたら　いくつか見つかりました。　読み返してみて　おかしなことは書いていないのでよかったら　覗いてみてください。　お時間がありましたら　追悼の意味でも。「旅の途中で」「あなたへ」「友へ」「高倉健スペシャル」

  2014年11月27日

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• 「うらおもて人生録」色川武大

  たまたま　p.252を開けてみると　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　　◎　　　　実をいうと、この一連の文章を記しはじめるときに、俺はこう考えた。　　　　いかに生べきかー、このことについては、俺なんか、軽々しく記せない。　　　　昔のように、宗教や道徳がなかば固定していた時代とちがって、今は、　　　　大綱（重要な骨組み）が乏しいからね。ことに現在の日本のように　　　　資本主義社会は能力主義だから、勝てば官軍というイメージが強い。　　　　勝つか負けるか、ということと、いかに生きるべきか、ということはちがう。　　　　俺には、大勢の人に向かって、こんなふうに生きるべきなんて、　　　　なんてことは（残念ながら）いえないよ。　　　　だから、どのコースを行けばいいのか、そのことの決定は、　　　　君たち自身で決めるより仕方ない。　　　　俺に書けることは、技術だ。どのコースを行こうと必要になる基本的セオリーだ。　　　　まァそう思ったんだね。それで記しはじめてみると、　　　　どうもそういかないんだ。　　　　姿勢の問題と、技術の問題は、ジャンルがちがうのだけれども、　　　　遠くの方に行くと、天と地がつながっている一線があるんだね。　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　　◎各章、各ページを読めばおーそうなんだ！　そうだよな！　痛く納得。　人生の本質はこれだ！なんて　思ったつもり　でも　よく分かっていない。　本質を理解するのが難しい。でも　読み返すと　また　すごい！　勇気と優しさを与えてくれる。ほんとは　還暦過ぎあたりの人に向けた　メッセージの　ようだ？　　　　　　　　　　　・　　　　　　　　　　　・　　　　　　　　　　　・今夏に　本屋で見つけた色川武大（阿佐田哲也）の「うらおもて人生録」は昭和62年に発行された本の35刷でした。若者に向けた書とされていますが誰が読んでも新鮮です。新たなスタートを期する人には特にお勧めです。

  2014年11月17日

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  「奥多摩の紅葉」報告と「八重洲」の反省

  昨日2日に早起きして　奥多摩「御嶽（みたけ）駅」から「沢井」までの『奥多摩渓谷遊歩道』を歩いてまいりました。趣味が一致する　長年の友6名　新宿駅で集まって。9時過ぎに着いた「御嶽駅」から多摩川沿いの道を　ひと駅分を下る　段差も少ない優しい道で前日の強い雨も上がり　朝日がきらきらと　渓流と樹木の葉を照らす。ご覧のように　色づき始めた紅葉前線は　昨日このぐらいでした。燃え盛るような赤色の見頃は　月末の連休あたりかな？　　　　　・　　　　　・　　　　　・歩いた時間は　ゆっくりのんびり　途中所々で撮影して　50分くらい。「沢井」での昼食に時間があるので　吊り橋を渡って対岸の「寒山寺」へ。周辺を散策して　予約したお店に時間前に到着。この遊歩道は　さらに下流の「軍畑（いくさばた）駅」まで続いています。　　　　　・　　　　　・　　　　　・「早起きは三文の得」。静かな個室で　料理と日本酒をしっかりいただきほろ酔い気分で時計を見れば　まだ1時前！へたすりゃ普段の休日は　やっと起きる時間だぜ？！今日のここまでの午前中の清々しい体験は・・・　三文の得したな！とりあえず帰りの電車の乗ったがこのまま帰宅しても　全員明るいうちのご帰還。かえって家族の迷惑になりそうてんで「東京駅まで行って反省会をやるか」となりまして八重洲地下街の居酒屋を見つけ　しっかり反省を夕刻まで。　　　　　　　　　　◎ところで「八重洲」の名前の謂れをご存知でしょうか。　　関ヶ原の戦いの年　九州沖に漂着したオランダ船の航海士だった　　ヤン・ヨーステインは優れた知識をかわれて　江戸に呼ばれ　　徳川家康の貿易・外交の顧問となり　ご朱印船の指導者となった。　　与えられた屋敷が　江戸城の目の前　重臣の住居地域。　　　彼の住んでいるところを　ヤンヨスから訛って「八重洲」となったそうで。　　　　これ本当の話し。（八重洲通りと中央通りの交差点近くに碑があります）ただこのウンチクを　大きな声で話すことに　お気をつけあれ。「ヤ〜ン　ヨーステ！」「ヤ～ン　ヨーステ！」なんて聞こえたら周りの人から何事かと振り返られますので・・・

  2014年11月03日

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  半村良の浅草と新宿

  読み忘れていた半村良の「小説　浅草案内」を　あるきっかけで手に。心地よい余韻を片手に　主な舞台となっている浅草観音裏の見番周辺を　ぶらぶら歩いてみました。【解説】のなかで都筑道夫氏は　次のように書いている・・・　　半村さんも、浅草生まれではないが、おなじ下町人種の自覚があるせいだろう。　　いきなり人物が出てきて、そのむこうに浅草の町なみがある。　　題名は『浅草案内』だが、浅草体験であって、訪問記ではない。　　この一冊に関するかぎり、半村良さんは浅草に腰をすえている。　　実際に住んでいたのだが、それをいうのではない。多くの実在の店に、　　いくらかの架空の店をまじえて、そこを往ったり来たりする人物を見ていると、　　浅草小説というよりも、浅草人小説といいたくなる。　　世間ばなしを聞くような軽みがありながら、一冊を読みおわったあとには、　　ずしりと残るものがある。　　（略）　　　　　　　　　　　　　　　　　◎短編の中のひとつ『朝から晩まで』イラストは安西水丸　（これがまた良いでしょ！）ラストの数行・・・　　　　人ごみの、その人の林にわけ入って、一本一本を根元から梢（こずえ）まで　　　丹念に眺めると、姿のよい木というのは思いがけずたくさんあるものだ。　　　　そうだ。あした結城に会ったら、〈のぶ助〉へ連れて行って飲もう。　　　頑固者同士で、きっと気が合うことだろう。　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎半村さんが毎朝のように通った　喫茶店『エル』を見つけ入ってみる。夫婦ふたりの昔からの珈琲屋さん。小説に出てくる浅草指南役ママの　娘さんご夫婦がお店を継いでいて目の前のマンションに住んだ　半村良さんをよく覚えていました。今でも時々「小説　浅草案内」の読者が　探し当てて訪れるんだって先日は　北九州からわざわざ来た人もあったとか。柳通りに　半村さんがよく通った『石松』も実在していた。次回は　ここに夕刻ふらっと覗いてみるかな・・・モデルになった人が　ひょっこりと現れるかも？　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎「小説　浅草案内」の印象がとっても強かったので半村良の人情話を　さらに味わいたくて若いとき読んだ「雨やどり」を再読。直木賞を受賞した「雨やどり」は　新宿を舞台にして有名ですがその凝縮した人情話は　哀感漂う人間模様を描き出す。熱い昭和40年頃を背景にしながら・・・「雨やどり」の直木賞選評で松本清張氏が「O・ヘンリーの短編の妙を思わせるものがある」と書いている。一捻り二捻りして最後にストンと。傑作だ。作家とはすごい！改めて感じた。骨身を賭けている。若いときには　その深さが理解できなかった。。。久しぶりに「新宿」で　一杯やるかな・・・

