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カテゴリ:おんがくの話
はい、やっと聴くヨユーが発生いたしました。
前述の”LAZY STANDARDS"。 「あなたのお部屋がみすぼらしいジャズクラブに早変わり!」このオビコピーにやられてお持ち帰り、で家に帰ってスピーカーは無理だったのでheadphone(オーディオテヒニカの桜材でできたやつっす)で再生。 きたー、きました。 みすぼらしいの。 ・・・場所はどこでもいい。欧州の北、場末の町。どす紅い夕陽が紫から鉛色に変わるころ。コンクリが剥れ落ちたマッチ箱状の灰色の建物(せいぜい5階建て)、ドアマンもいないような入り口をまっすぐ進んだ奥にちいさな青い字のネオンサイン。そこにちょっと崩れた階段があって、切れ掛かった電球のあかりを頼りに降りていくともう少し音が洩れ聞こえてくる。ドアをあけるとふわっとその音に囲まれ、ついでに安い葉巻の湿った匂いもあとからくっついてくる。狭いジャズクラブ、お客よりステージにいる演奏家の人数のが多い。(あ、帰るに帰れないなこりゃ)カウンターに立つ無地のシャツを着た男にチャージを払いウォッカのコーラ割りを頼む。グラスを渡されるとき、男の左腕にソヴェト国旗マークの刺青があるのに気づく。席はどこでも座り放題。隅の暗がりでは寝ている客までいる。天井も低い。背の高いテナー奏者が頭をつっかえそうにして体を曲げて吹く。お客が寝てようが、彼らは気にしない。いいスタジオだくらいに思っているのかもしれない。でも、緊張感はある。もちろんお客のほうにも、だ。聴きに来たというよりは演奏者に囲まれにきた、というのが的確。彼らの緊張感(我々は客にきかせているという自覚)を保つぎりぎりのライン。わたしが、いや私でなくてもいい、誰かが席を立ったならこの緊張感はどうなるのだろう。一人なら、いや三人だったら。 ベース・ソロの合間にウォッカ・コーラの氷の音がカランと響く。氷の音くらいでこんなに響くなんて。 どうしよう、これは帰れないなあ。 いや、どうして帰ろうなんて考えるんだ? ハナから帰ることなんか考えなきゃいい。 居たいだけいれば。 ・・・・・! そこでふと音が消えた、ありゃりゃ。 みすぼらしいジャズクラブが消滅した。 どーしたんだ、わたしは一体どこにいるんだ。 なんのことはない、ACアダプターが引っこ抜けただけ。 お茶を飲んで、もう一度。 はじめからいってみよう。 じゃ、いってきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 10, 2004 10:09:25 PM
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