脳幹出血で入院している母を見舞い、病院の薄暗い廊下を出て駐車場に向かった。
札幌の夜は寒く、マイナスの空からしんしんと雪が舞い降りている。
すると、来たときには灯っていなかっら駐車場のスポットライトが僕の車を照らし出していた。見上げると数えることの出来ない美しい雪の舞い。
僕はその場に立ち尽くして、この白雪に見とれていた。
そして僕は地を這う寒風に震えながら感動していた。
僕を生んでくれた母は生きている。生きてここで待っていてくれる。
この美しい雪は今年も降っている。
そして僕はここに生きている。
とまってしまった時間の中で僕は生きる事の意味や、この美しく清らかな白雪に目覚めていくのがうれしかった。つながっている世界に生きているのがうれしかった。そしてすべてが恋しく感謝でいっぱいになっていた。
僕は広く静まりかえる駐車場で独り、震えながら泣いていたよ。人であると感動して。この幸いに愕然としながら。
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「永久(とわ)の白雪」
永久に住む愛しきひとよ
舞う雪に魅とれていたよ
湧く風にこごえていたよ
もういちど逢いたいと
もう二度と逢えないと
僕を待つ愛しき人よ
悠久を信じているよ
この雪に夢をのせて
貴方の場所に降る雪も
僕のこころに降る雪も
水になるのは同じこと
流れゆくのは同じ場所
いつか大地を湿らせる
いつか大きな海となる
この真実はかわらない
この世界はうごかない
ああ僕の愛するひとよ
目を閉じて永久にいて
愛に微笑みたたずんで
2009・01・07 :松尾多聞