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2004年12月28日
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カテゴリ:My Memory
先日、スマトラ島沖で、マグニチュード8とも9とも言われる大地震が発生し、その影響で、インド洋に面する沿岸をこれまでに聞いたことも無いような巨大な津波が襲った・・・。

一番、被害が酷かったのはタイのプーケット島とのこと・・・。
あの辺は、豪華なリゾートホテルも多く、日本からのツアー客も多い・・・恐らく、ビーチで遊んでいた観光客が真っ先に被害を受けたのだろうか・・・本当に心が痛む・・・。

そして、インド洋に浮かぶ真珠と言われる、サンゴ礁(ラグーン)に囲まれた美しいモルディブ諸島も、今回、被害にあったという・・・。
実は、以前、モルディブに行ったことがあるので分かるのだが、あの島々は、島の周囲が200メートルくらいのものから、1キロ程度の所など、本当に小さな島の集まりから形成される、海抜0メートル地帯である。あんな小さな島に津波が押し寄せてきたら、それこそ、逃げ場はないだろう・・・。

モルディブに行った際、いろいろとお世話になったポンポン船の船長さんはご無事だろうか・・・?ふと・・・そんなことが頭をよぎる・・・。

そんなことを考えていたら、モルディブの思い出があれこれと蘇ってきた。


            モルディブ
            (あまりにも綺麗過ぎるけど・・・一応、自分で撮った写真なんだよ~!)


モルディブには、シンガポール空港経由で、丸一日がかりで空港の島に到着した。島の一つ一つがあまりにも小さいので、首都の島などあれこれ島ごとに役割がある。その空港の島は、細長く、まるで空母のようであったが、そのような島に、よくあんな大きな飛行機が着地出来たものだと、今思うと本当に恐くなってしまう・・・。

空港に到着後も、まだ難関が残っていた・・・。
モルディブ共和国は、厳格なイスラム教の国である・・・。
日本から持ち込まれた雑誌・週刊誌の類に、もし女性の裸などが載っていたら、即刻、没収!私の持っていたファッション雑誌でさえも、女性が多く載っているということで、細かくチェックしていたくらいだ・・・。

税関も無事に通り抜け、ホッと一息つくのもつかの間・・・空港を出ると、今度は、機関銃を持った兵隊が道の両脇をずら~っと並んでいる・・・。
「普通、ハワイとかだったら、きれいなお姉さんが、観光客の首にレイをかけてくれるところだろうけど、モルディブは兵隊さんがお出迎えだったよ~!」などと、今だから冗談で済むが、その時は、あまりの張り詰めた空気に、
「ここで、もし、スッ転んだりしたら、機関銃で蜂の巣にされるんじゃないか・・・」
そんな緊張感が旅行者の間に漂っていた・・・。

ホテルのある島は、空港から船で10分ほど・・・ここは、フランスのある有名なリゾートクラブが所有する島だが、どちらかというと、島の雰囲気を存分に生かした、カジュアルで気楽に過ごせるホテルである。

話が遠回りしてしまったが、船長さんとは、ホテルの無人島ツアーに参加したことで知り合った。
船長さんは、私達のために、海に潜って捕ってきたお魚を焼いて食べさせてくれたり(手で、焼けた魚をほぐすのには驚いたが、せっかく作ってくれたので、食べないわけにはいかなかった・・・)
伊勢海老が泳いでいるところを見せてくれたり・・・本当にサービス精神旺盛で、笑顔の優しい方だった。

船長さんは、現地人・モルディブの人である。首都の島マーレに家があるが、船長としての仕事があるため、週に一度しか家に帰れないという・・・。
そして、イスラム教の人にありがちな一夫多妻を地で行く人で、なんと、彼には奥さんが5人もいると言う!?(誰だ~!羨ましいなんて言ってるのは・・・)
多分、たくさんの奥さんや子供さんを養う為に、こうやって一生懸命に働いていたんだろうな・・・。

そんなことを、お互い、たどたどしい英語で、楽しく話し合っていたが、一つ、気にかかったことがあった。
それは、このホテルには、欧米人や日本人のスタッフの他に、ベッドメーキングや清掃、調理助手を務める現地人スタッフが多数働いているが、彼らには、食事としてカップラーメンしか与えられていないのだという・・・。
こんな食事を続けていたら、栄養が片寄って体を壊してしまうだろう。船長さんの顔に、ふと、暗い影が横切る・・・。
(そんな馬鹿なことが許されていいんだろうか?)
それとなく、日本人スタッフに、「彼らの食事・・・もう少し、何とかならないのでしょうか?」と訪ねると、
「自分達も気にはなっていたが、でも、上の連中が決めたことなので、どうすることも出来ない・・・」とのこと・・・。

上の連中とは、欧米人のホテル幹部やマネージャーのことか・・・?
彼らから見たら、現地のモルディブ人など、奴隷同然の存在なのだろうか・・・?
そういえば、客として来ているフランス人やドイツ人も、何処と無く日本人を見る目が冷たい・・・。
そういえば、ドイツ人のオヤジには、「ヨーロッパの歴史を、東洋人はもっと勉強すべきだ!」なんて説教されてしまったし・・・(こっちは、中国4千年の歴史だい!!)
欧米人のアジア・アフリカに対する差別意識を、まざまざと見せ付けられたような気がした。皆が皆とは言わないが、確かに、こういう連中なら、植民地支配などしても、良心の呵責さえ覚えなかったことだろう・・・。

それにしても・・・バイキングの食事がたくさん余るのに・・・せめて、これを、現地スタッフの皆さんに分けてあげられたら・・・なんか、理不尽な気持がする・・・。

そんな時、首都の島マーレで、クーデターが起きたという!
ホテルに居るお客さんたちも動揺していたが、ホテルの島には影響がないので大丈夫とのこと・・・。
こんなに美しい海と空がある美しい国でクーデターが起きている・・・しかも、自分は、そのすぐ側の島で平和な時間を過ごしている・・・その事に、複雑な心境だった・・・。

そんなもやもやを抱えたまま、船長さんともお別れの時を迎えた。
もう会えないかもしれないけど、自分たちを覚えていて欲しい・・・そんな想いから、日本から持ってきた帽子を船長さんに手渡す・・・。
船長さんも、私たちのことを決して忘れないと言ってくれた・・・。

今回の津波で、様々な思い出が怒涛のごとく蘇ってきたが、
あのとき30歳ちょっとだった船長さん・・・そして、大勢のご家族の皆さんの無事を、心から祈っていきたいと思っている。


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モルディブ共和国(外務省のホームページ)





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最終更新日  2004年12月29日 22時32分48秒
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