  2014年10月26日

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  東京湾夜景クルーズに揺られて

  温泉付きの紅葉狩り　とか秋の味覚の食べ歩き　とかいろいろ勧誘はあったが　あまり興味が湧かない。でも何となく休日のスケジュールに合うミニツアーを調べていたら「羽田空港新滑走路・川崎工場夜景見学クルーズ」を見つけた。東京に長く育ったが東京湾の水上から観る羽田や川崎の夜景はほとんど記憶にない。たまに高速道路や飛行機の上空から観ることはあっても・・・夕刻　品川駅から出かけてみました。　　　　　　　　　　　　　　　　　◎天王洲の桟橋からの乗客は中高年の夫婦二組　中年女性2人組　男性単独の初老ふたり（そのひとりが僕）お若いカップル　お若い女性の2人組　　合わせて12人。聞いてみれば　このツアーは普段も　女性客の方が多いだって。体格のいい船長と　助手の若い女性がガイドをしてくれる。夕刻四時半　品川の運河を抜けて　夕陽を見ながら東京湾に出る。穏やかな日ではあっても　それなりに波は高く　風も冷たく感じる。羽田沖から　数分ごとに離発着する飛行機に　子供のように胸を躍らせ日もとっぷりと暮れた六時頃　川崎運河に入る。石油精製工場の火が　揺れている。日本の高度成長を担った　京浜工業地帯のジンボルなんだと感傷に浸る。さらに奥へ　SF映画のセットみたいな光景に黙する。勝手に想像していたスケールより　小さく感じるな。　　　　　　　　　　　　　　　　　◎夜もとっぷり暮れた　7時過ぎ帰りの航路で　思わず感嘆したのが東京湾の沖合から見た　湾岸の光に揺れる夜景でした。まるで　幻想のような　異空間のような　現実感の無い景色これも　たった今の　東京なんだな。　　　　　　　　　　　　　　　　　◎少し冷えたので　帰りに品川駅前の路地の小さなトンカツ屋で　ひとりぬる燗をやりながら東京湾の思い出に　しばし揺れてみた。

  2014年10月23日

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  秋の赤色

  ご近所の公園で花壇を観ると意外と「赤色の花」があるのに気がつきました。秋というと　枯れ葉や菊の黄色を勝手にイメージしていましたがよく見ると　派手な色が主張している。　　　　　　　　　　　　　　　　　◎「羽毛ケイトウ」と言うらしい。紫から白へのグラデーションが微妙な味を。そして　夏の終わりに目にしていたこの花が　今も咲いていた。「ケイトウ」（鶏頭）と書く。　文字通りニワトリの頭ですね。図鑑で調べてみたら「ケイトウ」は　実に種類が多く・・・　　・開花時期は、 8／10 ～ 12／10頃。　　・熱帯アジアなどの原産。　　　日本には万葉時代にはすでに渡来していた”古株”。　　・花が鶏の鶏冠（とさか）状に見えるのでこの名前になった。　　　英語でも「cocks-comb」（鶏のとさか）なので　　　この花に対するイメージは世界共通なのかも。 　　・花が丸くなって咲くものや、　　　槍のようにとがるものなど、いろいろある。　　　　色は赤いものがほとんど。だいだい色のものもある。　　・昔は草染めの原料として利用された。　　　　　　　　　　　　　　　　　◎花壇の隅では　紫色の「ダリア」がひっそりと。こっちも　裏の茎側からこっそり撮った。いろいろな色がある　ダリアはキク科。菊と言えば　日曜日に浅草寺を通ったら「菊祭り」が始まっていました。秋も　花を愛でる季節なんですね。

  2014年10月21日

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  各地に残る　山岡鉄舟（やまおか てっしゅう）

  幕末の幕臣　明治時代の政治家、思想家として知られる剣・禅・書の達人　『山岡 鉄舟』に現在でも多くの書や碑などで接することができます。敗者の徳川幕臣だったので　歴史の表舞台にはあまり出てきませんが・・・日本の歴史の上で　意味ある人物では無いでしょうか。　　　　　　　　　　　　　　　　　◎勝海舟の依頼を受けて　山岡鉄舟は官軍へ徳川慶喜の意向を伝える手紙を届けることに。鉄舟は江戸へ進軍する官軍が駐留する駿府に辿り着き西郷隆盛と面会し基本的な合意をとる。この面会場所が　現在の静岡駅近くの松坂屋横に碑が残っています。勝海舟と西郷隆盛の　江戸無血開城を決した会談の前に実は下打ち合わせが　ここで鉄舟との間で行われていたんですね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　◎精神修養を重んじる鉄舟の剣道観は　近代剣道の理念に影響を与え現在も鉄舟を私淑する剣道家は多い。平成15年（2003年）　鉄舟は全日本剣道連盟の剣道殿堂に顕彰された。「剣道」といえば　日本史上最後の仇討をした人物として知られる臼井六郎という人物も明治始め　鉄舟の道場で修業を積んでいた。吉村昭「敵討（かたきうち）」中の「最後の仇討」が明治時代になってから起きた　この事件をテーマにしている。この本でも山岡鉄舟に一瞬会うことができます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　◎鉄舟の書や揮毫は　人に頼まれれば断らずに書いたので各地に実に多く残っている。その数　百万に近いとか・・・例えば　日本橋山本海苔店の商品のいくつかあんパンで有名な銀座木村屋の看板も鉄舟の揮毫　とか。　　　　　　　　　　　　　　　　　　◎禅の修行は長く　剣道と一体化しての厳しいものだったそうだ。彼の弟子に　落語の神様「三遊亭圓朝」がいる。明治16年　維新に殉じた人々の菩提を弔うため東京都台東区谷中に　普門山全生庵を建立した。千駄木駅から谷中へ上る三崎坂（さんさきざか）途中にある「全生庵」。ここに　山岡鉄舟と三遊亭圓朝のお墓があります。どなたでも墓参できます。毎年8月はここで「圓朝祭り」が行われ（本格落語家さんの高座などイベントがいろいろと）圓朝がコレクションした貴重な「幽霊画」が本堂で公開されます。東京には　江戸明治の歴史が眠っていますね。散歩ついでに　寄り道されては。

