タンパク質の反乱(5)
『タンパク質の反乱』石浦章一著 講談社ブルーバックス●四次構造の異常と病気「タンパク質の中にたとえ1個でも違うアミノ酸が挟まれば、フォールデングが十分にいかず、働きのないタンパク質が作られることがある。これが病気に結びつくことがある。… ヘモグロビンは、私たちの赤血球の中にあるタンパク質で、鉄を含んでおり、血が赤いのもこのためである。鉄分が不足すると疲れやすくなり、頑張りが利かなくなる。これが貧血である。からだに酸素が有効に運ばれなくなる病気なのだ。… このヘモグロビンは、4つの分子が1つに固まってはじめて活性をもつ四量体である。しかも、2種類のタンパク質αとβがα2β2という形で厳密に4分子まとまっていて、LDHのようにα3β1という形にはならない。 このうち「β」タンパク質の6番目のアミノ酸が、グルタミン酸からバリンへ変換している突然変異が見つかった。これが鎌形赤血球貧血患者であった。この病気では、溶けているはずのヘモグロビンが赤血球内でからまり合ってフュラメントを形成し、その結果、赤血球が鎌のような形に変形してしまう。この赤血球は酸素と結合する能力が低く、貧血が強くなる。(satom) タンパク質の変異と病気とは本当に深く関わっているんだと思いました。