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わたしのいる職場は一応、「版元」をやっている。
ミニコミ同様出版物は「直」が一番おいしいのだけど、買ってくださるかたによっては「地元の書店経由」をお望みのかたもいる。 そんなわけで取次さん各社や直にお買い上げになる書店さん、それから大きな書店さんの外商さん。などとの取引もある。 その取引相手の中に彼女がいる。 何って、声がとてもすてきなのだ。 50の声をききはじめた同僚が彼女がいる書店の外商部とのやりとりを担当しているのだけど、誰とも担当を交代する気はないみたい。彼もかれこれ彼女のとこと5年くらいは毎年あれこれと書類の往復を続けている。 電話をかける用事ができると、うれしそうだ。 もちろん、彼だけが彼女の「声」のファンなわけではない。 わたしどもを含めて、なのだ。 彼女から電話をとると、何か得したようなうれしいきもちになる。 でも、わたしどもはすぐそこで用件を聞いて終えたりせずに「担当から折り返しご連絡させるようにいたしますので」と必ず彼がもう一回電話できるよう工夫する。 別に応援してるとか、そういうのではない。 彼がうれしそうにしてるのを見るのが楽しいのだ。 もちろん、個人的にどう、という立ち入った話なんかしない。 仕事の話をするだけなんだけどね。 その彼女から先日、「わたし今度異動になるんです」と報告があったらしい。 一同「え!」(まさかもうあの声を聞けないなんて・・・!) 彼によると今度は書店勤務になるのだとのこと。 「うわあ、じゃあ生でお会いできるかもしれないのね!あの声の彼女に」「うふふふ、回り道して帰らなくちゃ」「これからまたご用事こしらえなくちゃねー、難儀な客注受けてもらうとか・・当然、本が入ったら携帯に連絡をもらう、と」 まるで関係ないわたしどもまで「声」の彼女を人目見たくてしょうがないのだった。 その書店さんでは、みんな名札をつけてるかしらん。 そっとのぞきに行くっても、なんだか不審だよね。 だって、彼女が異動になるとこって異様に店舗面積広いとこだし・・・。やっぱり思い切って名刺持ってくのがいいんじゃ? なーんて、他人事だからか皆勝手なことをいって楽しんでる。 わたしの憶測では、彼はきっと往年の小津映画の看板女優を想いつつ、彼女の声とやりとりしているのではないかと。 声だけしか知らない相手。 どんな人なんだろう? そういうスロウなやり方は今様の速度ではないかもしれないけど。声ってのは想像をそそるものがある。 それが「すてきな声」だったらなおさらだ。 わたしどもの奥ゆかしい盛り上がり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 23, 2004 08:24:21 PM
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