  2014年10月14日

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  昭和三十年代の　懐かしい東京下町が

  朱川湊人の作品「わくらば日記」にありました。　　　　　　　　◎　　　　　　　　◎　　　　　　　　◎昭和三〇年代。当時私は東京の下町で母さまと姉さまと三人、貧しいながらも仲むつまじく過ごしておりました。私たちは、それは仲の良い姉妹でした。ただ、姉さまには普通の人とは違う力があったのです。それは、人であれ、物であれ、それらの記憶を読み取ってしまう力でした…。小さな町を揺るがすひき逃げ事件、女子高生殺人事件、知り合いの逮捕騒動…不思議な能力を持つ少女が浮かび上がらせる事件の真相や、悲喜こもごもの人間模様。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（「BOOK」データベースより）　　　　　　　　◎　　　　　　　　◎　　　　　　　　◎荒川に近い足立区のある町に住む　女の子の目線でやさしく素直に昭和のまだ戦後がわずかに残る　時代や社会の空気とリアルな日常の生活感を背景に　五つの事件を描く連作短編集。例えば「追憶の虹」では千住にあった『お化け煙突』が。ノスタルジーに浸るわけでなく人の優しさや切なさ強さがテーマなんですがそれでも懐かしい風景描写にうれしくあっという間に読み終わり。同じ姉妹の主人公による続編「わくらば追慕抄」にとびつき。同じく五つの短編とも　どれもこれも美味しく満足。女の子も中学生になったので　舞台の町も少し広がり隅田川を渡って　南千住　浅草　銀座　渋谷へと。これがまた　懐かしい風景がつぎつぎと登場する。例えば『黄昏の少年』では人並みに押されて前に進むにも往生する浅草六区の映画館街。　　　　　・　　　　　・　　　　　・ホラーやファンタジーが持ち味と聞いて二の足を踏んでいたがやさしく静かな語り口が実に読みやすく読後感が爽やかな朱川湊人という作家にすっかり魅せられ「満月ケチャップライス」「なごり歌」を連続して今は　直木賞を受賞した「花まんま」を読んでいる最中。これは大阪の町で　昭和四十年前半を舞台にしている。途中で不覚にもホロっとした。

  2014年10月07日

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  「春草」から北の丸へ

  千代田区竹橋の国立近代美術館で開催されている「菱田春草展」へ秋晴れの休日　昼前に出かけてまいりました。菱田春草は　近代日本画を確立した　明治を代表するひとりで草創期の東京美術学校（現　東京芸大）を卒業後岡倉天心の日本美術院に　横山大観などと共に参加輪郭線を無くした画法や西洋の画材を使って　色彩の可能性を試すなど多くの研究を実践し　若く36才で没した画家です。　　　　　　・　　　　　　・　　　　　　・今回の展覧会は16才の「海老にさざえ」から　20代の初期の作品など20代中頃の　いわゆる「朦朧体」と揶揄された日本画の特徴の輪郭線を　描かないで形体を描くその試みなど　年代順に。そして　目の病気で活動を中断した後に制作した有名な「落ち葉シリーズ」「猫シリーズ」などなど。重要文化財「落葉」　屏風2点（ポストカードから）作品を観ることはもちろんひとりの芸術家　菱田春草という人間を観ることにもなりました。さらに個人的には　岡倉天心や茨城の五浦（いつら）にまるで「梁山泊」のように立てこもって修行した彼ら画家達に思いは広がるのですが　そこはまたの機会に・・・この「菱田春草展」の詳しくはこちらでチェックしてください。展示作品が前期後期で入れ替わりますのでご注意ください。　　　　　　・　　　　　　・　　　　　　・この日は　それほど疲れなかったので続けて　企画展入場者は無料で観られる「所蔵作品展」も。日本の美術館には　これほど貴重な作品が蒐集されているのですね。ここ近代美術館には　明治から昭和中程の作家の作品群が。それこそ　海外を含め日本の素晴らしい作品が初めて目にして　驚きました！例えばとは　言えません。　あまりに多すぎて。機会がありましたら　是非足を伸ばしてはいかがでしょうか。　　　　　　　◎　　　　　　　◎　　　　　　　◎ところで　この竹橋にある「国立近代美術館」は皇居の北の丸公園に隣接していましてあまりに　いい天気なので　足を伸ばして元近衛師団司令部庁舎の「工芸館」からその先の「北の丸公園」の中を散策中の池では　秋の気配を帰路は田安門を抜けて　九段下から神田へ充実した　初秋のサイクリングでした。もちろん　電車でも無理のないコースですよ！もし　よろしければ　秋の散策コースのひとつにどうぞ。

