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『タンパク質の反乱』石浦章一著 講談社ブルーバックスより
●タンパク質の4次構造 「タンパク質にはもっとおもしろいことがある。それは、タンパク質同士が会合(定められた形で結合すること)して機能をもつことが多いということである。…LDH(乳酸脱水素酵素)を例にとってみよう。 LDHは、生体内のどこにもあるタンパク質で、ピルピン酸を乳酸に変える酵素である。みなさんが「疲れた」といって風呂に入るとき、筋肉の中には乳酸が蓄積している。乳酸は疲労物質として有名で、栄養源のブドウ糖が酸素なしで分解するときに蓄積する。十分に酸素が与えられれば、途中のピルピン酸が乳酸にならずに、ミトコンドリアで燃やされ、多大なエネルギー産生とともに二酸化炭素と水まで分解される。 このLDHは、タンパク質としては四個が会合してはじめて活性をもつようになる。一個だけでは不十分なのである。このように、いくつかのタンパク質が会合して新しい構造をとることを四次構造という。ところが、LDHには骨格筋で作られるM型と心筋で作られるH型の二種類がある。筋肉内はM4であり、心臓ではH4となっているのだ。 血液の中では、筋肉から出たM型と心臓から出たH型が混ざり合って。混合型になっている。 …MもHも十分に存在すると仮定すると、四次構造を作る過程でM3H1とかM2H2ができる。高校時代に数学で習った「パスカルの三角形」より、M4:M3H1:M2H2:M1H3:H4=1:4:6:4:1になる。 ところが、心臓病で心臓の筋肉が壊れやすい場合には、血液中のHの割合がMに比べて高くなる(もちろん、骨格筋が壊れた場合には逆のことが起きる)。そうなると、比率は理論値より高くなるのである。 このように、血液中のタンパク質の性質を調べることによって、どの臓器が障害されているかをたちどころに知ることができる。GOTという酵素は肝臓に多いので、血液中にGOTが基準以上に出ていれば肝臓疾患が疑われることになる。 (satom) なんとタンパク質がいくつか結合してはじめて活性が出るものがあるようです。タンパク質はアミノ酸の種類での違い(一次構造)、短い単位での構造(二次構造)、短い単位の構造が集まり一定の分子構造が完了(三次構造)、そしてそれらがいくつか結合して活性型になる(四次構造)というふうになっているようです。この複雑な構造の中でちょっとでも異変が起こると、活性を持たなくなる。ようするに体にとって重要な働きができなくなる。つまり病気になるということでしょうか。 それにしても健康診断の時の血液検査に出てくるGOT値って、つまり肝臓から漏れ出てしまうってことだったんですね。何か肝臓が悪くなるとGOTという物質ができるんじゃなくて、そもそも体にある酵素が雨漏れではないですが、肝臓の機能が悪くて漏れ出てくるということでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.04.20 02:02:25
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