こころのお散歩

S女子大社会人生涯学習講座の後半です。

２０世紀という時代の集合的無意識の世界を分析すると青年期であったといわれている。集合的無意識とはその時代を生きている人たちが集合的に動かされている何かのこと。それが青年期の特徴を示している。２０世紀はスポーツ、ゲーム、コンクールが盛んになった。スポーツを見る、することが広がった。競い合うこと、比較すること、自分だけが承認されることを求める特徴が青年期。２０世紀の霊性の根底には競争があった。
集合的無意識が私たちにつきつけたのは孤立。自己主張、自分だけ良いものをかき集める、人に遅れをとってはならない。成功するには人より先んじる、市場原理、競争、戦いが必ず良い結果がくる。戦争が良い決着にならないことは、わかった。

２１世紀。オバマ大統領の言葉、オバマ大統領が天皇に対して深いお辞儀をしたことに象徴される。６０年前のマッカーサー元帥と天皇との写真との差、２０世紀は勝つか負けるかの世界。
力関係もかわってきている。２１世紀もたくさんの問題をはらんでいる、緊張、葛藤、不安ーこれは時代を越えて存在する。ただ問題に対する私たちの対処の仕方が変わった。以前ならば、がんばるんだ、勝つんだ、戦うんだ、撲滅するのだ。
そういう迫り方をしない。私たちの生きる態度が変わっていた。これは大きな成長。
小さなところから変わっていく。どんな小さなことであっても、すべてのことは正面からとりくんでいけば、その人の霊的な力になる。ほとんどの物事は２１世紀も競争原理で動くことは変わらない。何かをするときに私たちが正面から受け止めてやっていくータクシー運転手の鎌田さんは、子育て、妻の入院費を稼ぐために懸命に働かなければならなかったし、鎌田先生はつぶれかかった病院を正面から受け止め引き受けたーように。
何でもかんでも全部変えるというではない。正面からとりくむ
たくさんのことをやっても全てがごまかしだったら何にもならない。毎日毎日ごまかし料理、手抜き料理を作っていたも、そのごまかし料理に没頭していたら、あなたは必ず変わっていく。
だけどごまかし料理をしながら、不満だらけでどうして私が料理しなくちゃならないの、たまには夫がやればいいと思っていたら、あなたは決して変わらない。
インスタントラーメンを作るのだって良い、一瞬でも我を忘れて正面から取り組むなら、あなたは必ず変わる。
アヴィラの聖テレジアの時代は、カルメル会は台所で働く修道女と歌隊の修道女は別れていた。不満を持っていた台所仕事のシスターに対し、聖テレジアは「お鍋の真ん中にも神様はいらっしゃる」と答えた。
何をやっていたって、そこに没頭すれば、神が見えてくる。
ラーメンを作ることだっていい、そこに真っ正面から受け止めればあなたは変えられる、あなたは癒される
社会的に評価されない小さなことであってもいい。鎌田先生は幼い頃、学校帰りに入院中の養母の布団へもぐりこんだ。お母さんは子供を力一杯だきしめた。うちにいて、ごはんやおやつを作ったり遊んだりできないけど、お母さんも鎌田先生も癒された。その体験は鎌田先生が大人になってから人を癒す原動力となった。
「間違ってはいけない、過ちは罰せられる。人に遅れをとる、ダメージを受ける、成功しなくてはいけない、方向転換はいけない」というような意識を土台にしながら生きる。これはある意味の宗教的悲観主義。これはあなたの身体、心、霊を育まず、むしばんでいく。
もっとも必要なのはあなた自身とつながる、自分自身のために時間を使うことも必要。まことの霊的生活が求められている。沈黙と孤独が必要となっていく。沈黙と孤独は目標とするのではありません。インスタントラーメンを作ることに没頭すれば、自ずと沈黙と孤独がやってくる。それがあなたを育てる。
おんぼろ病院勤めでも、自分の仕事に没頭してるならば、友人達は東京で出世しただろうとかいう思いにとらわれない。沈黙と孤独がやってくる。それがあなたを育てる。そういう意味で私たちの身近なところに宗教的ないのちがうごめいている、その霊的生活が目的を持って生きていくことを助けてくれ、あなたの中から霊的な力をどんどんひきだしてくれる。

定義５，自分自身とつながり、自分自身のために時間を使う
真正面からとりくむものは何でもいい。
仕事、料理、そうじ、詩、物語、手紙、メールを書く、花やペットの世話、楽器をひく…なんでも良い。
その瞬間において今自分にとって大切なことでそれに没頭しようとする。
そこに新しいいのちがひらけていく

あなた自身が自分とのつながり、自分の深いところでいろいろな人とつながっていることを意識にのぼらせる。
それが生きる力につながっていく。そのためにいろいろな方法がある。あなたがこれをやってみようかなと思うことでよい。自分史、絵、何でも良い．いろいろな方法であなたの深い世界におりていくと、あなたの中から思ってもみなかった力が出てくる。