  2014年09月30日

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  ボストンから北斎が帰ってきた

  葛飾北斎が　ボストン美術館から上野の森に　一時帰国中と知り秋晴れの　爽やかな日愛車で　面会してまいりました。　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎世界で最も有名な日本人の一人90才まで現役　30数回改号した90回以上の転居などなど　謎の多い江戸時代後期の　浮世絵師「葛飾北斎」。彼の作品の多くを蒐集したボストン美術館はほとんど公開しなかったため作品は極めて良好な状態で保存された。その中でも選りすぐりの　約140点が日本で初めて公開されているのです。　　　　・　　　　・　　　　・「富岳三十六景」「百物語」など図鑑や写真でみたことがある有名作品を鮮やかな色彩で鑑賞出来たこともうれしかったが「北斎の生涯」にわたる20代の初期から70代以降の最盛期と晩年までの作品群をボストン美術館にしかない貴重な作品をふくめて通観できたことが驚きでした。詳しくは「ボストン美術館　北斎　浮世絵名品展」をご覧ください。　　　　・　　　　・　　　　・お土産のポストカードから数点をご紹介。花鳥画シリーズの中でも傑出しているとされる「芥子（けし）」「諸国瀧廻り」のひとつ　独創的な構図と色使いの「木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」　　　　・　　　　・　　　　・北斎の娘で　助手を務めその後　浮世絵師として自立した「応為（おうい）」の作品で「三曲合奏図」確かな描写力　色彩　表情と動きなかなか魅力的な浮世絵でしょ！こんな作品に会えることもうれしいのです。「上野の森　美術館」で11月9日（日）まで開催中です。

  2014年09月23日

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  秋空に誘われて

  急な雷雨が暴れた　ここ一週間ほどの　東京下町も今日は　おだやかに晴れた。きっと爽やかな夕景になるだろう　空を見ながら確信した夕刻いつもの水元公園に　急遽チャリで走ってきました。　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎つるべ落としが　ますます早まった　4時過ぎから5時頃までの水辺の　林間の　花壇の　わずかな瞬間のワンショットです。サラーッとした　乾いた風と刻々と変わる　夕陽の変化が　伝わると嬉しいですな。今日は　広大な水元公園　西口に入るルートを選び中川の潮止橋を渡り　八潮市の大場川に沿ったマリーナの横を走って入りました。　「カワセミの里」から続く　ポプラ並木の葉は　風に揺れている。花壇のラベンダーに迎えられ一本道を抜けて水辺に出ればホーッ！　フ〜ッ！　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎このまま　爽やかな秋がすんなりと来るのか？残暑が突然もどってくるのか？そんな心配を打ち払うように　今日友人からある「絵画展のチケット」を送っていただいた。秋の　お楽しみが　これからだ！

  2014年09月13日

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  江戸川最南端への旅

  東京都と千葉県の間を流れる「江戸川」には両岸に　歩道＆サイクリングロードが整備され　朝夕歩いて散策する人々　自転車でのんびり走る人々が　多くいます。　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎今回は　9月に入って　風も穏やかな気温30度に届かない　ある日の「江戸川を下って東京湾まで」を　さらっとレポート。柴又帝釈天から江戸川サイクリングロードに入り（河口から約20キロ）東京都側の右岸を下ってみました。京葉道路の江戸川大橋の下を　くぐってすぐに水門が現れた。左右に分かれる川に初対面で　しばし迷いましたがおおよその勘で　この水門の下の右側の川が「旧江戸川」では。東京湾に流れ込む「葛西臨海公園」と「東京ディズニーランド」の間の川では。結果的に正解でした。左折して　水門の上に平行する　車は入れない狭い道を抜けて本江戸川に沿った道を下れば釣り船　貸しボート屋が　軒を並べている。平日なのに　結構な数のボートが釣り糸を垂らしている。グランドや公園が整備されていた今までの河川敷が　まったく表情を変える。魚と海の気配をぷんぷんと。しばらく走れば　「海まで0.5キロ」の標識。「湾岸高速」や「京葉線」の橋の下に　かすかに千葉港付近の陸地が望めました。　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎「江戸川最南端」を走破したけど　その景色は美しいとは言えずその後　海に沿って工場地帯を走り　京葉線の駅で一服したけど感激するような事態には出くわさず・・・でも　そんなものだよね。　期待したり見返りがあるなんて思う方が欲張り。　というか気がついていないのだろうね。たぶん。

  2014年09月07日

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  働く船達

  わたしの子供の頃　昭和30年代ですが隅田川には　いろいろな船が行き交っていました。石炭を運ぶ船　ミニタンカーおわい船（糞尿を運ぶ）　鉄くずを満載の船・・・幼い子供も一緒の家族が住む船（洗濯物を干していたり）そこから小学校に通う子供もいた。それらの船は　川に面した鉄道貨物駅や工場に汐留駅とか　南千住貨物駅とか　上流の川口の工場などなど毎日　いつでも多くの船が　隅田川を往来していました。　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎昨今は　浅草近辺から下流への水上バスや屋形船などを除けばまず　働く船にお目にかからない。そんな数年ですが　時々目にした働く船と人々を　報告します！　多分　浚渫（しゅんせつ）した泥を運んでいるのでしょう。つい先日　白鬚橋の近くで橋の補修作業を　川から援助する船と人々。　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎川と船と橋車や電車で走っていると　つい忘れがちになるけどこれからも　気に留めて行こう　かな。

  2014年09月04日

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  「村上海賊の娘」と「大阪本願寺」

  2014年度「本屋大賞」を受賞し　多いに売れているという和田 竜の『村上海賊の娘』を一気に読んだ。映画化もされた『のぼうの城』の作者　和田 竜が戦国時代の瀬戸内海を席巻した　村上水軍のひとり村上武吉の娘景（きょう）を主人公にした　歴史エンターテイメント。多くの文献や古文書を調べ　細部にわたって当時の船舶や武器など　周辺の背景を再現した労作といえる。でも　そんなことを難しく語る訳でなくこれでもかの劇画チックな迫力あるストーリー展開で。　　　　　　◎　　　　　　◎　　　　　　◎この本の内容が瀬戸内海を一時期占領下にした「村上水軍」と織田信長と10年に渡って戦った大阪の「石山本願寺」が舞台と知り多いに興味を覚え　やっと。尾道市のすぐ沖合　「因島」瀬戸内海の中程の「能島」今治市に近い「来島」この三島が村上水軍の本拠地。（現在の「しまなみ海道」のルートなのです）信長軍に包囲され　兵糧不足が危機に陥った「石山本願寺」から援助を依頼された毛利家。その一軍として「村上水軍」は大阪へ進軍する。当時の「石山本願寺」は大阪湾に面した城郭一向宗（浄土真宗）の総本山。豪族以上の武力と影響力を持っていた。（加賀一向宗の歴史から興味は尽きない）その後　豊臣秀吉はこの跡地に「大阪城」を建てる。　　　　　　◎　　　　　　◎　　　　　　◎小説『村上海賊の娘』歴史小説好きから　初めて戦国時代に接する人まで面白いかも　しれない。

  2014年08月23日

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  水上勉「兵卒の鬃（たてがみ）」を知る

  八月十五日の終戦記念日を向かえさらに昨今の　戦争を準備しているような強引な風潮になにか　意識を持って考えねば　なんて気持ちもあったのか図書館で目に留まったのが　水上勉作品集「日本の戦争」でした。この中の「兵卒のたてがみ」が圧巻です。吉川英治作品賞を受賞した　この作品はご自身が経験した　昭和19年（終戦の前年）に「輜重輸卒（しちょうゆそつ）」として徴兵され京都伏見で訓練を受けた2ヶ月弱の体験談です。当時は東南アジア太平洋海域で敗戦がつづき丙種合格（体力が無い・病気持ち）などの人々にも赤紙が来るように結核の病歴のある水上さんにもハガキがきた。「輜重輸卒（しちょうゆそつ）」という部隊は簡単に言えば　軍馬のお世話係。軍隊の中でも最下層だったそうだ。『お前らは一銭五厘であつめられたが、馬はそうはいかぬ。　天皇陛下のお馬ゆえ、放馬したり、傷つけたりしたら重営倉だぞ』と。　　　　　　。　　　　　。　　　　　。わずかな期間の軍隊生活とはいえ二十代半ば　出産近い妻を残し　負け戦の前線への出兵を覚悟していた水上さん達は　まさしく戦争の最前線に立っていた。のにたまたま除隊になって　命を長らえた。でもその後　ずっと心に残る「うしろめたさ」が彼を苦しめ続ける。同じような年齢の　同郷の　縁者たちの死にたいして。水上勉の数ある著作「飢餓海峡」「五番町夕霧楼」「雁の寺」などなどの創作の底流になっている感情なのでしょう。

  2014年08月17日

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  佐倉市「歴博」を旅する　～2～

  次回から報告が遅くなりまして申し訳ありません。猛暑の中　草野球大会に参加したり連日　チャリで往復したりで　帰ったらグッタリの状態が続きまして・・・やわないい訳です。　　　　　　　◎　　　　　　　◎　　　　　　　◎「国立歴史民族博物館」の第4展示室まで見学したら3時間ほどたってしまい　　第5「近代」　第6「現代」は後日　再度訪れることにし「武家屋敷」の見学へとチャリを走らせました。博物館の横から向かう道は　なだらかな緑地。佐倉市の東西に伸びる丘の西端にあった「佐倉城跡」は　空堀や公園を残して　面影を残す。観光案内所でもらった地図を頼りに探す江戸初期の城下町は　北からの攻撃の防御を前提にしているので道は急に行き止まりになったり　湾曲していたりあえてそのような城下町を作ったので　すぐには見つけられなかったが。今は　ひっそりと穏やかな住宅街の中に「三軒の武家屋敷」はありました。藩から与えられる　武士の住居上級から下級武士によって　大きさ間取りは厳格に違うそこで住まう人々の生活を　いろいろと想像しました。目の当たりにして　生活していた匂いや明かりや　広さや　季節感や　重さや少しは感じられたかな？　　　　　　　◎　　　　　　　◎　　　　　　　◎佐倉市にはほかにも　今回は訪ねることができなかった「佐倉藩最後の藩主　堀田邸」とか「佐倉順天堂記念館」とか「DIC川村記念美術館」とか印旛沼に広がる植物園などいろいろあります。楽しみが残りました。季節を改めて再訪を。

  2014年08月10日

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  佐倉市「歴博」を旅する　〜1〜

  東京駅から成田空港にむかって　ほぼ1時間成田空港ちょっと手前の　佐倉市。印旛沼南端に接する城下町。江戸時代初期に幕府の重臣　土井利勝が基礎を作った城下町の一郭に「国立歴史民族博物館」があります。存在は知っていましたが　いまだ訪れたことがなかった。7月下旬　強烈な熱さの中　気合いを入れて訪ねました。それは　実に良かった！　　　　　　　◎　　　　　　　◎　　　　　　　◎京成佐倉駅の近くの　観光案内所でレンタサイクルを借り「国立歴史民族博物館」を目指す。小さく見える赤い自転車が　借りた三段階付きのチャリです。馬の背のような　東西に伸びる台地の　西端に「佐倉城」があった。想像以上に　急坂の登坂道。明治時代になり　軍隊の練習場や宿舎に転用された敷地に「国立歴史民族博物館」は建設されました。　http://www.rekihaku.ac.jpその常設展の　第1から第6までの展示室は第1「原始・古代」　　　第2「中世」　　　第3「近世」　　　第4「民族」第5「近代」　　　第6「現代」と　区分けされている。他の有名美術館や博物館と違って　単品でお客さんを呼べるような高価な？作品はありませんが　「日本人の歴史や民族を思い返しましょう」。文字だけでなく　できるだけビジュアルで表現しようという意欲を感じる。そんな貴重な体験に　感謝しました。たとえば　平安時代後期の市場をここまで再現したり日本文化の出発と言っていい「室町・安土桃山時代」の　庶民の文化の発祥を　創造的に提起する。　　　　　　　◎　　　　　　　◎　　　　　　　◎この後　佐倉城下の武家屋敷を訪ねにチャリで慌ただしく向かいましてそのご報告は　次回にさせていただきます。　

  2014年08月05日

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  シナリオライター　市川森一　「幻日」

  前回　シナリオライターの山田太一の作品をご紹介しましたが今年　読んだ小説の中で印象に残った作品で市川森一の「幻日」を思い出しました。　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎テレビの「東芝日曜劇場」や「ウルトラマンシリーズ」映画の「長崎ぶらぶら節」など　多くの脚本を書いた市川森一。2011年70歳で急逝しました。その遺作となった小説「幻日」は天草四郎の「島原の乱」を　史実を基にドラマティックに映像的な創造を交えながらの長編江戸幕府が開府されて間もない1637年クリスチャン武士や農民や家族すべて4万人ぐらいが島原半島の南端の城に立てこもる取り囲んだ幕府軍の総勢は諸藩あわせて12万に上ったそうだ。その後にご興味がありましたらご一読をおすすめします。シナリオライター市川森一の遺作としても。　　　　　　◎　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　◎ところで　歴史好きの私がいまだ訪ねたことが無い佐倉市の「歴博」を昨日行ってきました。そのレポートはいずれ・・・

  2014年07月27日

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  戯曲・短編・小説・・・いまなお山田太一

  若い頃　熱心に見たテレビ番組　今でも心に残る「男たちの旅路」「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」のシナリオライターは山田太一。　　　　　　　　　　　　◎山田太一のわりと最近まとめられた単行本「読んでいない絵本」2011年　小学館　を読む機会があった。興味を引いたのは　以前発表されている短編小説とショートショートと舞台の戯曲・テレビドラマが一冊にまとめられていたこと。未だ読んでいない見ていないものばかり。「俳優座」の書き下ろし戯曲『黄金色の夕暮れ』。客席に座って　舞台美術の暗転を目の前にしている感じで。テレビで放映された（私は見損なった）シナリオ『本当と嘘とテキーラ』。佐藤浩市　樋口可南子　柄本明　山崎努などの声と映像を思い浮かべながら。そして面白かったのが戦後間もない東京で見た　異様な出来事と奇妙で幻想的な味わいの　短編小説三編。何度もページをまたいで読み返しながら・・・いずれの作品も　肯定否定　遠慮直裁どちらとも取れる意味を同時に含める会話などおなじみと言える名人級の技術ですが底に流れるテーマは青年のような情熱が未だに感じられる人への温もりと時代への接点を無骨とも言える真面目さで。山田太一を知るには　貴重な本では無いでしょうか。　　　　　　　　　　　　◎最近　山田太一が長編を書いたと知りつづけて『空也上人がいた』2011年　朝日新聞出版を。80過ぎの車いす生活になった独居老人介助する27才の特養ホームを退職したばかりの青年彼らの間に立つ40才なかばの女性ケアマネージャー。登場人物3人による現代がかかえる諸現象をテンポよく軽く重くそして意外な展開をして行く。時代に密着する　高齢の作家の思いがひしひしと伝わってくる。

  2014年07月21日

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  ハスと花々　いろいろ

  今月中旬の　水元公園の花の一部です。「オニバスの池」の近くの水路は「ハス」がズラ〜ッと咲き乱れていました。蕾・満開にひろがる花びら・花びらが落ちたあといっぺんに同時に重なっている。ところで「ハス（蓮）」と「すいれん（睡蓮）」の違いよく知りませんでしたが　このブログを書くのに調べましたら葉の形状でわかるらしい。興味ある方は検索で調べてみてちょうだいね。長々と難しいことを　書くことになりそうなので無責任のようですが　ヨロシクです。この後　公園の中心にある　おおきな沼に向かえばひと月前には目立たなかった水草「ヒシ」が水面に広がっている。　　　　　　　　●いつもの一本道を通って「グリーンプラザ」の花壇へダリアのいろいろが　迎えてくれました。白　オレンジ色　黄色　それらの混じった花こんなにも色違いがあるんですね。蜂も嬉しそうに　蜜を食んでいました。ほかにも色々あるんですが一日の画像添付が限度となりました。よろしかったらお出かけして楽しんでください。でも猛暑にはくれぐれも　お気をつけて！

  2014年07月15日

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  オニバス　今年も開花

  関東地方では　絶滅が危惧されている「オニバス」が水元公園の　旧東京都水産試験場内の試験池で今年も開花しました。東京都の天然記念物に指定されて　保護されていますが生育の悪い年もあり　毎年かならず開花・結実するとは限らないそうです。12日正午頃の「オニバス池」です。　お目当ての花を　同時に入場した方と一緒に探しましたが　これがなかなか見つからない・・・思いのほか小さいのです。やっと見つけた紫色の花は　わずか数センチほど。貴重なオニバスの花。ご興味がありましたら8月に入ってから　さらに大きくなるのでお出かけになってはいかがでしょうか。詳しくは「オニバスの生体の不思議」をご覧ください。さらにボランティアの方にすすめられたのがすぐ近くの池に咲く「アサザ」。黄色い可憐な花が水面に拡がるそうです。これらの施設の開放時間と時間は　7／9～9／8でオニバス池は9：00～14：30。ごんぱち池（アサザの都内で唯一の自生地）9：00～10：00。わずかな時間しか開放されませんのでご注意ください。　　　　　　　　　　　●この後沼地一面に咲き誇るハスを見物しましてその報告は次回とさせていただきます。

  2014年07月13日

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  雨と虹と

  チャリ通の帰り　今夕6時過ぎ浅草でにわか雨が強くなる。隅田川ほとりの昨年新しくできたテラスカフェで雨宿り。刻々と変わる　空と雲の変化が実に美しい。30分ほどで雨も上がり　走り始めたら荒川にかかる堀切橋手前で北東の空に大きな虹が　出現しました。ほぼ半円の　くっきりとした虹。右端は　東の方角。左端は　ほぼ北の方角。こんな大きな虹は初めて見ました。肉眼ではテッペンまではっきり虹を確認。右側にはうっすらと二重の虹が見える。携帯のカメラなので　分割で撮影してここまで。一眼レフの広角レンズなら全景を撮れたのにな・・・（残念）西の空を見れば地平線ぎりぎり　雲を無理矢理はぎ取った隙間から強烈な夕陽が水平に　スポットライトのようにビルを高速道路を　照らしている。　　　　　　　　　　　　　　●ところでたった今　自転車レースの最高峰「ツール・ド・フランス」がレース中。昨夜　BSテレビを見ていたら　豪雨の後のぬかるみで落車が続出氷のような石畳で　スリップして頭から転ぶライダーたち昨年の総合優勝者もケガのため棄権と。俺ら　素人ライダーは雨の日は　慎重に慎重に・・・と。

  2014年07月11日

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  鉄斎展　出光美術館

  富岡鉄斎とは明治大正時代の水墨画の巨匠だった。くらいの知識しかありませんでしたが知人から出光美術館で開催されている「没後90年　鉄斎　TESSAI」のチケットを送っていただき今日　鑑賞してきました。富岡鉄斎（1836ー1924）は京都の法衣家の次男として幕末に生まれ儒学者としての自負を抱き、幅広い学問を身につける一方で旺盛な創造力を絵画につぎ込んだ。　そうだ。鑑賞して感想の一言は「天才の珍しく幸せな生涯を送った男」を通観したほんわかな感じ。30代前半の伸びやかで迷いの無い富士山の図から80代の多くの仙境画まで真っすぐに理想に近づいている感じ。その80歳以降の10数点の微妙な墨の濃淡と　岩絵の具の様々な青と緑の生き生きさ！省略した山川霧霞　細部の具象の手前まで迫った人動物植物。初めて知った近代絵画（明治初頭の西欧画への傾倒と違う）余白に書かれる　漢詩の個性的な筆致が素晴らしい！　　　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・それにしても　鑑賞しながら思ったことはこのような美術品や工芸品を　よくまとめてテーマに絞って蒐集していたものだ。考えてみれば　ここ「出光美術館」はもちろん「サントリー美術館」「根津美術館」「大原美術館」「山種美術館」などなど日本全国にある民間の美術館博物館　それぞれの出発と特徴がある。それの多くが　明治時代の一人が　個人的に日本の宝と　日本が目標とした中国・朝鮮・欧米の宝を残しておきたい。と　情熱をかたむけて拘ったことから始まったのでしょう。　　　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・日比谷の帝劇が入っているビルの9階が「出光美術館」個展会場の出口から同じフロアーの　右側の明るい窓の方へ曲がれば皇居に面して展望室＆休憩所があります。（お茶無料サービス）その奥の部屋（常設）に　日本各地・中国・朝鮮・アジアの陶磁器の陶片や　景徳鎮窯の皿などが無造作といってほどさりげなく展示されている。有名無名の制作者　紛失破壊の作品批判評価の数々　信念の蒐集と保存いろいろ時代を乗り越えて現存する美術品を目にできる幸運をまずは　大切にしようと思う。　　　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　　・「没後90年　鉄斎　TESSAI」は8月3日まで開催中です。詳しくはHPでチェックしてください。

  2014年06月29日

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  「その年の冬」　立原正秋

  「その年の冬」が目的だったのですが収録されていて在庫のある本は「立原正秋全集　第二十一巻」でして。ほかの作品も合わせて鑑賞出来ました。うれしいことに・・・「立原正秋全集　第二十一巻」には立原正秋の最後の小説となった「その年の冬」をはじめにほぼ同時代の短編小説「水仙」「空蝉」「交喙（いすか）の嘴（はし）」そして若い頃からの「詩・短歌」が収められている。「その年の冬」は京都と小田原郊外を舞台としたおとなの男と女の話しで。茶道の家元に後妻として嫁いだ若き女性をとおして俗化した現代への痛烈な批判と陶磁器や能などの深い知識を密かな背景とし日本の古典文化への愛惜をしみじみと品格のある丁寧で美しい日本語で語られる。そして　この作品の特徴的なのが食べ物や料理に多くの比重がかけられていること。立原正秋の食（自然）に対するこだわりのほどがわかる。それにしてもこの作品の後半は重篤な病気治療で入院中に書かれたそうで作家の精神力とはすごいものである。新聞連載された「その年の冬」は第一部完結として出版され第二部の構想を立原正秋は病床で親しい友人に語っていたそうだ。幻に終わったが・・・　　　　　・　　　　　・　　　　　・全集の表紙にうっすらと箔押しされた短歌よく読めなかったが最終ページに近い「詩・短歌」の中から見つけた。　　　　春なれば　　　　いまひととせを　　　　生きんとて　　　　ふるきみだうに　　　　こころあづけぬ　　　　　　　　　　　　大和路にて

  2014年06月18日

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  「紫匂ひ」

  身内となった者の実家の今は亡き父上の書架に興味ある本を見つけお借りして読んだ。「紫匂ひ」立原正秋・加藤唐九郎本のタイトル「紫匂ひ」は加藤唐九郎作の志野茶碗に銘をつけることを依頼された立原正秋が三日間預かり、朝夕茶を立て志野ではじめて出た色表面が紫、中が薄紫の茶碗に感嘆して付けた銘が「紫匂ひ」。この本は三章からなっており第一章は「やきものの美を求めて」と銘打った立原正秋と加藤唐九郎の非常に密度の濃い対談。第二章は立原正秋の「陶芸と風土」をテーマとした多くの雑誌に発表された十編のエッセイを収録。第三章は加藤唐九郎が作陶とともに日本中はもちろん世界まで「やきもの」を探求した貴重な文献の一部が。　　　　・　　　・　　　・この本の持ち主だった熱心な読者は数カ所に書き込みやアンダーラインを引いていた。たとえば　立原正秋の文章の「一人の人間が身につける美意識が一代で成ることはまずあり得ない」に。この読者に立原正秋にいろいろ想いを巡らせて遺作となった「その年の冬」を図書館に予約した。

  2014年06月17日

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  六月の花たち（2）

  水元公園の野草園で　6月1日に見た「笑顔の野草たち」です。　　　　　・　　　　・　　　・真冬の花のイメージが強い「パンジー」が真夏のような今日も　けなげに咲いていました。たぶん「ペチュニア」と思われます。白と赤が縦にくっきりと分かれているのが特徴ですが同じ形状の花びらなのに白からピンクに変化しているのも。自然の花たちはどうしてこんなに密やかに可憐であでやかな色を表現するのでしょうね。紫色の「サクラソウ」が風に揺れていた。この花って　いつみても高貴でありながら寂しげな雰囲気がいい。図鑑で調べたら　「ヤマホタルボクロ」というらしい。山岳によく咲く野草ようなので　この都会の平地には珍しいのではないかな？歩いてみて　足元を見れば季節ごとに　いろいろ野草たちに会えるんですね。　　　　　・　　　　・　　　・今回は少し早くて出会うことができなかった東京都の天然記念物に指定されている「オニバス」。たぶん7月に入る頃に見れるのでは楽しみにしています。「オニバス」を含め東京都の公園の夏花見ごろを探すならこちらを参考にしてください。では　お元気で〜！

  2014年06月05日

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  六月の花たち（1）

  菖蒲が　近くで　咲き始めました。これらの菖蒲は　足立区北綾瀬駅近くの「しょうぶ沼公園」で　今日の夕方　咲いていました。ちょっと前まで　蕾だったのに・・・　一気に　繊細で大振りな美人になっていた！　　　　　・　　　　　　　・　　　　　　・ところで6月1日に　葛飾の「水元公園」をチャリで走ってみましたら・・・都内でも広大な規模の　水元公園の菖蒲の地も菖蒲は咲き始めていましたがこれからが見頃でしょうね。でも　でも　足元を探してみたらたとえば　池の端に「水草図鑑」で調べてみたら日本中の池や沼に生育する一年生の水草『ヒシ』の一種らしい。まるで幾何学模様の絵のように育っている！今まで何回もご紹介しましたがこの流れで「野草園」を訪ねてみればやっぱり　ちょっとの季節の違いであたらしい花を発見しました！一回でアップできる画像に制限があるので今日はここまで。続きの「野草の笑顔たち」は次回とさせていただきます。

  2014年06月03日

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  関東平野の「地下神殿」

  「GWの晴れた日に江戸川のサイクリングロードを走ろうか」という友人との約束が実現しまして。待ち合わせに選んだ場所が　春日部市の江戸川に隣接した排水機場。ここに地底探検ミュージアム「龍Q館」という無料解放されている施設がありまして。テレビなどでも紹介されているのでご存知の方も多いとは思いますが別名「地下神殿」ともいわれる巨大地下放水路がこの地下深くに。もともと地盤が低く（古代は海だった関東平野）東京湾に流れ込む利根川や荒川が氾濫すればすぐに水浸しになった東京埼玉の東地域。その地形は現在でもそのまま。今も危険は潜んでいる。「日本史の謎は地形で解ける【文明・文化編】」竹村公太郎（PHP文庫　2014年）から地域住民の安全のためにそれこそ縁の下の力持ちをやっている人々がいるのをはじめて知り　驚き感謝する発見でした。「龍Q館」でボランティアガイドの女性に丁寧に模型を案内しながら説明をしていただき感謝。完成後　数回はこの施設で溢れた水を江戸川に放水する緊急事態があったそうです。正式名称の首都圏外郭放水路（見学会）については　こちらをご覧ください。　　　　　　○　　　　　　○　　　　　　○番外編。このサイクリングの前夜に親友が隣町の「藤の牛島」にほぼ同時刻に行くとのことが判明。当日　メールと電話での結果「藤園」の前で合流し親友の友人と　我々二人の四人が一緒に初対面の昼食を。実に楽しいサプライズとなりました。こんなこともあるんですね！歩き走ることは　新たな発見を生む。実感です！　

  2014年05月13日

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  江戸・京都そしてアジア

  　　　「江戸そして京都の都市設計を鍵にして、　　　　アジアそして世界を意識した視点でみつめ、　　　　江戸時代の都市を考えてみたい。」とパンフレットにある展覧会『大江戸と洛中　〜アジアのなかの都市景観〜』を江戸東京博物館に出かけてまいりました。江戸博らしい地味ながら　真面目で専門的な資料・展示品の数々。16〜17世紀初頭の「世界図・日本図屏風」（重要文化財）なんてストックホルムやハンブルグ、ジェノバやベネティアなどの都市が克明に描かれている。この屏風が福井市の浄得寺にあるそうで。戦国時代の大名や知識階級の人々はすでにこのような世界地図をとおして地球を理解していたことが頷けます。江戸時代の後半ともなると　かなり正確な世界地図「世界万国全図説」なんて大衆向けに発行されていたそうだ。江戸城内部の詳細な図面には驚いた。とんでもなく広い！迷ったら永遠に出られないのでは？それから日本各地の「盛岡城」「小浜城」「津山城」などを描いた屏風など歴史好きにはたまらない企画ですよ。会期は今月11日までとなっています。遅いご紹介で申し訳ない。詳しくはこちらをご覧ください。　　　　　　　○　　　　　　　○　　　　　　　○ところで常設展の江戸日本橋界隈はやっぱり大賑わい！

  2014年05月08日

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  石浜城はどこに？

  江戸（東京）の　江戸時代に入ってからの歴史は幕府や大名の記録が多く残り　庶民サイドの記録も一気に増えている。でも鎌倉室町時代以前の　中世や古代になると闇の中というかぼんやりしたものとなるようだ。そんな中でも　前回書きました「梅若伝説」のようにいくつかの史実や現存する寺社や碑から　ほぼこんな社会であったのではと推定されることがあります。　　　　　　・　　　　　　・　　　　　　・昨年末に発行された「江戸・東京　88の謎」春日和夫（大和書房）は身近な土地に残っている謎を　豊富な参考文献を引用して再発見させてくれました。梅若塚へ隅田川を渡る渡し船は　今の白鬚橋の近くにあった「橋場の渡し」ではないかとまたそこは　源頼朝が平家との戦いに下総（千葉県）から鎌倉に攻め上がるために浮き橋を架けて渡ったあたりでは？その浮き橋のための数千艘もの船を用意したのが石浜橋場あたりを支配していた武蔵千葉氏。これだけの強大な力があったなら　その「石浜城」は確実にあったはず！そうはいっても　この「石浜城」があった場所には諸説あるようで浅草から千住にかけての隅田川沿い3カ所が　候補地となっている。まず第一は　千住大橋の南東　南千住にある「日枝神社・山王清兵衛稲荷」。小さな小さな見過ごしそうな神社。柵がかけられて入ることはできません。面白いのは「歯痛除け」のご利益があると。手入れはされていますので　ご近所の氏子さんが大事に守っているのでしょうね。こんなところが歴史の移り変わりの面白さ。隅田川に沿って遊歩道を南下すると　白鬚橋の手前　ガスタンクの前に本命とされる「石浜神社」があります。昭和の後半に　地域一帯の再開発で近くに移転新築されたのでまるで映画のセットのように感じるかもしれませんが実に歴史が古い　それこそ広重はじめ多くの浮世絵に描かれている江戸時代には景勝地として有名な地だったのです。池波正太郎さんも　よくここらを散策したようで（生まれの浅草にも近い）「必殺シリーズ」の舞台にしていますね。最後三番目の候補地　「待乳山聖天」。浅草寺の東北　待乳山とも真土山ともいわれる　小高い丘陵地。この近くにも「竹屋の渡し」があった。　　　　　　・　　　　　　・　　　　　　・「石浜城」を探して歩きましたがその場所の結論はともかく　中世古代は「浅草寺」は海に近く　漁師の守り神として信仰が深く門前町としてにぎわい　時の権力者たちも大事にしてきた。ここに隣接する　今戸橋場石浜あたりが江戸の中心地であったことは間違いないようだと推測される。いや〜　自分の散策路がまたまた　新鮮になったのでした！　

  2014年04月27日

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